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第5話 希少金属で大儲け

「ここが冒険者ギルド……。お肉の匂いがします、箱様!」


 検問を(デスボイスで)突破した俺たちは、街の冒険者ギルドにやってきた。ルミナはヨダレを垂らしている。かわいそうに、限界なのだ。だが、今の俺の所持金はゼロ。さっきの『拡声器』を作るために銀貨を素材として消費してしまったからだ。


(すまんルミナ。すぐに金を稼いで、特上ステーキを食わせてやるからな!)(ガコッ!)


 俺たちは受付カウンターへ向かった。「あの……素材の買取をお願いしたいのですが」「は、はい。どのような品でしょう?」


 受付嬢が引きつった笑顔で対応する。さて、ここが正念場だ。今の俺が出せるアイテムは、体内の隅っこに残っていた「鉄屑の残りカス」のみ。これを売って、なんとかパン1個分くらいの小銭になれば御の字だ。


(頼む!銅貨数枚でいいからなってくれ!……ぺっ!)


 俺は蓋を少しだけ開け、中身をカウンターに吐き出した。コロン、と転がったのは、パチンコ玉くらいの黒い鉄球だ。


「……えっと、これは?」「鉄く……いえ、ダンジョンで採取した『希少金属』です!」


 ルミナが必死に嘘をつく。受付嬢は困った顔で、奥から鑑定士の爺さんを呼んできた。


「なんじゃ、騒がしい。どれ、ワシが見てやろう」爺さんがルーペを目に当てる。(バレるなよ……ただの錆びた鉄だってバレるなよ……!)


 爺さんが鉄球を覗き込んだ、その瞬間。


「なっ……!?」


 カシャン。爺さんのルーペが床に落ちて割れた。


「こ、これは……!!この圧縮された密度!幾千の振動と魔力に晒され、不純物が極限まで排除されている!まるで星の核のような輝き……!」


(ん?褒められてる?)


「おい!この金属、一体どこで手に入れた!?普通の鍛冶では絶対に作れんぞ!」


『解説。逃走中の「超高速振動」と、先ほどの「デスボイスの音圧」により、体内の鉄屑が分子レベルで圧縮されました。結果、強度がダイヤモンドを超える「黒金アダマンタイトもどき」になっています』


(俺のビビリ振動のせいかよ!ていうかアダマンタイトって伝説の金属じゃねーか!)


「こ、これは『神代の黒金』じゃ……!まさか実在したとは……!」「すげぇ!国宝級だぞ!」


 ギルド内がざわめき始める。俺はただのゴミ処理をしたかっただけなのに、いつの間にか「伝説の金属を持ち込んだ謎の箱」という扱いになっていた。


(ち、違うんです!それ、ただの産業廃棄物の塊なんです!)


 弁解しようと蓋をパカパカさせたが、爺さんが涙を流して拝み始めた。


「なんと……この箱自体が、失われた古代の錬金炉だと言うのか……!ゴミを喰らい、宝石に変える神の御業……!」


(ハードルを上げるな!)


 結局、鉄球ゴミにはとんでもない値がついた。渡されたのは、ずっしりと重い金貨の袋。


「やりましたね、箱様!これで当分、ご飯食べ放題です!」(ガコオ……)


 ルミナは大喜びだが、俺は複雑だった。『おめでとうございます。職業が「不燃ゴミ置き場」から「錬金術師(箱型)」にランクアップしました』


 こうして、懐だけは温まった俺たちは、最高の宿と食事を求めて街へ繰り出すのだった。だが、この時の俺は忘れていた。目立ちすぎた「お宝」には、ハイエナが群がるということを――。

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