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第1話 転生したらスライムだと思った? 残念、不燃ゴミ置き場でした

 真っ暗だ。死んだ記憶はある。トラック?看板?まあいい、死因なんて些細なことだ。重要なのは、今のこの感覚。手足の感覚がなく、全身が一つに繋がっているこの一体感。間違いない、これはネット小説でよくある『転生』。しかも、種族は――


(スライムだ!王道キタコレ!)


 俺は確信した。ぷにぷにのボディ、物理無効の最強生物。よーし、まずは記念すべき異世界第一歩。可愛くジャンプして「ぷるんっ」と着地だ!


(せーのっ、ぴょん!)


 ガゴオオオオオオンッ!!!


「いっ……ってえええええええええ!!??」


 脳髄を鉄骨で殴られたような衝撃。「ぷるん」?いや、「ガゴォン」って鳴ったぞ今。しかも着地の瞬間、全身の関節が「メキョッ」て言った。


(な、なんだ?体が硬い。めちゃくちゃ重い。……ステータスオープン!)


 混乱する俺の脳内に、日曜夜の役所みたいな、ひどくダルそうな男の声が響いた。


『……あー、はいはい。お呼び出しですね。……えー、現在あなた様の種族は『ミミック(亜種)』となっております』


「は?」


『日本語で言うと『宝箱』ですね。おめでとうございます。パチパチー(棒読み)』


「パチパチって口で言うな!ミミックだと!?あの冒険者を食う箱かよ!」


『はい。ですが安心して下さい。あなた様に牙はありません。ただの箱です』


「ただの収納器具じゃねーか!スライムは!?俺の物理無効ボディは!?俺のプルンプルン計画を返せよ!」


 俺の悲痛な叫びに対し、総務ソームは事務的に答えた。


『あいにく本日のスライム枠は満席です。キャンセル待ちが70億人ほどいますが、並びます?』


「また来世になっちまうわ!……ていうかお前誰だよ!」


『私はあなた様の個体管理システム。名前は……そうですね、なんでも屋なので『総務ソーム』とでも呼んでください。ああ、面倒くさい』


「初対面で『面倒くさい』って言ったぞこいつ!」


 俺のツッコミを無視し、総務ソームは淡々と事務連絡を続ける。


『スペック確認。保有スキルは『棚卸インベントリ』と『在庫処分パージ』の二つです』


「地味!魔王を倒せるスキルはないのかよ!」


『ありません。ここは倉庫課ですので。……おや、体内に初期装備がありますね』


 おお、さすがは転生特典。伝説の剣か?魔導書か?


『『錆びた鉄屑(500g)』と『工業用粘着液(1リットル)』です』


「不燃ゴミじゃねーか!!誰だ俺の中にこんなもん捨てた奴!」


『前任のミミックが溜め込んだようですね。生粋のゴミ屋敷住人だったようです』


「最悪のルームシェアだ!」


 絶望する俺に、総務が追い打ちをかける。


『あ、前方に冒険者の足音を確認。……どうやら『清掃業者(冒険者)』の方々のようです。解体ハンマー持ってますね』


「解体!?待て待て、俺はまだ何もしてないぞ!」


『回答。中身のゴミをぶちまけて抵抗するか、大人しく薪になるか選んでください。……個人的には、薪になって頂いた方が私の残業が減るので助かります』


「ふざけんな!俺の第二の人生、たかが3分で終わらせてたまるか!やってやるよ!」


 暗闇の向こうから、松明の明かりが近づいてくる。こうして、世界で一番不自由で、中身が残念な宝箱の異世界生活が幕を開けた。

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