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第一章:ご招待

少しだけ短めです。


まてまてまて……情報量が多すぎる。


迎えに来て、評議殿に着いてこい、という話が飛び出し、そして知らない国名の、え、首相……?


俺の知っている首相なら、ほぼ国のトップだ。

ぽかんと口を開けている俺を横目に、涼が間髪入れずに会話に割り込んでくれる。



「すみません、月影首相。どうやら彼は、眠っていた間の意識が全くなかったようで、状況が把握できずに困惑しているようです。」



涼の声には、軽いからかいも交じっているが、どこか配慮を感じさせる柔らかさがあった。



「ふむ……君たちは…。そうか、GIAの特務班か。今年は君たちが調査を担当するのだな。」



月影首相は蓄えた髭を指で撫でながら、静かに思案している。



「確かに、急な事ばかりで申し訳ありません、英雄殿。しかしなればこそ、こちらから現状を詳しくお伝えすることが出来ます。どうかご安心くださいませ。誓って、悪いようには致しません。」



頭を深く下げる首相の言葉に、こちらも思わず背筋を伸ばす。申し訳なさとともに、今ここで正しい判断をすることの重要性をひしひしと感じる。


そうだ、ここで立ち尽くしてても仕方ない。落ち着いた場所で、順を追って現状を把握することが先決だろう。


少し間を置き、俺は静かに答えた。



「はい、こちらからも是非、お願い致します。」



「!!……感謝いたします!」



令嬢が膝まづいたまま笑顔を浮かべ、頭を上げる。

そういえば、首相から娘だと紹介されていたっけ。やはり、本物のご令嬢なのだろう。


「こちらからも感謝します。それと、もしよろしければ、機関の皆様もご一緒願えますでしょうか。起こったことの詳細を確認する必要がございます故。」



月影首相は強い眼差しを彼らに向ける。特務班と聞いていたが、この人たちが…。全くもってエージェントのような冷徹さは感じないんだよな。



「はい!!!もちろん行きまーす!」



千歳が勢いよく立ち上がる。黒髪が軽く揺れ、表情には期待と好奇心が混ざっている。

彼女の元気さにつられて、他の三人も自然と体を起こした。





──案内され、視界に収まりきらないほど巨大な門をくぐると、そこには人々が行き交い、高くそびえる建物が林立する、まさに未来都市の光景が広がっていた…!!



「え、すっご……!」



思わず声が漏れる。500年もの歳月が過ぎ、復興しているとは聞いていたが、ここまでとは思わなかった。


行き交う人々の中には、羽や大きな角を持つ者、透明な膜のような翼で空を舞う者もいる。街路を飛び交うのは未来的な空飛ぶ車やホバーバイク。ビルの壁面を縦横に走る無人の運搬機械、路上に設置されたホログラム広告が、街全体に光と情報の奔流を生み出していた。まるで都市そのものが生き物のように躍動している。



「あの……これ、どこの街も今はこんな感じなんですか…?」



小さな声でこっそり涼に尋ねる。

さっきは首相との会話で困惑している俺に気づいてくれていたし、なんとなくこの人、接しやすい気がするんだよな…。


彼女の目には軽い含み笑いが浮かんでいる。



「ん…まあ確かにどの街も似たようなものだと思うけど、ここは首都だし、特別栄えてると思うよ。ふふ。」



涼はそう言いながら、ほんの少し目を細め、無駄に持ち上げない接し方で、自然にこちらを観察していた。



「やっぱり思ったより普通だよね、英雄様。その感じだと、これから大変だねえ…。」



含みを持つ彼女の言葉に、思わず不満げな顔を向けながらも、俺は首相らのあとについて街を歩く。


そして、ほどなくして巨大な車の前で立ち止まった。光沢のある車体には、なぜか見覚えのあるタイヤがなく、車は地面から僅かに浮かび、微動だにせず宙に静止している。未来技術の光景に、思わず息を飲む。


——もう何もかもが変わってしまったのだ、と覚悟を決める。


心の中で小さく深呼吸をして、俺は彼らに続き、車内へと足を踏み入れる。滑らかに開くドアの向こうには、静かで広い空間が広がり、薄暗い照明が落ち着いた雰囲気を演出していた。


外の喧騒が遠くに霞むように感じられ、ここからなら少しずつ、この世界の全貌を理解できそうな気がした。

そう、自分の目で確かめ、自分の頭で考える——今度こそ、順を追ってこの未知の時代を知るのだ、と決意を新たにするのだった。



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