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第二話 空に憧れたバカ

ココットランドの警察官、夢々月晴翔(20)の日常は、常に疲労と不満に満ちていました。特に、山積みの事務業務――果てしないスプレッドシートへの入力作業は、彼の精神を蝕んでいきます。そして、そんな彼の鬱憤を爆発させたのは、何を言っても飄々としている市長・もあいへのどうしようもない怒りでした。

ただ疲れていただけの警察官に、突如襲いかかる理不尽な事態。これは、ココットランドで実際に起こった、ちょっぴりおかしな物語です。

本日は二本立てです。暇だったんですよ、ええ。

ココットランドの青い空の下、夢々月晴翔は、警察官としての職務を忘れ、とある同僚と「究極の速度遊び」に興じていた。それは、警察車両のニトロを最大にして、街の幹線道路を最高速度で駆け抜けるという、聞くだけで呆れるような行為だ。運転席に座る同僚の警察官が、ニトロのスイッチに手をかけた。


「おい、行くぞ、晴翔!」


「おう! ぶっ飛ばせ!」


晴翔の興奮した声が響き、ニトロが起動する。けたたましい噴射音と共に、車体は猛然と加速した。視界がブレるほどのスピードに、二人の警察官は童心に帰ったように歓声を上げる。だが、その高揚感も束の間、異変が起こる。


「……なんか、世界重いな」


運転手が呟いた。ココットランドの空気が、まるで粘土のようにずっしりと重くなったように感じられた。車体全体が、急激に負荷をかけられたかのように唸りを上げる。この「世界が重くなる」現象は、ココットランドではたまに発生する、不可解な現象の一つだった。そして、この後、いつも決まって恐ろしいことが起こるのだ。


「え、ちょ、おい!?」


晴翔が不安を覚えた次の瞬間、運転席の同僚が突然、ハンドルを握りしめたまま硬直した。まるで何かに操られるかのように、彼の意識が断絶したように見えた。


強制クラッシュ。


ゲームの世界の、不吉なシステムメッセージが晴翔の脳裏をよぎる。この強制クラッシュもまた、「世界が重くなる」現象とセットで、ココットランドではいつも発生することだった。


「おい、まさか、これって……!」


車は制御を失い、一直線にコースを外れた。


「やべぇ! この車、レース用のハーネスついてねぇぞ!!」


晴翔は必死に身構えたが、時すでに遅し。車は轟音と共に、目の前に迫った分厚い壁に、まるで吸い込まれるように突撃した。


衝撃が全てを叩き潰す。車体は原型を留めないほどにひしゃげ、晴翔と同僚の体は、慣性のまま宙へと投げ出された。


彼らの視界に映ったのは、限りなく続くココットランドの青い空。


「空に憧れた……」


晴翔の意識は、高く舞い上がりながら薄れていく。

そして、重力に従い、高速で地面へと落下していった。


ドシュッ!!


地面に激突した瞬間、晴翔の身体は激しい衝撃を受け、息絶えた。彼はそこに横たわる。ぐったりと動かない、彼の肉体。このゲームの世界では、死んでもその場に死体が残る。医者が現れて治療を施さない限り、彼はこのまま動けないままだ。


「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!」


断末魔の叫びだけが、青い空に虚しく響き渡り、やがて消えていった。


だが、その時間帯、肝心の医者であるりりも、おばまじも、誰も現場にいなかった。

焦った晴翔は、システムを通じて代わりのNPC医者を呼んだ。だが、到着したNPC医者は、晴翔の死体の前で、まるでシステムが停止したかのようにぴくりとも動かず、硬直していた。


「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


意識だけが明確な晴翔の、再びの叫びが、虚しくココットランドの空に響き渡った。


後書き

第二話「空に憧れたバカ」をお読みいただきありがとうございます!

晴翔の受難は続きます。ココットランドでいつも発生する「世界が重くなる」現象と「強制クラッシュ」。そして、誰にも助けてもらえない死体となった晴翔を待ち受ける運命とは……?

ココットランドの理不尽な日常、そして晴翔の終わりなき戦いは、まだまだ始まったばかりです! 次話もぜひお楽しみに!







前書きと 後書きに本日は二本立てです 暇だったんですよw



第二話 空に憧れたバカ

前書き

ココットランドの警察官、夢々月晴翔(20)の日常は、常に疲労と不満に満ちていました。特に、山積みの事務業務――果てしないスプレッドシートへの入力作業は、彼の精神を蝕んでいきます。そして、そんな彼の鬱憤を爆発させたのは、何を言っても飄々としている市長・もあいへのどうしようもない怒りでした。

ただ疲れていただけの警察官に、突如襲いかかる理不尽な事態。これは、ココットランドで実際に起こった、ちょっぴりおかしな物語の始まりでございます。

本日は二本立てです。暇だったんですよ、ええ。


本文

ココットランドの青い空の下、夢々月晴翔は、警察官としての職務を忘れ、とある同僚と「究極の速度遊び」に興じていました。それは、許可なく警察車両にニトロを搭載し、街の幹線道路を最高速度で駆け抜けるという、聞くだけで呆れるような行為。運転席に座る同僚の警察官が、ニトロのスイッチに手をかけます。


「おい、行くぞ、晴翔!」


「おう! ぶっ飛ばせ!」


晴翔の興奮した声が響き、ニトロが起動。けたたましい噴射音と共に、車体は猛然と加速しました。視界がブレるほどのスピードに、二人の警察官は童心に帰ったように歓声を上げます。しかし、その高揚感も束の間、異変が起こります。


「……なんか、世界重いな」


運転手が呟きました。ココットランドの空気が、まるで粘土のようにずっしりと重くなったように感じられたのです。車体全体が、急激に負荷をかけられたかのように唸りを上げます。この「世界が重くなる」現象は、ココットランドではたまに発生する、不可解な現象の一つでした。そして、この後、いつも決まって恐ろしいことが起こるのです。


「え、ちょ、おい!?」


晴翔が不安を覚えた次の瞬間、運転席の同僚が突然、ハンドルを握りしめたまま硬直しました。まるで何かに操られるかのように、彼の意識が断絶したように見えます。


強制瞑想(クラッシュ)


「おい、まさか、これって……!」


車は制御を失い、一直線にコースを外れました。


「やべぇ! この車、レース用のハーネスついてねぇぞ!!」


晴翔は必死に身構えましたが、時すでに遅し。車は轟音と共に、目の前に迫った分厚い壁に、まるで吸い込まれるように突撃しました。


衝撃が全てを叩き潰します。車体は原型を留めないほどにひしゃげ、晴翔と同僚の体は、慣性のまま宙へと投げ出されました。


彼らの視界に映ったのは、限りなく続くココットランドの青い空。


「空に憧れた……」


晴翔の意識は、高く舞い上がりながら薄れていきます。

そして、重力に従い、高速で地面へと落下していきました。


ドシュッ!!


地面に激突した瞬間、晴翔の身体は激しい衝撃を受け、息絶えました。彼はそこに横たわります。ぐったりと動かない、彼の肉体。このゲームの世界では、死んでもその場に死体が残ります。医者が現れて治療を施さない限り、彼はこのまま動けないままなのです。


「ふざけるなぁぁぁぁぁ!!」


断末魔の叫びだけが、青い空に虚しく響き渡り、やがて消えていきました。


しかし、その時間帯、医者であるりりも、おばまじも、誰もいませんでした。

焦った晴翔は、システムを通じて代わりのNPC医者を呼んだのです。しかし、到着したNPC医者は、晴翔の死体の前で、まるでシステムが停止したかのようにぴくりとも動かず、硬直していました。


「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


意識だけが明確な晴翔の、再びの叫びが、虚しくココットランドの空に響き渡りました。

第二話「空に憧れたバカ」をお読みいただきありがとうございます!

スプレッドシートの疲労から解放された晴翔が、今度は「バカ」な遊びの代償を払うことになってしまいました。ココットランドで発生する「世界が重くなる」現象と「強制瞑想」。そして、誰にも助けてもらえない死体となった晴翔を待ち受ける運命とは……?

ココットランドの理不尽な日常、そして晴翔の受難は続くw!

本日は二本立てでしたね。暇だったんですよw。次話もぜひお楽しみに!

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