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第一話 バカ晴翔

ココットランドの警察官、夢々月晴翔(20)の日常は、常に疲労と不満に満ちていた。特に、山積みの事務業務――果てしないスプレッドシートへの入力作業は、彼の精神を蝕んでいく。そして、そんな彼の鬱憤を爆発させたのは、何を言っても飄々としている市長・もあいへのどうしようもない怒りだった。

ただ疲れていただけの警察官に、突如襲いかかる理不尽な事態。これは、ココットランドで実際に起こった、ちょっぴりおかしな物語の始まりである。

ココットランドの空は、今日も雲ひとつなく青かった。しかし、その広がる空とは裏腹に、夢々月晴翔、20歳の警察官の心は、鉛のように重く淀んでいた。彼の視界には、一日中睨み続けたスプレッドシートのマス目が焼き付いている。果てしない入力作業に、うんざりを超えて吐き気がしていた。それに加えて、この状況に対する市長の煮え切らない態度を思うと、疲労はピークを突き抜けて怒りへと変わる。もう、本当に、疲れ果てていた。


「くそ……っ!」


晴翔は、ずっしりと重い警察署の扉を押し開けた。軋む音と共に、外の空気が肌を撫でる。解放感と、それでも拭いきれない疲労と苛立ちが混じり合い、彼の喉から衝動的な言葉がほとばしった。


「もあいぃぃぃ!!!! ふざけんなぁぁぁぁぁ!」


晴翔の叫びは、ココットランドの街並みに虚しく響き渡る。疲労と不満が限界を超えた、ただそれだけの叫びだった。しかし、その瞬間、彼の全身が突如として燃え上がった。


「ぐっ……があああああああっ!」


焼け付くような激痛が、脳髄を貫く。熱波が彼を襲い、意識が遠のく。一瞬にして、晴翔の体は灰と化した。


ココットランドの警察署前。晴翔の警察官としての第一話は、文字通り燃え尽きた。だが、ここはゲームの世界。死んでも生き返る。


視界が戻る。体が再構築される、奇妙な感覚。晴翔は、警察署の前の地面に倒れていた。肉体は再生されても、彼の心に焼き付いた怒りは消えていない。むしろ、誰がこんな真似をしたのか、その理不尽な事態への憤りが膨れ上がった。


(多分、もあい……あいつだ……!)


晴翔は、倒れたまま地面に拳を叩きつけ、手足をバタつかせる。

「ふざけんなぁぁぁぁぁっ!!」


彼の怒りの叫びが、再び青空の下に響き渡った。すると、横から呆れたような声が降ってくる。


「あらあら、また燃やされたのですか? 本当に懲りない方でいらっしゃるわね、夢」


声の主は、医者の高嶺りりだった。その隣には、副院長のおばまじが、倒れている晴翔を見下ろしながら肩をすくめている。


「夢、やっぱお前バカだな」


おばまじの容赦ない一言に、晴翔はぐっと言葉を飲み込む。りりは慣れた手つきで治療用アイテムを取り出し、倒れている晴翔の体に当てていく。


「まったく、いつになったら学習なさるのかしら。あの市長に逆らっても、ろくなことなどございませんのに」


りりの言葉に、おばまじが軽く頷く。治療が進むにつれて、晴翔の体の痛みは引いていくが、心の中の怒りは募るばかりだった。


晴翔は地面に伏したまま、怒りの叫びを漏らした。スプレッドシートへの疲労、そして市長の「tx」権限による理不尽な制裁。ココットランドの警察官、夢々月晴翔の、終わりなき戦いはまだ始まったばかりであった。


でもこれ短編ものなのよね...

第一話をお読みいただきありがとうございます!

疲労困憊の晴翔を襲った、まさかの炎上事件。そして、この理不尽な出来事の裏にいるであろう市長・もあいの存在……。

果たして晴翔は、この意味不明な状況にどう立ち向かっていくのか?

次話もぜひお楽しみに!

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