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第二十六話

 ブラジェナは目を瞬かせる。彼女は自分の眉間に皺が寄るのが分かった。ペンダントって、あれよね。いつもジーノが首から下げてる、空色の雫型の。ご両親からの贈り物って言ってたわね。宝石ではなく、魔法石らしいけれど。大きさから考えて、魔法石と聞いて納得したわ。でも、と彼女は目を細めた。彼の首元を見る。今は見えにくいけれど、首にかかってるわよね?彼の首には空色の雫がかかっている。彼女は視線を揺らしながら、彼に声をかけた。


「ペンダントって。ジーノ、貴方の首にかかってるじゃない。」


 ブラジェナの声にジーノは顔を上げた。彼は眉を下げ、首のペンダントに手で触れる。輝く空色の雫が揺れた。


「違います。これではないんです。鞄に入れていた、もう一つの……。」


「二つ目のペンダント?」


 ブラジェナは目を見開いた。彼女にとっては初耳のことである。ジーノ、ペンダント二つも持っていたのね。


 首から下げているのがご家族からの贈り物だとして。ブラジェナは目を伏せた。もう一つのペンダントは、誰かからの贈り物かしら?そう考えて、ブラジェナは胸が押されたかのように詰まった気分になった。


 彼女は頭を振って気分を切り替えようとした。とりあえず、手伝おうかしら。


 ジーノから少し離れた木のところで、彼女は蹲み込んだ。杖を振り、新しい光球を浮かばせる。そして手を伸ばして探りながら、緑と茶色で覆われた地面を這うように見る。幸い、降り始めたばかりなのもあり、地面は大して濡れていない。そこで、木の根元で何かが光る。


 もしかして!


 彼女は自分の目が輝いたように感じた。被さった茶色い土を退かすと、全体像が見える。それは。


 茶色い土が付いている、緑色の雫型のペンダントであった。


 あったわ!きっとこれね!彼女の口元が緩む。彼女は自分の目が輝くのが分かった。彼女は雫を拾い上げ、四方八方から確認した。欠けたりはしてなさそうね。彼女は手拭いで大体の土を拭うと、息を吹きかけた。茶色の土が宙に舞う。粗方汚れが取れたところで、ブラジェナは目を細めた。大事なものみたいだし。


 彼女は杖を振り、傷付かないようにペンダントを魔法で軽く洗浄した。雫が光球に照らされ、これ幸いとばかりに爛々と緑色の光を放つ。これで良いわ。


 彼女は笑顔で後ろに振り返る。見えるように手を上に掲げた。そして明るい声で話しかける。


「ジーノ!あったわよ!これでしょう?」


「本当ですか!?」


 ジーノは、ブラジェナの声に弾かれたように顔を上げて彼女を見た。その勢いに、彼女は数歩後ずさる。


「え、ええ……。」


 ジーノは身体を起こして立ち上がると、早足でブラジェナの方に近寄った。彼女は手の平を上に向けてペンダントを差し出す。彼はそれを摘むと、青紫色の目を細めて微笑んだ。そして彼は彼女に満面の笑みを向けた。


「これで合っています!汚れも取って下さったんですね。……見付けていただきありがとうございました、ブラジェナ様。」


 輝かしい笑みに、ブラジェナの鼓動が高鳴る。彼女はついと横に目を逸らした。


「いえ……、見つかって良かったわ。」


「はい。」


 ジーノが頷いたのが分かった。ブラジェナは視線を下に向け、目を瞬かせた。彼女は横にも視線を向ける。彼女の横には白い光球が浮かんでおり、ワンピースに土汚れが付いている。前を見てから、彼女は杖を振った。光球が霧のように分散して消える。更に数回杖を振ると、彼女とジーノの土汚れが泡のように消える。続いて湿っていた服が乾いた。乾かしても雪が降っているし、あまり意味ないかもしれないけれど。


「ありがとうございます。」


 上からの声に、ブラジェナは首を縦に振った。数秒後彼女はジーノに再び視線を向ける。彼は手の中で雫を回転させ、目を凝らして見ていた。破損していないか確認しているようである。暫くして、彼は目元を緩め、小さくため息を付く。そして、彼女に微笑を向けた。


「良かった……。保護魔法がかかっているのですが……自分の目で見ないと安心出来なくて。どこも欠けていません。ありがとうございました。」


 保護魔法がかかっていたのね。ブラジェナを肩透かしを喰らった気分になった。とは言っても、大事な物らしいし仕方ないわね。 


 ブラジェナはジーノの言葉に頷いた。そして視線をペンダントに向け、首を横に傾ける。


「ええ、そうみたいね。……ねえ、それって魔法石なのよね?」


 ペンダントを鞄に慎重に仕舞いながら、ジーノは首を縦に振った。


「はい。魔法石ですが、寧ろそれ自体が魔導具なんです。そしてこれも。」


 ジーノは青紫色の目を伏せ、手で首元の空色の雫が付いたペンダントに触れた。ブラジェナはそれを聞いて、自分の目が好奇心に爛々と輝くのが分かった。彼女は笑顔になり、彼に詰め寄った。


「魔導具なのね!どんな効果があるの?良かったら……、教えてくれないかしら?」


 ブラジェナは最初見せて、と言おうとした。しかし、すぐ発動出来るとは限らないので、教えて、と尋ねた。


 ブラジェナの言葉に、ジーノは目を伏せ、顎に手を添えた。


「効果、ですか……。」


 ジーノはブラジェナに視線を寄越した。彼は目を合わせたまま、微笑を浮かべゆっくりと首を縦に振った。


「見付けて頂きましたし……。ブラジェナ様なら、構いませんよ。」


「本当!?嬉しいわ。」


 ブラジェナは手を合わせ、笑顔で喜んだ。肌身離さず付けているみたいだし、ずっと気になっていたのよね!まるで少女のように、ブラジェナの心臓が波打つ。彼女はより身を乗り出した所で、目を瞬いた後、数歩下がった。少し近過ぎたわね。彼女は頰が熱を持つのが分かった。



 ジーノは空を見上げる。上から降る雪を見て、腰を浮かす。そして、何処かの店に室内に入りますか?と尋ねた。ブラジェナは思案した後言った。


「ここで見せて欲しいわ!」


 ジーノは首を縦に振った。


「分かりました。」


 ジーノは辺りを見回し、眉を顰めた後、ベンチに座った。


「雪が降っているので、室内の方が宜しいかと思ったのですが……。魔導具の効果もあり、屋外でご容赦ください。」


 使って見せてくれるのね!ブラジェナは自分の目が輝くのが分かった。首を縦に振る。


「構わないわ。」


 雪が綺麗だしね。彼女は目を細めて上を見上げる。暗い色の空からは白い雪が辺りを包んでいる。それに。彼女は周りを見回した。辺りからは話し声が聞こえる。恋人ばかりだけど、まだ周りには人がいるもの。広場の人々は空を見上げたり、隣と笑顔で会話などを行っていた。


 ジーノは、黒の鞄を外側に置く。そして、彼女の隣に腰掛けた。お互いの肩が触れる。彼は首のアクセサリーを外した。ブラジェナは目を瞬いた。あら?


「そっちなのね?」


 首を傾けるブラジェナに、ジーノは微笑を浮かべて首を縦に振った。


「ええ。」


 彼は懐から杖を出し、空色の雫に杖を当てた。杖先に淡く白い光が灯る。それは徐々に移動し、空色に吸収された。白が消えた瞬間。


 魔法石が眩いばかりの光を発した。


 眩しい!ブラジェナは思わず目を瞑ってしまった。彼女は閉じた瞼の裏がチカチカした。


 暫くして彼女は目を開ける。彼女は目に入った光景に、ほうっとため息をついた。


 わー……!


 魔法石の上には、大きな白黒の鮮明な映像が出ていた。背景の雪と合わさり、美しく見える。ブラジェナは目を細め、胸の前で手を組んだ。


「凄いわね!映像が出るなんて。貴重な物でしょうね。」


 とても高価な物だとブラジェナは分かった。両親の愛情が感じ取れる。ジーノは感慨深いと言った声で答えた。


「はい。……初めて使用した時、私も感動しました。」

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