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高校1年生のユタカが目を覚ますとそこは見知らぬ部屋のベッドの上だった。
見た感じ女の子の部屋のようだ。
そして何故か紐で手足が拘束されていた。
ユタカ「えっ!?何これ?どういう状況?」
混乱するユタカに声がかかる。
「あ、起きたんだね」
それはクラスメイトの女子生徒・ミズキの声だった。
ユタカは慌てて起き上がり声の主を確認する。
そこにはミズキがいた。
どうやらここは彼女の部屋らしい。
ユタカ『ミズキさん、これは一体どういうこと!?放してよ!』
ミズキ『ユタ君が悪いんだよ』
ユタカ『俺が何をしたって言うのさ?』
ミズキ『ユタ君が他の女の子と仲良さそうにしてるから……』
ユタカ『いや、意味わかんないんだけど』
ミズキ『いいじゃない別に!私だってユタ君の事好きなんだもん!』
ユタカ『だからなんなんだよ!?』
ミズキ『いいじゃん!付き合おうよ!今なら私がリードしてあげるし!』
ユタカ『ふざけんな!俺はそんな気はないぞ!』
するとミズキは無表情になり、冷たい目でユタカを睨みつける。
ミズキ『どうして?どうしてそんなひどいこと言うの?』
ユタカ『いや、普通断るだろこんな状況じゃ』
ミズキ『ふーんそういう態度取るんだ……
まあいっか。ユタ君は一生ここで私と暮らすことになるんだから』
ユタカ『はぁ!?何を言ってるんだよお前!』
ミズキ『大丈夫だよ、ずっと一緒だから』
ミズキは笑みを浮かべながらユタカに近づく。
その表情はとても暗く狂気を含んでいた。
ユタカ『ちょっ!ちょっと待てよ!落ち着けって!』
恐怖を感じたユタカは必死に暴れるが手も足も縛られているため逃げることはできない。
ミズキ『愛してるよ、ユタ君』
こうしてユタカはこの日を境に行方不明扱いとなった。
その後、彼の行方を知るものは誰もいないという。
ユタカは縛られたままの状態で過ごしていた。食事はミズキが与えてくれる。
ミズキ『はい、あーん』
ユタカ『じ、自分で食えるから外してくれよ』
ミズキ『ダメだよ~まだ食べさせてあげないと』
ユタカ『せめてこの紐だけでも解いてくれないか?』
ミズキ『ダーメ♪』
ユタカは脱出を試みようとするがロープがきつく解けず逃げ出すことができない。
仕方なくされるがままにしているしかなかった。
ミズキは学校では普段通りに振舞っているため、怪しまれることはなかった。
そして家に帰ると大好きなユタカが側にいるという状況のため、
とても幸せそうな顔をしていた。
一方ユタカの方は常に不安を感じていた。
このままでは何もできずただ生きるだけの状態が続くだろう。
しかしそれでもミズキを説得することはできそうもなかった。
そこでユタカは何とか隙を見て逃げ出そうと考えていた。
だがうまくいく自信はなかった。俺はこのままここで暮らすことになるのか…
ユタカにはもう受け入れるしかない未来しか残されていなかった。
ミズキ『でね、今日学校でこんなことがあったんだよ!』
ユタカ『へぇーすごいじゃないか』
ミズキ『えへへー』
ミズキの話を聞く限り彼女は今まで通りの生活を送っているようだ。
この状況においても
嫌なヤツならともかくミズキに好かれることは悪い気がしなかった。
(特に危害を加えてくるわけでもないし、いっそ付き合ってみるのもいいかもしれない)
などと甘い考えを抱くようになっていた。
ある日ユタカとミズキは一緒にいた。
二人きりの状況である。
ここを逃すとチャンスは無いと思ったユタカはある提案をする。
ユタカ『なぁ、そろそろ俺を自由にして欲しいんだが』
ミズキ『えっ?でもユタ君はまだここに居たいんでしょ?』
ユタカ『いや、いつまでもこんなところに居るつもりはないんだよ』
ミズキ『嘘つき』
ユタカ『本当なんだって!頼む!信じてくれ!』
ミズキ『うぅ……グスッ……ヒック……』
ユタカ『!?』
突然泣き出したミズキに驚くユタカ。
ミズキ『ユタ君がいなくなっちゃったら私……どうすればいいの……?』
ユタカ『(困らせてやるつもりだったのに……逆効果だったか……?)』
予想外の反応を見せるミズキに困惑するユタカ。
ユタカ『わかった!わかったよ!もう少しだけ我慢してあげる!だから泣かないでくれ!』
ミズキ『ほんとう?約束してくれる?』
ユタカ『ああ』
ミズキ『やったー!』
ミズキは嬉しそうに飛び跳ねていた。
その姿を見て少しかわいそうだと思ってしまったユタカだった。
それから数日が過ぎた。
ユタカの拘束は依然解かれないままだ。
ミズキは相変わらずユタカの世話をしていた。
ミズキ『はい、ご飯だよ』
ユタカ『ありがとう、いつも助かるよ。ところでさ、トイレに行きたくなってきたんだけど』
ミズキ『え?だめだよ』
ユタカ『なんでだよ!?』
ミズキ『言ったよね?ユタ君はここから出ちゃいけないって』
ユタカ『いや、だからそれは……』
ミズキ『それにトイレならここでしていいから』
ミズキは尿瓶をユタカの目の前に置いた。
ユタカ『はぁ!?お前何考えてるんだ!?』
ミズキ『私は別に気にしないから。大丈夫だよ』
ユタカ『そういう問題じゃないだろ!!』
ユタカは必死に抵抗するが、縄を解くことはできない。
結局、ミズキの前で尿瓶の中に放ってしまった。
ユタカ『最悪だよ……』
ミズキ『そんなこと言わないで。私が全部処理しておくから』
ユタカ『はぁ……』
ユタカは絶望した。
もはや抵抗しても無駄だと悟っていた。
この生活はいつまで続くんだろう。
そして時が過ぎ、1ヶ月が経とうとしていた。
ユタカはほぼミズキに飼い慣らされていた。
ユタカ『ミズキ、今日の夕飯は何にするんだ?』
ミズキ『今日はカレーだよ』
ユタカ『お、マジか』
ミズキ『うん♪』
ユタカは少しずつミズキに慣れ始めていた。
今となっては普通に接することができるほどになっていた。
ミズキ『じゃあ作ってくるから待っててね』
そう言って台所へ向かうミズキ。
ユタカはカレーが出来るのを楽しみにして待っていた。
そして数分後、完成したようだ。
ミズキ『できたよー』
ユタカ『おお、うまそうだな』
ミズキ『いっぱい食べてね♪』
こうして二人は夕食を食べ始めた。
味は美味しかった。
ユタカ『ミズキさんの手料理を食べれて俺は幸せだよ』
ミズキ『ほんと?嬉しい♡』
ユタカ『毎日食べたいくらいだぜ』
ミズキ『ふふ、ユタ君の好きなもの何でも作るよ』
ユタカ『本当か?』
ミズキ『もちろん!だって私たちは夫婦になるんだよ?』
ユタカ『えっ!?俺たち結婚するのか?』
ミズキ『えへへー』
ユタカ『(まあいいか)そうだな』
完全に洗脳された状態でミズキの言うことを全て信じるようになっていた。
さらに半年が経った。
もうユタカは完全にミズキの言いなりになっている。
ミズキはずっとユタカを監禁している。
ユタカ『ミズキさんが一緒にいてくれるだけで俺は幸せなんだよなぁ』
ミズキ『私もユタ君と一緒にいると楽しいよ』
ユタカ『これからもこの生活を続けていこうね』
ミズキ『うん、一生一緒だよ』
ユタカ『ああ……』
ユタカがミズキに逆らうことは無いだろう。
なぜなら彼はミズキを愛しているからだ。
こんな状態でも彼女がそばにいてくれればそれで良かったのだ。
それから更に月日が流れた。
ユタカ『ミズキー!会いたかったぞ!』
ミズキ『ごめんね、遅くなっちゃって』
学校から帰ってきたミズキをユタカが出迎えた。
ユタカ『俺寂しかったよ……』
ミズキ『私も同じ気持ちだったよ』
ユタカ『本当か?』
ミズキ『うん』
ユタカ『よかった!』
ミズキ『ずっと一緒だから安心してね』
ミズキは優しく抱きついた。
ユタカ『ああ、愛してるよ』
ミズキ『私もだよ』
そして数年後、痩せこけたユタカが縛られていた。
ミズキ『ただいまー』
ユタカ『おかえり』
ミズキ『今ご飯作るからちょっと待ってて』
ユタカ『わかった』
ユタカは相変わらずベッドに縛られた状態だった。
ミズキは高校を卒業し、今は大学生だ。
ユタカ『うまい!料理の腕上がってたんじゃないか?』
ミズキ『そうかな?えへへ……ありがとう』
そんな会話をしながら食事を終えた。
ミズキ『ねえ、結婚はいつにする?私はいつでもいいよ』
ユタカ『そうだな……20歳になってからにするか。俺今何歳だっけ?』
何年も同じ部屋にいるので時間間隔が無くなっていた。
ミズキ『19だよ』
ユタカ『そっか……来年だな』
ミズキ『うん♪』
ユタカ『それまでは我慢だな』
ミズキ『えー、早く結婚したいなぁ』
ユタカ『もう少しだけ待ってくれ』
ミズキ『はいはいわかったわよ〜』
そして約束の日が来た。ユタカの20歳の誕生日である。
ミズキは大学を終えて急いで帰宅した。
ミズキ『お待たせ〜♪』
ユタカは寝ているようだ。
ミズキ『あれ?起きてる?』
ミズキはユタカに近づいていく。
寝ていると言っても静かすぎる。
まるで息をしていないようだった。
ミズキ『…………え?』
ユタカの顔を見る。
目は閉じていているが、口元には笑みを浮かべており満足そうな表情をしていた。
ミズキ『嘘でしょ!?ねぇ!!ユタ君!!』
必死に声をかけるが反応はない。
ただ眠っているようにしか見えない状態だが、確実に死んでいた。
死因は栄養失調による衰弱死であった。
ミズキ『なんで死んじゃうのよ!!!
私達結婚するって言ったじゃない!』
その声を聞いて駆けつけた近所の人が通報し、警察がやってきた。
そしてユタカの死体を見て、それが数年行方不明だった少年だと確認できた。
ミズキは拉致監禁、死体遺棄などの罪で逮捕された。
裁判の結果、懲役10年の実刑判決が下された。
そして刑務所生活が始まった。
ミズキ『ユタ君……どうして死んじゃったの…私ユタ君が居ないと生きていけないよ』
その声が届くことはなかった……。




