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情熱VS殺意、決着。

意地の張り合いが終わり両チーム副主将を失った後、鴻山総合学院の選手達は次なる作戦に向けて準備を進めていた。


「いいか、神田の作戦では次は数的有利を作る事が求められている。相手の主将である我那覇は恐らく3人以上でなんとか倒せるレベル、最終的な理想を言うなら3−1以上だ。」

「って事はフェーズ2は…」

「そう、プランCで行く。こっちも蝶野がやられてしまったからな。」


襲撃成功と同時に鴻山総合学院の選手たちは一定方向に固まって進む、大通りや見えやすい道を避け裏路地を中心に建物の遮蔽を利用して。

現在鴻山総合学院は神田の作戦複数を受け実際に実行可能な物を主将である真鍋が選びながら修正擦るスタイルをとっている。

プランC、それは地形を利用したヒット&アウェイ。

建物を壊して相手に当てつつ攻撃を仕掛け戦力を削ると言うもの。

襲撃と同じく相手に思い通りの試合展開をさせない事、これの徹底を神田は繰り返し選手達に言い続けた。


「よし、準備開始だ。」


真鍋の合図で全員が動き出そうとする。

この作戦と真鍋の現場指揮能力があれば勝てる可能性が出てくる、そう思った鴻山総合学院の選手達。

夢は覚める。


「ぇ、」


3歩動いた鴻山総合学院の背番号3、北条が目の前から消える。

神速の神隠し、聞こえた刹那の声。


「まず1匹。」

「全員!散会!!!合流地点は3、大急ぎ逃げろぉぉぉぉ!!!」


冷や汗を出し、大声で叫ぶ真鍋。

全員は一瞬遅れながらも脱兎の如く最大速で逃げる。

その声の主はいる筈の無い、我那覇。

真鍋の脳内は情報が錯綜する。


(いつ来た?どこから?いやまずどうやってアイツは私達の居場所を当てた?どうすればいい?)


思考と共に進み時間にして3分、無意識に大通りに出る真鍋は少し先に仁王立ちの我那覇を見つける。


「真っ先に私を狩りに来たか…或いは仲間に任して各個撃破が狙いか?」

「貴様で最後だ。」

「何?」


『アナウンスです。

ダウン 鴻山総合学院3、4、5、6。

撃破 覇連大付属1。』


衝撃の事実に恐怖する。

それは絶望に他ならない。

相手の土俵に立った瞬間、たった1人によって4人が倒された。

時間にして3分。

人数にして6対1、ここの実力でも勝ち目は無い。

それでも真鍋の心は依然燃えていた。


「これは本気を出した、と言うことか?」

「あぁ。不本意だが出さないとこの借りは返せないからな。」

「嬉しいね、まさか世代最強の一角が本気で相手してくれるなんて。」

「瞬殺だ。俺が最強である事を2度と疑わない為に、一瞬でも揺るがしたテメェらに見せつけてやる。」


握られた二丁拳銃の銃口より殺意を放つ我那覇。

刀を構え燃える思いを溜める真鍋。

思いがぶつかる。


先に動いたのは真鍋だった。

絶妙間合いを保つ両者の間で有利に立つには距離を詰める他無い。

目線まで上げながら切先を向ける構えから刀を下ろし、脱力、そして息を吸い地面を蹴る。

勢い良く飛び出し距離を詰めようとするが正確に、素早く連射される弾丸に拒まれる。

地面には弾痕が付き数を増やしていく。

交わされる弾丸と詰めさせて貰えない距離の狭間で互いが気を張り続ける。


2分、3分と続く両者の攻防。

SAの銃は弾が自身のエネルギーである為尽きず、刀も同様である為折れない。

だが逆に言えば両者は消耗し続けている。

弾を撃てばエネルギー使い、交わしながら動けば体力が消耗する。

主将同士の我慢比べと削り合いが行われている。


「折れろ!!!」

「負けてたまるかぁ!」


刹那のやりとりの中で勝負に出る真鍋。

一気に直進する。

それまで交わしながらタイミングを測っていたがお構いなし、ただ目標物に向かった。


「血迷ったか!?」

「覚悟だ!!!」


弾丸を最低限は交わすも被弾もしながら進む、ただ一太刀に全てを込める為に。


「ここだぁ!」

「馬鹿め!!」


振りかぶり一撃を喰らわせに掛かるも交わされる。

だが真鍋が賭けた一撃はこの先にあった。

自身の奥義、磨き続けた技。

そう、その名は。


「『燕返し』!」


振り下ろされた刀から力を抜き、地面スレスレの切っ先を翻し地面を再び踏み込み振り上げる。

刀は後ろ飛びで少しばかり浮く我那覇の胴体に僅かに触れる。


「っく!」

「まだだ!『燕落とし』!!!」


次なる技は神田より授けられたまだ練習中の新技。

燕返しの要領で更に加速させ振り下ろす。

これが可能になれば連撃しながら加速していく事が可能になる、まさに必殺の奥義。

賭けに賭けを重ねたこの一瞬は再び我那覇を追い込む。


「感謝するぜ、見知らぬ学校の見知らぬ猛者。

久々に見えたぜ…この景色の向こう側が!

本気も本気だ!!!」


後ろに飛ばされる我那覇の身体に変化が起きる。

足が光り現れるのは新たなるSA。


「2つめのSA、フライングブーツだ!」


技の構えをしていた真鍋だがそれを中断する他なくなる。

それもその筈、何しろ先程まで体勢を崩しながら倒れる筈の我那覇が異常なほど加速し、体勢を直したと思うと今度は空に浮いているのだから。


「出たな、ハイブリット。」

「去年の全国以来、中々出てこなかった。だが今日!俺様は再び!展開した!」


その後は呆気無かった。

大通りで建物も無く、空飛ぶ相手が永遠と銃弾を放つのだ。

更に真鍋は燕返しを当てる為に銃弾を既に喰らっている。

疲労も状況も限界を超えていたのだ。


『試合終了

覇連大付属6ー0鴻山総合学院』


鴻山総合学院は敗北した。

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