奇襲、成功せり!
3試合目
覇連大附属ー鴻山総合学院
フィールド 都市
「あーあ、つまんねなぁ…」
聳え立つビル群の中1番高いビルの上でため息を吐きながら愚痴も吐く、覇連大附属の主将にしてエース、我那覇康二。
そして副主将の仲村渠が話を聞いていた。
「文句言うな、前の2試合は県内屈指の強豪だったろ?」
「でも雑魚すぎだし〜全然手応えなかった。」
「それを言ったらこの試合の学校は実績なんてない学校だよ?」
「はぁ〜、さっさと倒して帰ろうぜ?木更津法令がいない千葉なんて、雑魚ばっかやん。」
彼らは強すぎるのだ、小細工など通じない程に。
その強さの由縁は堂々とした戦い方にある。
個人の能力も然ることながら、作戦は全員で一斉掃射のみ。
単純な力の弾丸と弾幕のみが彼らの強さであり、沖縄の王者たらしめているのだ。
しかしこの試合は異変にまみれていた。
「おかしい…」
「あ?どうした。」
「見つからない。」
「あぁ?さっきから会話に集中にしてるからじゃねぇのか?」
「ふざけるな!俺はそんな程度で索敵の精度を下げたりしないよ!」
1つ目の異変、それは敵が見つからない事だ。
都市フィールドは高層ビルが多く入り組んだ道もある。
覇連大附属はこのフィールドの攻略として副主将である仲村渠のSAでスナイパーライフルの可変スコープによる偵察を採用している。
精度、速度共に申し分無くこれまで相手を発見してきた。
それだけに仲村渠には嫌な予感が働いていた。
(やっぱりおかしい…隠れてるにしろ、不利なチームの方から攻撃して流れや主導権を狙うはずだ。それでも来ないと言うことは何か仕掛けている途中か、カウンター狙い?だとしてもここまで徹底的に隠れるか?)
「やっぱりここは派手に一発ぶち込んどくか??なぁ?仲村渠。」
「あのな我那覇、それやった結果何回負ける危機に陥ったか…忘れたか?」
「でもよ〜暇やし練習試合やろ?相手も弱いし人数足りないから勝てるって〜」
ここまで敵が見つけられない以上、仲村渠には強く否定できる材料や権利は無かった。
「…分かった、それで行こう。」
「…っ!待ってたぜ!!!」
「ただし!打つのは1発のみだ!分かってるだろうが、楽しいからって連発するなよ!!」
「分かってるって…でも1発のみならどこ撃てばいいんだ?」
「んー…とりあえず射程範囲ギリギリの所で。方角は特に指定しないよ。」
「了解!おーい、島袋。出番だぞー!」
呼ばれたのは覇連大付属背番号3の島袋。
巨大な砲台のSAを展開しているその選手は目の前に標準を合わせると我那覇に向かい指でOKサインを出す。
「それじゃ〜撃てぇぇぇ!!!」
轟音が鳴り響き地面を揺らし、床にヒビを入れる。
古い大砲から放たれた巨大な鉛玉は重力にしたがって緩やかに落ちて、着弾。
破裂音の後着弾地点の建物が崩れる。
「どうだ?」
「…反応無し、か。」
一瞬、気が抜ける。
相手は隠れるだけの弱小無名校だ。
人数すらまともに集められない様な格下だ。
その油断、強者の余裕と矜恃、強さが…鴻山総合学院にチャンスをもたらした。
「もう1発行っとくっ…おァ!?何ぃ!?!?」
ひび割れた地面が崩落し覇連大付属の選手が落ちる。
いきなりの事で混乱し殆どの選手がじたばたと手足を動かす。
「ぅごぁ!?」
「いでぇぇぇぇ!!!」
「ふぐぅ!?」
下に待ち構えていたのは鴻山総合学院の選手達。
鳥の雛に習うが如く上からの獲物に各々のSAを最大火力でぶつける。
「来たなぁァァァ!!!楽しませろよ、凡愚共ぉぉぉ!!!」
「我、奇襲成功せり!」
我那覇と真鍋の視線がぶつかり合い、本当の開戦が示される。
覇連大付属7ー6鴻山総合学院
ダウン 覇連大付属3.6.7
撃破 鴻山総合学院 1.2.4
アシスト鴻山総合学院3.5.6