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元荷物持ちの冒険者生活  作者: 近視のスナイパー
2/5

クビになった男

 大陸の中央にあるカザリア帝国。帝都カザリアにある冒険者ギルドに併設されている酒場で俺はリーダーのランディからこう言われた。


 「ヴェイン…お前、反抗的だからクビな」


 「わかった」


 このパーティーに荷物持ちとして参加して3年。俺なりに頑張ってきたつもりだったけど…仕方ないよな。ランディの指示に素直に従ってたら死んでたと思うし。なんとなくこうなる気はしていた。


 「…メーシェはどうする?」


 「……私は残るわ」


 俺の恋人…メーシェはパーティーに残るらしい。それはつまり、俺と別れるという事だ。


 「メーシェも俺が可愛がってやるからな」


 「触らないで」


 たった今別れたばかりの元恋人が女好きのリーダーに絡まれているところなんて見たくない。俺は背負っていたパーティーの荷物を置いてギルドの受け付けに向かった。


 「ヴェインさん…」


 受け付けにいた職員のアンナさんは俺達のやり取りを聞いていたらしい。心配してくれているようだ。


 「俺、『銀の剣』を抜けたので…ソロの冒険者になります」


 「…え?」


 「Dランクの冒険者だからソロでも問題ないですよね?とりあえず薬草採取に行ってきます」


 一般的に荷物持ち…ポーターは低ランクの冒険者が冒険の経験を積む為にやる仕事だ。通常は長くても半年くらいで冒険者として活動する。俺は15際の頃から5年間ポーターをしていた。理由はもちろんある。ポーターはパーティーを組む際に必要だと思っていたからだ。

 ポーターは決して楽な仕事じゃない。重い荷物を運び、食料やポーションといった冒険に必要な荷物を命がけで守るパーティーの最重要職…ごめん。ちょっと言い過ぎた。でも、重要な役割を担っていると思う。

 『銀の剣』をクビになった今…他のパーティーに入る気にもならない。だから俺はソロの冒険者になる。薬草採取だけでも生計は立てられるんだ。慌てずにのんびりやろう。


 「…無理はしないで下さいね」


 「はい。ありがとうございます」


 ランディはもう飲んでいるけど…まだ昼過ぎなんだよな。今から帝都の近くにある森に行ってもギルドが閉まるまでには帰ってこれるはずだ。…荷物は全て置いてきた。金どころか着替えすら無い。アイツらに金を下さいって言うのも癪だから急いで稼いでこなきゃな。


 

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