売上アップ
あるプロ野球選手は売上報告書に目を通していた。
先日、地元のメガネショップとコラボして、オリジナル商品をつくったのだ。特別なデザインの「メガネ」である。普段からメガネをかけているので、自分にオファーが来たらしい。「店舗のみでの販売」で「個数限定」だ。
このコラボ商品の「メガネ」、発売開始から数日は非常に売上が良かった。
(これならすぐに完売して、再販なんてことがあるかも♪)
ところが、初期の売れ行きがウソのように、それ以降はほとんど売れていない。
球団の企画部からは、「こういうものだよ」と言われたが・・・・・・。
選手は変装して、そのメガネショップに出かける。こっそりと現場を視察するのだ。売上を回復させる、そんなヒントを発見できるかも。
しかし、すぐにこちらの正体がばれてしまった。商品を開発する過程で、店長とは何回も顔を合わせていたので、こうなるのは当然かもしれない。もっと重装備の変装をしてくれば良かった。
「メガネというものは、そんなにぽんぽん売れるものではないですから」
そう言って店長が、店の中を案内してくれる。
コラボ商品の「メガネ」は、店の一等地に並べてあった。
こんなに良い場所をもらっておいて、週に一個売れるか売れないかというのは、非常にまずい気がする。
とはいえ、どうすれば売上アップにつながるのか。
そこで、ふと閃いた。
自分がかけているメガネを外して、店の中を見回してみる。
これは、ひょっとして・・・・・・。
店長に話すと、そのアイデアを試しにやってみてくれるという。
それからしばらくして、最新の売上報告書が届いた。
少しずつだが、例のコラボ商品が売れている。この分なら、何とか完売できそうだ。良かった、良かった。
あの時に閃いたアイデア、そんなに大したものじゃない。
値札の文字を大きくしてもらったのだ。メガネを買いにくるお客さんにも、はっきりと見えるように。
次回は「リリーフカー」のお話です。