ジグソーパズル
私はジグソーパズルで遊んでいた。
パパにもらったジグソーパズルだ。なかなか難しい。
私のパパはプロ野球選手だ。
で、このジグソーパズルは、パパがいる球団で販売している。パパが試合で大活躍した時の写真だ。満塁ホームランを打ったところ。
そのジグソーパズルに挑戦しながら、
(少し背伸びしすぎたかも)
私は今になって後悔する。ジグソーパズルは好きだけど、これはさすがに断片の数が多すぎる。
二時間がんばっているのに、まだ半分もできていない。
そんな時だ。
パズルをがんばる私のうしろで、パパが笑ったのだ。
「それ簡単なやつなのに、まだ完成していないのか。遅すぎる。お子ちゃまでちゅね~」
ムカッとしたので、
「じゃあ、パパがつくってみせてよ」
それまでにつくった分をすべてばらばらにして、ストップウォッチもリセット。これでパパの記録を計測ってやる。
「さあ、やってみて!」
「いいだろう。パパのすごさを証明してやる。また、パパのかっこ良さポイントが上がっちゃうな」
十五分後。
「できたー!」
パパが満面の笑みで叫んだ。
黙り込む私。こういう時は空気を読んで、「このパズル、思っていたよりも難しいね。一緒につくろうか?」とか、そんな感じにするものじゃ・・・・・・。
「まだ全然本気を出していないぞ。今のは、パパの実力の一パーセントくらいだ。余裕、余裕♪」
「・・・・・・」
この時、私はパパへの復讐を誓った。
そのためにママに相談して、ある準備をこっそり進める。
しばらくして、パパの誕生日が訪れた。
いよいよ復讐の時だ。
「パパ、おめでとー♪」
私は満面の笑みでパパに言うと、
「はい、誕生日プレゼント。私とママからだよ♪」
リボンのついた大きな袋を渡す。
嬉しそうに受け取るパパ。
「中身は何かな♪」
「ジグソーパズルだよ♪」
中身を見るなり、パパの顔がわずかに曇る。
袋の中からジグソーパズルの断片をすべて取り出すと、しばらく確認してから、
「これさ、別のパズルの断片も混ざっていないか?」
「うん。五種類のパズルを混ぜてみた。がんばってかき混ぜたよ。一週間くらい」
これで難易度は一気に跳ね上がる。しかも、その五種類すべて、同じ球団のプロ野球選手がホームランを打っている写真だ。
私はストップウォッチをパパに見せると、
「それでは開始します。位置について、よーい」
パパの本気とやらを見せてもらおう。
次は「新しい監督」が出てきます。