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心税

作者: .

心は税金が払えなければ持てない世界での商売。

 最近新しい税金が課税されるようになった。

 その名は『心税』しんぜいと言うらしい。

 心税が課税される背景にはAIの発達というものがある。

 人間には心があって、『面倒くさい』や『やりたくない』という心があるゆえの感情によってミスやトラブルが引き起こされる。

 それなら、仕事はすべてAIに任せてしまえばいいのでは?という考えも広まった。

 しかし、AIにすべての仕事を任せるには莫大な額の維持費がかかってしまう。そこで、人間から心をとればAIよりもはるかに安い維持費で仕事を行うロボットが完成してしまうらしい。

 もちろん、心税が新しく課税されたときは反対する人もいた。

 「人間が人間である理由の一つである心を『お金を払うことができないから』なんて単純な理由で人の自由を奪っていいのか」

 「心の病気のせいでお金が払えない人への配慮はどうなんだ」

 など、かなり多くの批判の声が上がったが政府のアンサーはこうだ。

 「日本は今、人口減少が問題視されていて生産年齢人口が減っていく。そんな問題に直面している状態で心のせいで働けないなんて人は国家的に価値がない。嫌なら働け。お金をおさめろ。なにも、無条件で心を奪おうと言うのではない。日本が福祉社会を名乗っていたのは昔の時代だ。いつまでも国が自分のことを守ってくれると思うな」

 というものだった。

 このアンサーで反対意見が収まるわけはなかった。だが、数か月立つと反対派の意見は消えていった。

 おそらく反対派の人たちの心は無くされたのだろう。

 「なんとも物騒な世の中になったな」

 とつぶやき私は左手に持っているコーヒーを飲む。

 実際反対派の意見はお金が払えそうにない人たちの意見が大勢だったのだろう。反対というのは、自分にとって都合の悪いものに起こるものだから。

 実際には親しい人や親がお金を払えそうになくて反対している輩もいたんだろうが反対する暇があったら、そいつらの分の金もまとめて払ってやればいいのに。

 結局どっか一つ心の中で線を引いてどこかで他人事なのに判定して心をとられた。哀れな連中でしかない。

 「まあ、この社会のおかげで私は富豪になれたからな」

 私はこの機を逃してはいけないと思い『心安全保険』といううものを立てた。

 内容はこうだ。一般的な保険と一緒で前もってお金を払っておく。そして、もしも心税が払えなくなってしまったら前もって払っておいたお金から税金を払う。というものだ。

 だがこれでは対して儲ける事はできない。そこで私は考えた。

 心を無くしてしまった次の月に税金も払い、三か月分の税金も銀行に振り込まれるものにしようと。

 これだけ見ると私は儲けることが難しい用意見えるかもしれない。だが、

私の目論見は成功した。

 

 「プルルルル」

 電話が鳴った。

 「はい。こちら心安全保険です」

 「はい…はい…了解しました。心税の方はこちらからお支払いしますか?」

 「はい…心は不要なものだからお支払いは不要ですか。了解しました。その場合前もってお支払いして頂いた金銭はお返しできませんがよろしいですか?」

 「了解しました。それでは保険も退会ということで問題ないでしょうか?」

 「了解いたしました。それでは失礼いたします」

 この会話で分かるかもしれませんが、心は一回なくなってしまうと不要なものだと記憶されてしまうんですよ。

ご愛読、ありがとうございました。

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