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「雨、上がる」  作者: 石橋 渉
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三雨 「別の女」

挿絵(By みてみん)


「————何でもいいっ! とにかくっ! 


 雅が目を覚ます方法は無いのかっ!?」


"ダンッ!!"


善波は、先に御代の座を決める理事会が開かれた円卓が置かれた一室で


卓を囲んでいる数人の医者に向かって声を荒げる!


「何かっ!? 何でもっ!! いいからっ!?


 雅が目を覚ます方法は無いのかっ!?」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


ここ数日、この部屋に集まった十名ほどの精神科医や、


外科、内科___________ 更には精神的な疾患に詳しい専門家の様な人間が


この叶生野荘に呼び寄せられたが、それらの人間の間でも雅が何故


この様な事になっているのか分からないのか、部屋の中に集まった


専門家たちは善波の言葉に皆俯(うつむ)いて顔を伏せたままでいる


「ガタッ」


「善波会長....」


「… … …、何だっ」


円卓を囲んでいた人影の中から一人の男が立ち上がる


「あんたは、確か┈┈┈…」


「伊勢崎です」


大声で焦れた様子を浮かべている善波の様子を伺いながら、伊勢崎は口を開く


「どうやら、見た所あの患者____________


 雅さんが目を覚まさないのは心因的な原因による所が大きい様です...」


「… … …そんな事は分かってる」


雅の様子を見れば、それが前回の御代の一件が影響している事は


この場にいる全員が周知している事実だ


「中々、心因的な強いストレスによって精神が侵された場合、


 それを治すのは簡単な事ではありませんᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


「じゃあ、雅は治らないかも知れないって事か?」


「—————、...」


"スッ"


伊勢崎は険しい表情を浮かべると、再び何も言わず自分の席に付く


「  ... .. .. ..」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「┈┈┈…つまり、雅が目を覚まさないのはどうやら、その、


 御代の一件の心因的なストレスが原因の様なんだが˛˛˛˛」


善波と征四郎が雅のベッドを囲んで、叶生野荘に集まった専門家たちから


聞かされた話を互いに話し合う


「色々、他にも手は打ってるんだがな....!」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


日本、そして海外の名医はもちろんの事善波は雅の状態が


精神的なストレスに起因している事を知り、様々なあまり普段では


話しをする事も無い様な整体師、宗教家、修復家____________


通常の生活では耳にしない様な肩書を持つ専門家達をこの叶生野荘の


屋敷に呼び寄せ、雅を治せる方法が無いか探っていた・・・・


「ガチャッ」


「————ハロー。」


「ジャン....」


"カッ カッ カッ カッ...˛ཬ˛ཬ˛ཬ˛ཬ˛ཬ˛ཬ  "


部屋の扉が開くと、そこには前回御代の後継者候補の一人だった


フランスの石油会社の代表


"ジャン・アルベルト・トオノ"


の姿が見える


「善波様┈┈┈… !」


「近藤も一緒か」


ジャンの後ろに隠れる様に、その後ろにはこの叶生野の邸宅で


執事達を(まと)めている近藤が姿を現す.. .. .. ..


「┈┈┈…ヨクないみたいネ...」


"コッ コッ コッ コッ.....


部屋の中の様子に、ジャンは未だに雅の容態が思わしくない事を悟る


「_________ミヤビ....」


"ガタッ"


「それで、何か雅の容態を治せる様な方法は分かったのか?」


「 ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


自分の脇に座ったジャンの様子を軽く覗いながら、善波は顔に包帯を巻いている


近藤の顔を覗き込む


「いえ、東京はおろか、この日本、さらには海外の医者の方々、更には


 その様な精神的な治療に詳しい専門的な方々には手の尽くせる限り、


 声はお掛けしたのですが___________」


「┈┈┈∙∙∙結局、雅を治せる様な方法は見つからなかったって事か...?」


「_________私の知る所、どうやらその様でございます...」


善波から雅の容態を治せる方法が無いかと尋ねられた近藤は、


世界中に点在する叶生野グループの傘下の者達と連絡を取り、


ありとあらゆる少しでも、何か今回の件に関して詳しい事が分かりそうな


人物達と連絡を取っていたが、雅の状態は変わらず何か他の手立てが


ある訳でも無く、ただこの尚佐邸で叶生野家の者達は


(いたずら)に時間を過ごしていた_____________


「( .. .. ... .)」


「セイシロウ┈┈┈┈… ?」


「… … …何だ、ジャン?」


雅のベッドを挟んで、向かい側の椅子に座っていジャンが


重い表情で沈んだ様な声で話しかけてくる


「セイシロウは、ミヤビが、ネテルのを、ドウオモッテル....?」


「(————、...)」


隣で横たわっている雅を、征四郎は見下ろす


「(俺は┈┈┈┈…  )」


特に、今まで何か深い関りがあった訳でも無い。


「(_________"雅" ...)」


"あなたが、御代になるなんて事はあり得ない∙∙∙∙ !"


「(  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ )」


それに、つい先日まで目の前にいるこの女は自分と御代の座を争い


罠を仕掛けてきた様な相手だ....


「....ミヤビが、目をさまさナイのはこのマエのミダイのコト∙∙∙


 セイシロウにも、オオキク関わってるコトよ… … …?」


「  ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ ᱹ 」


"ガチャ"


部屋の中に声が無くなると、少しして再び部屋の扉が開く


「あ~ やっぱり、ミヤビまだ、起きないか~」


「....ルー...」

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