表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「雨、上がる」  作者: 石橋 渉
118/666

百十八雨

挿絵(By みてみん)


「(・・・・)」


"ジジッ------


「・・・それにしても------」


「・・・・」


「I'm sure you'll soon grow tired of the


 relationship if you talk boredom with the


 woman in the right palace--------

(適当にその場の女と退屈な話をしても、


 すぐに関係には飽きが来るだろうな------)」


どこからか時折聞こえてくる声を聞きながら


征四郎が、雅、尚佐、綾音の隣で


無言でグラスに入ったウイスキーを傾けていると、


雅の隣に座っている尚佐がグラスを片手に


何かを呟く


「------結婚式、と言うのも....


 男にとっては、大した事じゃあ


 無いかも知れないが


 女にとっては、ある意味


 大切な事なのかも知れないな...」


"カラ...."


「------何を言ってるんだ」


"ヒョイッ!


「だって、そうでしょ----っ!?」


「・・・・」


"ガタッ"


よく分からない、曖昧な言葉で語り掛けてくる


尚佐に征四郎が不快な表情を見せると、


隣の椅子に座っていた雅が


カウンターの上に身を乗り出しながら


征四郎に大きな声を上げる


「あのさー、あのさー...」


「・・・何だ?」


回りくどい話が好きではない征四郎は


雅の様子に無関心を装うが、


カウンターの上に身を乗り出した雅は


何か、気恥ずかしそうな様子を見せて


下を向きながら喋っている


「や、やっぱ、式ってのはさー...」


「・・・結婚式の事か」


「そ、そうなんだけど...」


「------結婚式ってのは、女の一生を


 左右する一生の出来事だものね」


「------"!"


 そう! そう!」


カウンターの端にいた綾音の言葉に、


雅は大声で返事をする


「やっぱ式ってのはさー


 こう、女にとって...大事って言うか...」


「・・・何の話をしてるんだ?」


「"一生"をちかう物なんだよ?」


「・・・・」


「そ、それでさー...」


「(・・・・)」


目の前の雅は、子供だからか、


何か取り留めの無い事を話しているが、


征四郎にはそれより、今この状況の


おかしな曖昧さに意識が向く


「・・・あの時、お前は、


 "圭介"といたのか?」


「・・・圭介?」


「・・・知らないのか?」


「圭介・・・」


子供の姿をした雅は、征四郎の言葉に


目を丸くしながら、何かを考えている様な


顔付きをしている


「・・・圭介ってのは、前の雅の旦那だろう?」


「知ってるのか?」


「------どうだろうな ククッ」


「・・・・」


圭介の名前を突然口に出した尚佐に


征四郎が目を向けると、何故か


尚佐の左の耳が大きく腫れ上がっている様に見える


「あの、結婚式の意味はなんだったんだ------?」


「Lamenting your life in self-mockery is


 not enough to move on....

(自嘲気味に自分の人生を嘆いても


 先へ進むのには不十分だ....)」


「どうなのかなー」


「やっぱり、雅が圭介君と式を挙げてたって事は、


 雅は圭介君の事が


 気になってるんじゃないのか?」


「う~ん....」


「(・・・・)」


尚佐が、隣に座っている雅に問い質すと


雅は困った様な表情を浮かべながら、


視線をふらふらとさせている...


「やっぱり、結婚は大事だものね------」


「----そうだね!」


「(----------

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ