神に呪いをかけられた一族
ジリジリと鳴る電話の音で慌ただしく動き出す宿の人達。そしてクレアも。
俺の後ろから急に前に出て、渦中のあの幼女の前に立つ。
「あなたの目……、あなたのお名前は?」
二人の男に挟まれたまま立っていた幼女に声を掛けた。
「レギナ」
たったそれだけの幼女にクレアは言う。
「神を憎んでる?」
ふるふると頭を振り、憎んでいないと幼女は閉じたままの両目で真っ直ぐクレアを見ているようだ。
クレアはしばらく幼女の様子を見ると言った。
「皆、ここから離れなさい! 私は温泉の女神、クレアです! 神の言った事は絶対でしょ? この世界なら!」
人だかりとして居る全員をクレアは見る。
おお! と言ったり、仕方ない……と言って皆が散って行くのはまさに神の仕業なのだろうが。
「んー、この場合、俺達もそうするべきか……」
「そうですね……、女神様の言葉は絶対ですし」
「どうしてよ!! そこ、どうしてこんな時ばかり従うのよ!! もっと私を神として信じてよ!! パーティメンバーとして、ねえ?!!」
「信じてるじゃないか? 温泉の女神様、今日も浴衣姿が似合ってますね」
「ありがとう! じゃない!! ヨシキチ、良い? 人が居なくなったから言うけど、この幼女はただのメデューサじゃないの!! 神に呪いをかけられた一族なの!!」
「へー、神に……それはお前が?」
「違うわよ!! 私じゃない神によ!!」
もう良い、こんな話!! と思ったのか、レギナの両隣で立っていたあのトレンチコートを着た男達が言った。
「お前がエトウヨシキチだな? 今日からこいつの面倒を見ると聞いている。俺達はお前が現れるのを待っていた」
「オレ達はお前にコイツを任せても、コイツの監視の為にコイツから離れられないことになっている」
こいつって、レギナだとその幼女は自分の口で言ったじゃないか、それに……。
おや? と思ってしまった。今、左の男からの右の男の言葉……。
「それって……」
「休み、早々返上ですね」
ティノの明るい口調の言葉で打ちのめされた。
ノオオオオ!!! 何だと!!? 完全に休みがなくなった!! だと!!!?
酷使にも程がある!!
俺はこんなブラックな働き方を派遣社員でしたくない!!!!




