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派遣社員で異世界の仕事してます!  作者: 縁乃ゆえ
対象モンスターはペットになる? 雌雄がある? 異世界で暮らしながら調べる仕事! パーティ付き!
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今日はちゃんと働こう!

 家に帰るとティノはゲッソリしていた。

 クレアは温泉に入っていないにも関わらず、ホクホク。

 スケルトンは椅子に座って、カクカク言っていた。

「おい、何があった?」

 げんなり……とした目でティノが話す事はありません……と主張する。

「お前、リリーさんが嫌がるような事するなよな!」

「何よ? 嫌がる事って?」

「お前、出来上がると記憶がないタイプか?」

「え、そんなことないわよ! あるわよ!! ……皆と仲良く温泉に入った記憶が」

「ダメだ……こいつ、何も覚えてない」

 コクコクと激しくティノは頷き、同意している。

「お前がリリーさんにした事のせいで、リリーさんは一晩中泣いてたんだぞ!!」

「何よ、私が何したの? 服脱いでもらって皆で楽しく入ったんじゃない!」

 こいつ……、自分が良いように記憶を変えているのか? それとも本当にそう思っちゃってるの?!!

 女神にもっと言ってやろうと思ったが、女神自身がそうはさせなかった。

「ヨシキチ! 今日こそ、ちゃんと働きなさいよ!! 昨日は休みってことになってるんだから!! 分かってる?」

「分かってますよ……、昨日、派遣登録行く前に送って来る所と棧さんに用事があるので休みますって連絡したら、用事は何ですか? って詳細求められて、困って……やって来た対象モンスターの為に買い物行きたくて、パーティメンバーに面倒をお願いしたんですが……とか何とか言って、ようやく取れたんだ! 今日はその分、働くぜ!!」

「じゃ、お願いね……。何かあったら声かけて……、私は自分の部屋で寝て来るから……近付けんじゃないわよ!! そこのガイコツ!!」

 そう言って、自分の部屋に行こうとするクレア。

「おい!! 今日はお前が休みか?」

「良いでしょ? だって、あんたとティノちゃん昨日休んだのよ!! ズルいじゃない!! 私が今日休まず、いつ休むの?」

「連絡は?」

「もうした」

「女神はやる事早いですから……こうだと思ったら、そうする……そうなりますから……」

 恐々とティノがクレアのフォローをしている。

「まあ、良いか。ティノは休みじゃないんだろ?」

「はい! 今日はちゃんと働きますよ!! そして、カクカクが変な事をした際は、キッチリと狩ってあげます!!」

「いや、狩らんで良いからな」

「はい! 任せてください!!」

 こいつ、さっきまでのげんなり感はどこへやら、キラキラとしている。

「さて、始めるか……」

 服はジャージ。買って来た冒険者の服など着なくて良い。そこまでの事態はまだ起こっていない。

「雌雄の確認ね……」

「アンデッドですもんね……。違いあります?」

「まあ、普通の人間なら骨盤とか見て、女か男か判断するんだろうけどな……。こいつはリリーさんとお散歩に行った時、どうしてたって?」

「そんな話は聞いていません。やって来やがったわね~!! という女神に姉は……、姉は……!!!」

 は~、は~……と怖い事でも思い出したような顔をするティノ。

 よし、聞くことは止そう。きっとリリーさんに聞いても同じ事だ。聞かないようにしよう。

「じゃあ、どうやって歩いてたんだ? このスケルトンは」

「はい、やはりカクカクだったようでバラバラになったり、足を引きずりながら歩いたりと……」

「ちょっと面倒な感じか?」

「そのようです……まあ、お話しながらゆっくり歩く……日本のご高齢の方に良いんじゃないんですかね……」

「でもさ、見た目、人の骨だぞ? 怖くなっちゃったりしないか?」

「そこはほら、ペットにする前に顔合わせをしてですね、恐怖心をなくし、よく見ればかわいいじゃない!! にさせるところから始めるんですよ」

「うーん、そうしないとやっぱ、こういう系はムリだよな……」

 俺はそう言って大人しく座り続けるスケルトンを見る。

 白いツルツルの骨、お葬式を思い出させ、ご高齢の方にはちょっと無理があるんじゃないかと思われた。

「歩かせてみます? カクカク、おいで!」

 犬か!! 俺はそう突っ込みたかったが、黙っていた。狩る狩ると言ってはいても、ちゃんと世話をしようというティノの姿勢に。

「来ないなら、狩りますよ?」

「止めてあげて!」

 一歩もそこから動かないスケルトン。どしたんだ? カクカクと鳴らない。やっぱり……。

「死んだ? いや、アンデッドだし、それはない?」

「まあ、落ち着いて下さい。今は朝です。こういう系は夜、動き出すモノ。お姉ちゃんがお散歩に行ったのだって、そのくらいの時間です。夜まで待ちましょう」

「それってさ、寝てるとかそういう系なのか?」

「そうだと思います。まあ、こういうのを見るといつもあたしはさっさと狩ってしまうんですが……。きっと、さっき鳴っていた音はいびきみたいなもの。今は深い眠りについているのです! そうなった時、こういうのは大体、日本の学校の理科の授業なんかに重宝され」

「うん、言わんとしていることは分かった。じゃあ、こいつに食事は必要ないな」

「いえ、生者を食らいます」

「は? そんなのペットに出来るわけないじゃん! まあ、知ってたけど」

「そうですよね! だって、江東さん、大学出てるんですもんね!」

「そうだよ。出てるよ、俺!」

 カクカクカク……なんか、こいつ、狸寝入りしてる? 俺はティノを見る。

「こいつ、起きてるな?」

「はい、きっと」

 ティノはスケルトンに杖を構える。

「さあ、起きなさい! 起きなければすぐにでも狩ってやります!! そして、あたしのレベルアップの為に!」

「それは違う!! クレア!! クレア!! 緊急事態だ!! こいつはペットにならんかもしんない!!」

 それから、散々ティノを止めつつ、クレアを呼び続け、俺はお世話もそこそこに、こいつの報告書を作り上げた。

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