転生特典
親っさんとの話が終わり、今日から使わせてもらうことになった寝室のベッドに横たわる。
「………………」
(転生特典……か、そういえば結局、何の説明も受けなかったんだよな……どうすれば確認できるのやら、試し)
試しにステータスオープンとか唱えてみようかと思う前に、透きとおった電子音?と共に目の前にホログラムのディスプレイみたいなものが現れた。
「うわっ」
(なんだこれ……ステータスウィンドウ? いや、そうじゃない、これは、)
「……ソシャゲのホーム画面?」
ぱっと見て思い浮かぶのがそれだった。ただのステータス画面と呼ぶにはあまりにも複雑すぎる、ボタンや装飾だらけのまさに『ゲーム画面』とでも言いたくなるようなそれは、想像していたものとは斜め45度くらいずれたものだった。
直感的に見てわかるのが、画面の左側に表示されている四つのボタン。
それぞれに『仲間』『装備』『アイテム』『召喚』と書かれていて、スマホのアプリゲーなんかで散々目にしたものとなんら変わらない。
それ以外の要素も特に珍しいものは見受けられない。
――左上には自分の本名である『神崎絆』と『LV0』の表示
――右上には四つの小窓があって上から順番に、47/50、0、0、0の表示、それとメモ帳みたいなマークの書かれたボタン
――右下には長方形の窓に『初回限定!☆5以上確定10連召喚!』という、あまりにもゲーム的すぎるオブジェクトが鎮座している
背景は草原と青空、それと遠景に城とドラゴン?みたいなのが空を飛んでいるアニメーションが映し出されていた。
(これだけ情報量が多いのに画面の中央はぽっかり空いたような感じ……なのはまぁいいとして、まずは『仲間』かな)
情報を期待して『仲間』のボタンを指でタッチしてみる。すると画面が切り替わり、表示される『まだ仲間がいません』の文字。左上に出てきた小屋のマーク(恐らくはホームボタン)をタッチすると前の画面に戻る……と、いうように、清々しいまでのゲームっぽさを感じる。
「うぅん……これは」
(なんとなく想像はついてるんだけど……ポチっとな)
意を決してタッチしたのは『召喚』と書かれた一番下のボタン、やはり画面が切り替わったと思うとそこには新たなボタンの群れ。
(『召喚石』に『コイル』に『友情ポイント』だぁ……? いよいよゲームっていうかこれは……)
「ガチャじゃねーの……」
日本人が生み出してしまった負の遺産こと、『ガチャ』そのものとしか思えなかった。試しにボタンを押してみても出てくるのは既視感のあるゲーム画面。やれ『召喚石が足りません』だの『排出率一覧』だの……
「……排出率?」
そう、そこには『排出率一覧』と書かれたボタンがあった。ボタンを押して表示されるのは、なんだかよくわからない名前の一覧と複数の☆マークにパーセント表示の恐らく排出率。なんとなく流し見して分かったのはひとつ、
「闇鍋じゃねぇかよ」
闇鍋だった。恐らくキャラクター(つまり人)の名前だろうと思われるリストのさらに下に並んでいるのは、おおよそ人の名前とは思えない文字列の数々。そう、これは数多あるガチャの中でも質が悪いことで有名な(当社比)、キャラクターと装備品が同じガチャから登場する所謂『闇鍋』仕様のガチャと言う他なかった。
「……はぁ、どっちにしろガチャは引けないんだから考えても仕方ないけどな」
(そういえば、左上の数字、減ってるな)
ホーム画面の右上の小窓、そこに表示されていた数字が、気づくと34/50まで減っていた。
(0になるとどうなるんかな……ふむ、他に見れそうなところは……あ、)
『装備』も『アイテム』も空っぽ。他には無いかと、画面左上に表示されていた自分の名前に指が触れた瞬間、新しい画面が現れた。記載されていたのは、
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NAME:神崎絆
LV: 0 NEXT:1
HP :50/50
MP :33/50
STR:10
VIT:10
INT:10
RES:10
DEX:10
AGI:10
スキル:
指揮官
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大体そんなことが書かれていた。
(気になることは多い、多いが……)
『指揮官』
(これが一番気になるよな)
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指揮官:
使用者にのみ視認可能なコンソールを呼び出し、仲間の召喚、強化を可能とする。
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試しに文字をタッチしてみると表示されたのは簡潔な説明文
(……なるほどね、つまりはそういうことだ)
「ふぅ……」
「理解った」
日曜日中にあと2話ぐらい投稿して消息を絶つ予定です