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国外追放

 「それと、これも伝えておかないとね。私の息子で第一王子……だったジョー・イーグリット、そして第一王子派の中心であったレミラス派閥とオルセク派閥の貴族は財産全てを没収の上、国外追放の処分に決まったわ。流石にここまでのことをしておいて、何もお咎めなしじゃ示しがつかないもの。これに関しては、反対意見が出なかったわ」

 「えっ……本当ですか?」


 ……驚いたな。

 正直、フルーレに派閥の人間のことを殺されまくったのが、もはや罰みたいなもんだから、軽ければ罰金だけで済むと思っていたし、重くても次期当主であるホルツとルアレが代表者として責任を取るという形で投獄されるくらいだろうなと思っていたから、財産全てを没収の上、国外追放とは中々重い罰が下ったな。


 あ、ジョーに関しては処分が軽過ぎると思います。

 あいつは空気を無駄に吸うただの害悪なんで、出来れば死刑が好ましいです。

 ……と、言いたいところだが、女王様にとってはどんなにバカだったとしても一応息子だ。


 心のどこかでは、辛い気持ちがあるかもしれない。

 あまり、茶化すようなことを言うのは辞めよう。


 「とりあえず……これでカトリーヌの王家傀儡化計画に中心として関わった人間は、イーグリットから全員いなくなることになるんですかね?」

 「ええ……恐らくね。ただ……計画の協力者は王国騎士団や王国魔導団の中にもいるわ。それに……まだ魔剣はイーグリットに残っている」

 「ああ……そうでしたね。壊すに壊せないから、貴族から返却された魔剣をイーグリットで一番開かないと言われている巨大金庫に入れて封印しているんでしたっけ?」


 マリーナが作ったとされる魔剣は分かっている限りでは十五本。

 その内、ロイとオルセク派閥、ホルツを除いたレミラス派閥の魔剣は全て壊れたため、六本が壊れた。

 セリーナの持っていた魔剣は、エリーナが持ち出し、マリーナも魔剣を持ってライオネル王国へと行ったため、三本がライオネル王国へ。


 ……ホルツからも魔剣を没収するのは確定だとして、残り六本も魔剣が残っているのかよ。


 「残りの魔剣に関しては、プライスとダリアがマリンズ王国へと行っている間に、アザレンカとステファニーの二人に壊してもらおうと思っているわ。また悪用されても困るもの」


 女王様は、ため息をつきながらやれやれといった表情だ。

 本当に余計な物を遺してくれたわね……とでも言いたげだな。


 ……悪用されても困るけど、悪用した奴がまた魔剣に自我を乗っ取られて暴れられるのも困るんだよなあ……。

 ま、さっさとぶっ壊した方がいい代物であることは間違いないな。


 「その二人が適任でしょうね。誰にでも魔剣は壊せるわけではありませんから。二人には話しておきますよ」

 「お願いするわ。それと親書を渡しておくわね。一応、あなた達はイーグリットの使者としてマリンズ王国へと向かうわけだから」

 「はい、ありがとうございます」

 「ユリアに……よろしくね?」


 女王様は俺に親書を渡すと、そのまま側近達と一緒に玉座の間を出ていった。

 どうやら数十分後に、今回の一件とはまた別な話で重要な話し合いが行われると聞いていたので恐らくその場に向かったのだろう。


 「瞬間移動(テレポーテーション)


 俺も瞬間移動を使って、玉座の間から三人が待っているラウンドフォレストのいつもの宿屋へと戻ることした。



 ◇



 「えー!? プライス、ダリアと二人きりでマリンズ王国行くの!?」

 「騒ぐな、ステフ。食事中だぞ」


 もともと今日の俺達は宿屋の食堂で昼食を食べる予定だったので、必然的に四人で集まることになっていたので、食事をしながら女王様から聞いた話を三人に伝えていた。


 「あはは……ステフさん仕方ないですよ。女王様が僕達二人をご指名なんですから、ちゃんと従わないと」

 「うー……納得いかない……。ねえ、アザレンカ一人で全部魔剣壊してよ」

 「さ、流石に六本はちょっと……」


 魔剣六本を一人で破壊しろとかステフも鬼だな。

 俺だってそんなことを言われたら、無理ですねって言うぞ絶対に。


 「頼むよステフ。今の内に破壊しておかないと悪用する奴とか出てきそうだろ。もう俺も嫌だよ、魔剣に自我を乗っ取られましたなんて奴らとまた戦うなんて」

 「ちぇー……分かった」


 ふぅ……何とかステフも納得してくれたか。

 まあ……ステフも近くであんなに暴れたフルーレを見ているし、何より魔剣の恐ろしさは身を持って知っているはずだからな。


 アザレンカはちゃんとそれを理解しているから問題ない。

 ……問題があるとすれば。


 「あれ……? ダリアさん? どうしたんですか? 浮かない顔をして」

 「……え? な、何でもないわよ。あ、貴女の勘違いじゃないの? 本当にアザレンカは勘違いが多いわね」

 「酷いっ!? 心配しただけなのに!?」

 「あははーアザレンカ怒られた」


 ……嘘つけダリア。

 アザレンカやステフは気付いてないかもしれないが俺にはバレバレだっての。

 明らかに俺と一緒にマリンズ王国へと行って、ユリアさんとも会うぞって伝えた時から様子がおかしくなってただろ。

 ここまでご覧いただきありがとうございます。


 カクヨムでは87話+アザレンカルート10話まで掲載されているのでそちらもお願いします。


 ※悲しい・キャラや敵にイラッとするお話もあるので一部の話がカクヨムでのみの公開としています。

 ご了承下さい。

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