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双子の出来損ないの妹のほうです。でも出来損ないのほうかと王太子殿下に見下されて婚約破棄されてから、私は復讐するためにこの牙を研いでおりましたわ。そしていつも私をいじめ、婚約者をとった姉にもです…。

作者: りあ

 双子の出来損ないのほう、といつも私は呼ばれておりました。


 双子、同じ顔、同じ声、同じ体つき、だれが見ても区別がつかないほどよく似ていた私たち、姉は私をずっと嫌っていました。

 同じ顔がもう一つあるなんて気持ち悪いとよくいわれたものです。 

 出来損ないの由来は、私の魔法力が姉より半分以下と双子でありながら劣っていたからです。


 私は姉が嫌いではありませんでした。

 でも我が国の言い伝えで双子は不吉、女、男、同性同士の双子は不吉と言われまして、下、妹、弟はどこか他家に養子にやるのが普通だったのです。


 だが、私を生んで母はすぐ亡くなり、父は双子を引き離すのは不憫だと私を手元におきました。


 だが双子は不吉と言われ続け、姉はお前さえいなければと私によくあたりました。


「……私はお姉さまのことは大好きですわ」


「私はお前なんて大嫌いよ、双子なんて生まれるんじゃなかった!」


 姉に嫌われた私、さすがに父もそんな姉をみかね、私は八歳で他家に養女になることにきまりました。


「二度と私の前に顔を出さないでね!」


 お姉さまの最後の別れのセリフがこれでした。


 私は親戚である伯爵の家の養女となり、義理の両親にはかわいがってもらいました。

 だから姉のことは忘れようと思ったのです。


 だがしかし……社交界デビューの時に姉と顔をあわせてしまい、予想はしていましたが、ものすごく姉は怒りの形相でこちらを見ておりました。

 同い年なので仕方ないと養父母はため息をついていました。

 公爵と伯爵、地位が違うので、ドレスや髪飾りも私のほうが質素で、姉はそれで留飲を下げたようでした。


 ……そして二年後、私と姉は二人とも十八になり、私が王太子殿下の婚約者に選ばれました。


 なぜか? 私の養父が、陛下と友人であったからのようです。

 養父は私の性格上、どうも向かないと一度は断ったようですが、どうしてもと陛下にいわれ受けたようでS。


 そして王太子殿下はああ、出来損ないのほうかと私を見て一言いって、それから私に会おうともしませんでした。

 魔法力が絶対のこの国、私は平均ほどの魔力、その二倍以上の魔力を持つ姉のほうがふさわしいようでしたが、でも陛下は姉の性格の一端を見抜いていたようでした。

 高慢でそれを鼻にかけていると陛下がぽろっと言われたことがあったのです。


 ……そして半年後。


「お前との婚約を破棄するから、そのつもりでいろよ、イルファ」


「え?」


「生まれてくる子供のことを考えたらお前みたいな平均的な魔力の持ち主と結婚なんてどうかなと思ってな」


 そう、陛下が急な病で亡くなられ、殿下が即位することになり、私はゆくゆくは王妃となるはずでしたが、お前なんかと結婚なんてできるかと一言言われて、私は婚約を破棄されたのです。


 そして殿下と婚約したのは姉でした。


「あら出来損ないのほうがまだ王宮にいるわ!」


 私を見て一言姉がこういったのです。そして見分けがつかないのはいやねと私の髪をはさみでずたずたに短く切りました。

 腰まであった私の髪は肩の上でずたずたになり、姉はクスクスと笑いながらこれで見分けがつくわと笑ったのです。


 ……姉が殿下にいいよったと風のうわさで聞きました。


 そして私は二人に復讐することに決めたのです。

 髪を切られたのはまだ伸びると言い聞かせることができても、出来損ないのほうかといわれ会いにも来ない殿下とそして姉の最後のセリフが私の怒りを冷めやらぬことにしたのです。

 ……出来損ないの妹なんていなければよかったのに、早く消えてよと言われたのです。


「それで私にどうしろと?」


「殿下の横領の記録がここに、そして姉がそれに加担していることも突き止めました」


「ほお」


「私と手を組んでください」


 かねてより私は調べていたある人にお願いをしました。

 そして私は彼と手を組んで、今は王となった元婚約者と姉に一泡ふかせることにしたのです。




「……どうしてお前たちが!」


「……出来損ないのほうで悪かったですわね、お姉さま」


「……兄上お久しぶりです」


 私たちはにっこりと笑って、牢に入る元婚約者とそして姉を見ました。

 見かけはよく似ていますが、私たちとはやはりその忌々しそうな表情は違いました。


「兄上、双子なんて嫌だとよく言われてましたよね。僕が隣国に養子に出されたことで、あなたの嫌がらせが収まると思ってましたけど、相変わらずでしたね」


「……そんな隣国の王とうまくなんてやっていけないと陛下が言われまして」


 私は隣国の王妃と今はなっていました。そう、隣国に養子にいった彼の弟と私は手を組んだのです。

 隣国の王家はわが王家とは姻戚関係、そして他国に養子に行った彼は、今は隣国の王となっていたのです。


「……なかなか骨が折れましたが、我が王妃のおかげであなたの横領の記録がわかり助かりました。宰相や財務大臣もあなたが王にしてはおけないといわれまして、そうそう、叔父上があなたの跡を継ぐことになりましたから安心してください」


 にっこりと我が夫が笑います。そのほほえみはどこかすがすがし、憎たらしい元婚約者とは全く違いました。

 私は姉に向かってにっこりとよかったですわね、これでもう私の顔をみなくて済みますわよと微笑みかけました。


 そうですねえ、どうなるかな、さすがに死罪はむりなので、一生涯幽閉でしょう。

 私は夫と一緒ににこりと笑いよかったですねこれでお互い顔をみなくてすみますよ一生と双子の姉、双子の兄に宣言したのでした。



 

お読みいただきありかとうございます。評価、ブクマなどよろしければよろしくお願いいたします。

作者の励みになり嬉しいです。


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