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54話 謁見

 


 目論みを暴露させて町が静かになった2日後――。



 アイシャ:ユウ様、ヘノン子爵が私に面会を求めてきましたが立ち会いになりますか?


 ユウ:ああ、たぶん宣戦布告か王城への呼び出しだろう。立ち会うよ。


 アイシャ:分かりました。お待ちしてますね。



 転移で領主の館へと飛ぶ。もちろんセバスとルーリもついてきている。


 前回同様アイシャとルーリに話をさせるつもりだ。



 少し待つとヘノンが部屋に入ってくる。


「やあやあ、急に来て悪かったね。なにしろ大事な用件だったものでね」


 ニヤニヤと悪そうな笑みを浮かべている。


「いえ、それで大事な用途はいったいなんでしょうか?」


「ああ、君達に国王様への謁見が許された。国王様が直々に話を聞きたいそうだ」


「そうですか。私達は構いませんよ。ただこの4人の謁見への参加でよろしければですが」


「ああ、そのくらいなら構わんだろ。では2日後の朝の鐘の後、王城へ登城せよ」


「わかりました」


 ふん、と鼻を鳴らし退室していくヘノン。勝ち誇った顔である。


 さて、2日後か。出来る事をやっておくか。




 まずはアイシャとルーリに転移、結界を取得させた。


 それとアイシャに光魔法と無詠唱、状態異常無効を追加取得。ルーリがブーブー言いだしたのでプリンを与えた。騙されなかったので剣術をLv10に上げてやった。


 転移さえあればほぼ身の危険を回避できるとはずだが、それでも万が一の場合はリバイブで生き返らせる。



 2人に転移の練習もさせておいた。但し人前ではできるだけ使うなと注意もしておく。





 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 ―――2日後王城。


 さてやってきました!王城です!



「ユウ、なんでそんなウキウキなの?緊張とかしないの?」


「は?何で緊張するんだ?別に俺達の上司ってわけでもないし」


「それはそうだけど、ほら偉い人に会うわけだし」


「王に会うよりもオラは強い奴と戦ってみてぇぞ」


「お前は戦闘民族か!」


「DB知ってんのかよ」


「有名でしょ。ハリウッドで映画も作られたわよ」



 ああ、聞いたことあったな。確かコke……。



 今俺たちが話しているのは王城の中の控室である。門を訪ねるとあっさり控室に通してくれたのだった。


 紅茶にお菓子、さすが王城である。ただうちのお菓子の方が美味いけどな。


 ルーリもアイシャものどが通らないと食べていない。セバスも紅茶だけである。結局食ってるのは俺だけだ。なかなか美味いのに勿体無い。



「それでは謁見の間に案内する」



 ようやくお迎えが来たようだ。アイシャ、ルーリを先頭にし俺とセバスもついて行く。


 扉の前に立つ。兵に「くれぐれも粗相のないように」と最後に注意をされた。



 扉が開き室内へと進む。部屋の両壁際には貴族達だろうか15人ほどが立ち並ぶ。


 部屋の中央過ぎくらいまで進みそこで立ち止りアイシャだけが軽く会釈する。



「無礼者!国王様の御前である!膝をついて臣下の礼をとらんか!」



 周りの貴族から次々と無礼者と罵声が飛んでくる。俺達はそのまま王を見続ける。


 王がさっと手をあげ「よい」というと罵声が一斉に収まる。



「お主らが勇者の町を作ったものであるか?」


「はい、そうです」


「お主が町の代表であるか?」


「はい、アイシャと申します」


「なぜ臣下の礼をとらぬ」


「私達はここにいる勇者様と神からの神託により町を作っております。王にではなく神に仕えておりますので」



 一斉にまた湧き上がる外野からの騒音。どうせ王に止められるんだからやるなよ。


 ほら、右手を上げたら静かになった。コントかよ。



「では我には従わぬと申すか?」


「神に仕えておりますので」


「ふむ、ではこうしよう。あの町と同じものをこの王都にも作れ」


「あの町はあの地だからこそできるいわば神に選ばれし勇者様のみがなせる業でございます。この王都へはお作りする事はできません」


「どうしてもか?」


「はい。申し訳ございません」


「ではあの地で儲けた金はすべて王都に納めよ」


「言ってる意味が分かりません。我々に死ねと申し上げているのでしょうか?」


「そち達がどう捉えようと構わん。できないなら勇者とやらをこちらへ渡せ」


「どちらも納得できませんね。一国の国王が提示するとは思えない条件ですね」


「それでも我がこの国の王である。我ならもっと勇者をうまく使ってみせようではないか」



 使う?どこぞの魚と同じ事言ってんじゃねーぞ。



「失礼。国王様発言してもよろしいですか?」


「なんだお主は?」


「はい、勇者の使いをしております」


「おお、構わん話せ。お前からもこいつらを説得しろ」



 説得しろだと?お前ムカつかせる天才だな。



「では失礼して。――王よ、お前は俺達の敵か?」


 俺の発言に呆気にとられたのか誰も声を発せずポカンと俺達を見ている。


 一瞬の静寂後、怒号の様な罵声が響く。



 ルーリ:うわーユウ言っちゃったね。


 アイシャ:私戦いになったら即転移で逃げますからね!頑張ってください!


 セバス:さてさて、どうなりますかな。


 ユウ:楽しくなってきたな。


 ここで殺しちゃったらデビルをたくさん連れてこないとなぁ……。



 そんなことを考えていたのだが、今度の騒音はなかなか王も止めなかった。俺が右手上げたら収まるかな、これ。


 やっと王が止める。早く止めろよ。面倒だし、貴族連中が疲れちゃってじゃねーか。大声あげ過ぎてハァハァ言ってるやつもいるぞ。



「言いたい事はそれだけか?」


「ああ、まずその答えが聞きたい。」


「死にたいのか?」


「死にたい訳あるか。こんな事になってるのは王、あなたの言葉が原因だ」


「お前は勇者の使いと言ったな。お前の言葉は勇者の言葉ととらえてよいのか?」


「ああ、構わない。で、どうなんだ敵か味方か?」


「ふん。敵ではない。だがどうなるかはお主達次第だ。こちらの条件を飲め。そうすれば味方になってやる。出来ないのなら町を奪うまでよ」



 それが出来ないからこうなってるんだろうが。



「それは出来んとさっき言った。奪うと言うならご自由に。話はこれまでだな。帰らせてもらう」


 振り返る俺達、部屋の扉の前には兵士が行く手を塞ぐ。



「このまま帰れると思ってるのか?」


 王を見るとニヤニヤと勝ち誇ったような顔でこちらを見下す。




 ユウ:アイシャ結界を張っておけ。転移は最後まで見せるな。


 アイシャ:はいぃぃ!




「死にたいのか?」


 そう言った俺はどんな顔をしていただろうか。漏れ出る殺気はあえて消さなかった。


 ドサッ!と玉座に座りこむ国王。息をのむ貴族達。




 剣で殺ろうか魔法で殺ろうか――。




 バタンと扉が開く。入ってきたのはやや大柄な男だ。何人かの鎧騎士も一緒についてきていた。



「さ、サイファー将軍!」


「陛下。ご無礼をお許しください」


「構わん、こやつをどうにかしてくれ!」



 将軍の登場に室内が安堵の空気になるのが分かった。よほど信用のある将軍なんだろうな。王国にとっては、な。



「謁見の間で何たる無礼。おとなしく拘束されてもらおうか」


「無礼なのはどっちだ。呼び出しておいて儲けを全部よこせだの、勇者を使ってやるだの言いやがって」


「王国に住むものなら王の言葉は絶対。言っても分からんようだな」


「お前が王に嫁を差し出せと言われたらそうするのか?」


「黙れ!屁理屈を並べおって!」



 将軍が剣を抜く。周りの騎士達も合わせて剣を抜いた。



「丸腰の俺達相手に剣を使うだなんて騎士の風上にもおけんな」


「ええーい黙れ黙れ!この逆賊共めが」



 いまにも飛びかかってきそうな騎士達。




 さてじゃあ始めますか――。









 セバス:ユウ、少しお待ちください。




 セバスから念話でストップがかけられた。




いつもお読みいただきありがとうございます。

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今後もよろしくお願いします

m(_ _)m

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