47話 王都のスラム
翌朝いつも通り剣を振る。剣術がMAXになってからも日々成長している事が分かる。熟練度というものだろうか?
これは魔法の訓練もやった方がいいかもな。明日からライトソードで素振りすればいいか。
紅茶とパンで朝食を終え、厨房にサンドイッチを別料金で注文する。これは孤児院やスラムへの手土産だ。
その後、孤児院に向かい院長と新しい町について話をした。リア先生の事も知っていたので話はスムーズに進む。
一度町を訪れてくれるそうだ。学校について興味深く聞いていたので全部無料だと教えておいた。
次にスラムに向かうのだが、知らない3人で入ってもただ囲まれるだけなので、昨夜3人組会った時そのうちの1人に案内を頼んでおいた。
スラムを仕切っているリーダーと面会する。
リーダーはやたらと体格のいいスキンヘッドの男で、年は大体40前後だろうか。
「時間を取っていただき感謝します。勇者の使いをやってるユウと言います。今日ここに来たのは子供を引き取って面倒をみたいと思っているのです」
「はっ!どうせ奴隷に売るか自分で殺して楽しむんだろう?そんな事はさせねぇ」
「うちの町で育てるだけだ。そんなことは断じてしない」
「口ではなんとでも言えるわな。どうしてもってんなら証拠を見せろ。それと金を出せ」
証拠を見せてやろうと近付くとリーダーとその護衛らしき2人がナイフを抜く。
「証拠を見せるだけだ。危害を加えるつもりはない」
「そう言って殺された奴らを何人も見てきた。俺は騙されねぇぞ」
そんなこと言っても本当に見せるだけだし、俺は武器も収納に入っているので見た目は武器なしだ。
「俺達は武器を持ってないし、信じてもらうしかないな」
「見せるだけならそこでも見せられるだろう?何を見せるのか知らないが」
転移して直接見せてやろうと思ったんだが、どうするか。俺は転移できるんだぞ、なんて言うつもりもないし。
セバスから念話が届く。
セバス:奴らの近くに転移してそのまま町に転移すると言うのはいかがでしょう。
なるほど、それでいくか。
念話を送り2人が俺に触れる。奴ら3人の背後に転移しそのままつかんで孤児院へ転移。
「な、なんだここは!なにしやがった!」
「これが証拠だよ。ここは勇者が作った町で今いる場所は俺達の町の孤児院だ。ここで勉強も教えている」
そう言うとリーダー達は周りを見渡す。
校庭で走り回る子供や部屋で文字を書いている子供、木刀で摸擬戦をしている奴らもいる。
「いきなり連れてきちまって悪かったな。でもこうでもしないと来てくれなかっただろ?」
「あ、ああ」
今だに信じられないのか呆然と建物や子供達、遠くにある遊園地の観覧車などを見ている。
「なぁ、ここは町なのか?」
「ああ、勇者の加護を受けた町だな。まだ出来て2週間だ」
「あんたが勇者なのか?」
「俺が?違うぞ。俺はただの勇者の使いだ」
「そうなのか、偉そうだからてっきり勇者かと思ったが。さっき使ったのも転移って魔法じゃないのか?」
「ああ、それはこのセバスが使ったんだ。」
そう言うと頭を下げるセバス。
「本当に転移だったか。使えるやつがいるなんて初めて聞いたよ」
そう言うとしばらく黙って何かを考えているようだ。
考えがまとまったのか俺の顔を見て口を開く。
「分かった。子供の事はすべて任せる。それと出来ればスラムにいる他のやつらも救ってほしい」
「それはスラムの全員ってことか?
「ああ、出来ればでいいんだ。その代わり俺はあんたらの手足となって働く事を誓う。俺の名はドミニクだ」
そういうドミニクを鑑定して見る。
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【NAME】ドミニク
【CLASS】人族
【LV】26/99
【HP】811/811
【MP】180/180
【STR】43
【VIT】42
【INT】17
【AGI】30
【DEX】41
【LUC】21
スキル
剣術 Lv2
隠密 Lv3
王都のスラムを束ねる。スラムを見捨てられず自らスラムに住む。
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「ドミニク、あんたは今までどうやって生きてきた?」
「ゴミを漁ったり恵んでもらったり、時には盗みもやった。仲間を守るためなら人を殺したこともある。」
「あんたのために命を張れるやつは何人だ?」
「3人だな。その他のみんなは自分の命を守るので精いっぱいだ。」
「十分だ。分かった。後ろの二人もドミニクに賛成と考えていいか?」
頷く2人。もう一人は出掛けていてスラムにいなかったらしい。
「じゃあ取引だ。俺はスラムを救う。お前達3人は俺の奴隷になれ。これが条件だ。」
「分かった。その取引に応じる。お前らもいいか?」
頷く2人。こいつらの結束は固そうだ。
王都に戻る前に1人コアルームでスキルを確認すると思った通り奴隷術 6000DPが追加されていた。
早速Lv10を取得し3人に奴隷術を掛ける。これで俺に不利益になる事は出来なくなった。
王都に戻り残りの一人を待ってる間に子供達を集めておく。
スラムにいた子供は全部で10人だった。全員が親の居ない子供であったがスラム全体で大人が親代わりになっていたので子供一人で生きてきたわけではない。
生きてきたわけではないがやはり普通の家の子供より栄養状態に難がある。用意してきたサンドイッチを配ると一心不乱に食べ始めた。
「さっき見てきた子供たちと違うだろ?」
「ああ。町にいた子供達は幸せそうだった」
「いまはな。だがあいつらだって1週間前はこの子たちと同じ様だったんだ」
「そうなのか・・・じゃあこの子達もあのようになれるってことだな」
「ああ、約束しよう。お前達もしっかり働いてくれ。」
「ああ、じゃないな。はい、わかりましたユウ様。」
その後合流したもう一人を隷属させた。最後の一人は女性だった。
女性で命を張れるってことはドミニクの彼女か何かなんだろうな。名前はリンといった。
4人揃ったところで他の者たちに席を外させルールの説明をした。
特に俺に関しては誰にも話すなと念を押して命令しておいた。
こいつらにやってもらうのは主に王都での情報収集と情報操作である。
4人に隠密Lv10と気配察知Lv10、偽装Lv5を取得させた。
少しスキルの練習をさせた後に別行動をとることにした。活動資金も少し渡してある。
後は命令があるまで好きに動けと命令しておいた。それと追加で飯が食えない奴はスラムに集めておけと言って散開させた。
ドミニク達がいなくなるとルーリが話しかけてくる。
「ねえユウ。今やってるのは人集めなんだよね?他にもなにか考えがあるの?」
「ああ。メインは人集めだな。それとついでにゴルド商会も潰してやろうと思ってな」
「潰すんならもっと手っ取り早くやればいいんじゃない?こんな回りくどい事しなくたって」
「そうだな。潰すだけなら簡単だが、出来れば色々と利益を出してから潰したい。その為の回り道さ」
ルーリが首をかしげる。
「なら尚更やっちゃった方がいいじゃない?」
「ゴルドを苛めればうちの町に気付き、たぶん貴族に泣きつくだろう。うちの儲けを横取りするために難癖を付けてくる。それも全部無視する。するとどうなる?」
「んー。税金を納めろとか言ってくる?」
「それが難癖の一つだな。無視していたらその上の貴族に言いつけて戦争を仕掛けてくる」
「あ、何かそれ元の国のやり方に似てるわー」
苦笑いを浮かべるルーリ。
「似てるかもな。で、戦争を仕掛けてきたらこちらの戦力で叩きつぶす。力を示し敵わないと思い知らせる、そして俺達を独立国として認めさせる寸法だ」
「なるほどー。うまくいくかな?」
「いかなくてもいいのさ。このままいけば王都は住人の減少と物価の高騰で弱体化するだけだし、そうすればうちの町に来たがる人も増える。いつかは潰れるさ」
「ゴルドは?どうするの?」
「生き残るには他の店と同じ価格にするしかないし、そうしたとしても噂が広がっていて売れるかどうかだな。」
「なんかスッとしないわね。ガーシュの事を考えると」
まぁそうなんだよな。俺は地下室に閉じ込めて毎日殺す予定でいるけどな。
「ま、その辺は事が進んでから修正も含めて考えていこうと思う」
「そうね、じゃあ今日のバトルに参加しに行こうよ」
もうそんな時間(14時)か。
「今日は探索者に優勝させようと思う。毎日俺達で賞品持っていってたらやる気なくなるだろ?」
「えぇぇぇ。戦いたーい。」
「俺と戦うか?」
「い・や・だ!」
セバスが笑っている。
さてダンジョンに帰って次の作戦に進むとしよう。
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