3話 ダンジョンルール
真っ白な世界から一転、薄暗い部屋で目を覚ます
「初めましてマスターユウ」
視点が合ってくるとそこには25歳くらいで燕尾服の様な格好の男が頭を下げていた。
俺の夢の大半を奪っていったあいつの言っていた補佐なのだろう。
エロい秘書じゃなかったか……
あ、今の俺にエロい秘書が居ても男じゃないんだった。
くっそ、性をむしり取られるとは思わなかったぜ……
感覚で分かる……分かってしまう。
28年ひと時も離れず共に成長したあいつが居なくなったのだ。
はぁ……
「マスターユウ。顔色が優れませんが、まだお休みになりますか?」
「あー、だいじょう……!え?なんだこの声は?!!え??声高っ!それに体縮んでねぇーか??」
寝かされていた板のような簡易ベットから飛び起き、自分の体を確認する
あきらかに縮んでいるぞ、それにサバイバルなどで鍛えた腕やふとももが細くなっている
「転移による影響ですかね?稀にそういうことも起こるようですよ、マスターユウ」
「えー…… せっかく鍛え上げた体も奪われたのかよ……」
「そう気を落とさずに。今の姿も十分美しいですよ」
「え?俺、女になっちゃったのか?えーっと補佐さ…ん?」
顔は自分で確認できないので聞き返したのだが、どう呼んでいいのか分からず思わず補佐さんなどと呼んでしまった。
「見た目は18歳前後の女性に見えるといったお顔ですね。体つきは男性とも女性とも区別はつきませんが」
体ねぇ・・確かに女性の胸らしきものは無い、ぺったんこ
そして股間にも何もない。マネキンのようなつるっとしてる。
もう、いい。諦めるんだ俺。
「それと私の正式名称はナビゲーターNO.621と言います。
お好きな呼び方でお呼びください、マスターユウ」
「機械みたいな名前だな。生きてるわけじゃないの?」
「はい。私はダンジョンを司る神にダンジョンの補佐をするために作られたオートマタやホムンクルスのようなものであります」
やっぱりあれは神だったのかぁ。
ダンジョンの神様……ダン神様だな。
俺の夢と愛棒を奪ったひどい神だが、神は神だ。敬っておくに限る。
「んー、ナビ621ね。呼び辛いなぁ。ナビちゃん・・じゃ女の子っぽいしなぁ」
「私もマスターユウと一緒で性別はありませんよ」
思い出させるなよ……
「ふふふ、これは失礼しました」
こいつ俺がショックを受けてるのを知っててワザと言ってやがる。
「くそー、お前の名前はセバスチャンだ!長いからセバスってっ呼ぶ、俺の事もユウと呼べ。いいな」
「承知しました。ではユウ、今後ともよろしくお願いします」
「ああ、こちらこそいろいろ頼むよセバス」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「さて、ではさっそくダンジョンについての説明をしてよろしいでしょうか?」
「そうだな。頼むよ」
「大まかな4つのルールはお聞きになりましたよね?」
「ああ、コアを守る、攻略不可ダンジョンを作らない、他のダンジョンと争わない、10年に1回の集まりだろ」
「そうですね、では私からはこの世界とダンジョンの運営についてお教えいたしますね。
まずこの世界全体を指す名前はありません。1つの大きな大陸と島が1つで出来ている世界となります。
住んでいる種族は人族、エルフ族、ドワーフ族、獣人族、そして魔族がおります。
それぞれの種族で国を作っており比較的友好関係を結んで交流などしておりますが、
唯一魔族は他の種族と敵対しており島に国を作って住んでおります。
そして比較的友好と言った4国ですが小さないざこざはあり、完全に信頼しているわけではなさそうです。
対魔族、対ダンジョンという名目で力を合わせていかざるを得ないといったところでしょうか?
ここまではよろしいですか?」
「うん、大丈夫だよ。ところでダンジョンは世界にとってどんな存在なの?」
「この世界にとってダンジョンは歓迎されるものであり、忌み嫌われるものでもあります」
「え?歓迎されてるんだ」
「はい。この世界はダンジョンが中心となり、探索者やハンターと呼ばれている者達が財宝や素材等を集めているのです。
ですから鉱脈があったり、財宝がよく出るダンジョンは歓迎されているのです。
それとこの世界においてダンジョン以外の魔物は種類が少ないのもあります。
スライム、ラット、ウルフ、ゴブリン、オークといったところしかおりません。
繁殖力に長けた種族ばかりなので地上からいなくなる事はありません。
中にはダンジョンから出ている間にコアを破壊され野生となった魔物もおります。
ドラゴンやゴブリンキングなどがそうなった場合人間達は緊急討伐を組んで対抗するしかないのです。
そういった時に備えても含めて、探索者や権力者は財宝や希少武器、素材を求めてダンジョンに向かうのです
逆に忌み嫌われているダンジョンはどういったものかわかりますか?」
「んー、財宝が出ないとか、敵が強すぎるとかかなぁ?」
「そうですね。それとよくスタンピードを起こすダンジョンも嫌われております」
「なるほどね、そのダンジョンの近くには安心して住めないもんね」
「はい、そういったダンジョンは討伐命令が出され、優先的に攻略がされるのです」
「えー、それは嫌だなぁ。みんなが襲いかかってくるんでしょ」
「ですが人が来るイコールDPが稼げるという事が成り立つのです。ですからわざと溢れさせるマスターも中にはいるのです。
防衛に自信があるならば良い作戦といえるでしょう」
「おお 頭いいな」
「ですがハンター達を倒せば倒すほど危険なダンジョンとして、地上に住む者たちも強いハンターを派遣してくるのです。
そこをうまく見極めないとこちらが死ぬ運命となります」
「やっぱり怖いな」
「それと住む場所以上に魔物が増えたりエサが不足したりすると、これもまた溢れる結果となりますのでご注意を」
「エサもこっちで用意するのか?」
「はい。中にはエサを必要としないスライムやスケルトンの様な魔物もおりますが基本的に魔物はエサを必要とします」
「それはDPで用意するのか?」
「基本的にはそうなりますが数の増えやすいスライムやラット、ゴブリンを繁殖させてから、
それらをエサにオークやオーガなどを育てる、これが序盤の進め方と私の知識では認識しております」
牧場経営かよ……
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