土踏まず
カオルは山野の自殺が自分のせいだと思っている。
「気にすんなよ。お前が悪いわけじゃないって」
「そうだね。でもなんでだろう。すごく胸のあたりが痛いんだ」
「……心が痛むってやつじゃないか」
「心か……。変だよね、心なんて臓器はないし、神経も通ってないのに痛むなんて、まるで踏んでないはずなのに土踏まずが痛いみたいだ」
俺はまだ言えずにいる山野の自殺が俺のせいだと、俺は目の前で見てたのに止められたはずなのに。
「カオルは考えすぎなんだ。だからいろんなところが痛みだす」
俺はまるで痛みを忘れたように何も感じないでいた。
「じゃー、君もたくさん傷ついたんだね」
「え?」
「だって泣いてるから」