死ぬ事の色々
死ぬっていうのはどんな色?
そんな疑問を投げかける。
妻を亡くした男が言う。
「そんなの黒いに決まってる! 黒は、苦い色だから。妻は病に苦しんで、苦しいままに死んでいった。だから黒に違いない!」
父を亡くした子供が言う。
「きっと青いよ、死は青い。青は、悲しい色だから。パパが死んだら悲しくて、今もずっと悲しいままだ。だからたぶん青いと思う」
友を亡くした青年が言う。
「赤いよきっと、そんなのは。赤は血の色なんだから。彼が事故で死んだ時、ただただ一面、赤かった。人は死ぬ時、赤いんだ」
借金取りから逃れた男が言う。
「きっと黄色さ、死の色は。黄色は幸せな色だから。やつが偶然死んだから、そりゃ嬉しくて仕方がない。私はとっても幸せだ」
みんな違う色を言う。みんな違う事を言う。
とある子供がこう言った。
「白じゃないかな。死ぬのは白い」
何を言うのか分からずに、誰かがなぜかと問いかけた。
「だって、みんなの色になる。白くないなら、そうはならない」
人は死んだら何かになる。それが何かは分からなくても、絶対何かになるはずだ。
今日も誰かがどこかで死んだ。
誰かが死んで、何かになった。