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04. 初めての冒険者の友達

お金も入ったことだし、メシでも食いに行こう。


アレも探したいことだし。



ギルドを出た後、その辺のお店を見て回る。


近くには宿屋に酒場、武器屋に冒険用品店などが並んでいる。



冒険者はよく酒場に集まっているようだが、私が探しているものは酒を中心に出すお店にはない気がする。


少し歩いていると『カフェレストラン・リリィ』というお店があった。


料理の種類が多そうなので、ここに入るかな。



店の様子をうかがっていたら、呼び込みをしている店員が声をかけてきた。



「うちのお店はお肉が名物なんだ!すごくおいしいよ~」



メニューが書かれた大きな黒板を抱えているので顔は見えない。茶色のカフェエプロンをしている。



「お客さんが残したものを毎日食べてるわたしが言うんだから間違いないよ」



―――何だコイツは。面白いやつだな。



黒板の端から顔をひょっこりと覗かせてくると、目が合う。



「うわっ、金髪の美少女!天使か!?」



赤面して顔を引っ込めた。


ミディアムショートの赤い髪の女の子。年は私と同じくらいだろうか。



「ヤバい、めっちゃかわいい!友達になりたいンゴ……」



何か、黒板の後ろでもじもじしているかと思ったら、そのまま近づいてきた。



「どうっすかお嬢さん、よかったらお食事どうですか?」



黒板を私の鼻先まで突き付けてきた。


何か変なやつだが、悪いやつではなさそうだ。


試しに入ってみるか。



「じゃあお願い」


「え、ホントに!ありがとう~。お客さん捕まえるまで中に入れてもらえなかったんだ。外じゃ、つまみ食いもできなくてつらみ……」


聞いてもいないことを話してくる。っていうか、そんなによくつまみ食いをしているのか……。


「一名様ご案内します~」


店内は薄暗い落ち着いた雰囲気だった。レンガ造りで暖炉もあった。


20席ほどある店内。客の入りは3分の1程度。


私は一番奥の席に案内された。


「ご注文何にしますか?」


「おススメは?」


「そんなこと聞かれたら、この黒板の一番上に書いてある一番高いのをおススメちゃうよ~。私の給料一週間分だ!」


「じゃあ、それで」


「マジ?美少女なのに金持ち?さては名家のお嬢様」


「冒険者だよ」


「冒険者!わたしもだよ!でも、レベルが違うんだろうね。レベルの高い冒険者は稼ぎもいいし」


「今日、冒険者になったばかりだけど。さっき依頼をこなしてきたから、ちょっとお金はある」


「ななな!美少女な上に能力が高いとか、ズル過ぎる!!」


地団太を踏みながらクルリと後ろを振り返る。


「オーダー!!本日のオススメ『サワムラ牧場のロングホーン Sランクサーロインのビステッカ』お願いします!」


文句を言いながら、オーダーを通すんだな。


「最強の英雄に憧れて冒険者になったんだけど、わたし。でも、全然強くなれなくて……。お店から余ったスジ肉をもらって、毎日家で食べても、筋肉もつかないし」


「スジ肉食べても、筋肉つかないんじゃないの?赤身を食べないと」


「そうなの!?とりあえず、何でもお肉を食べればいいかと思っていたのに……」


本当に面白いやつだ。


「わたし、ミアっていうんだ。君は?」


「キンバリー」


「じゃあ、キンちゃんだね!私のことは呼び捨てでいいよ」


……キンちゃんか。私の愛称ってほぼこれ一択だよな。

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