25. エクストリーム買い出し
手元には金貨12枚。
私たちはクエストの報酬で、まずは買い物をすることした。
ラーメンタナカの行列に3人が1ヶ月並ぶと考えて、それに必要なものを買ってから残りのお金は均等は分けよう。
しかし「1ヶ月並ぶ」という言葉が全然しっくりこないな……。
「ドラゴンラーメンを食べるために1ヶ月間のキャンプをする」と言うべきだろうか。
本当に修行みたいな感じだな。
とりあえず何を買ったらいいかをブレアがまとめてくれた。
こういったことは得意そうだなあ、彼女。
これは私がもらった買い出しのためのメモ
↓ ↓ ↓
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■買うもの
寝袋
寝るためのテント
トイレとして使うための簡易テント
マット
椅子
燃料
焚火台
ランタン
水(水筒・タンク)
荷車(水を運ぶ)
暇つぶしのための何か
し〇りん
■食料
腐りにくいもの・保存食、軽いもの中心。
長期間にわたる野外生活になる可能性があるので、新鮮な食べ物も補給する。
■方針
列には2人が留まるようにする。
1人は街から食料の運搬をしたり、洗濯物をしてくる。
■攻略ポイント
列の前後の人と仲良くなる。(可能であれば前後2、3組)
言わばお隣さんなので、第一印象が良くなるように挨拶。
お土産(食べ物がいい)を渡す。
食事の時にご一緒にどうですか?と誘う。
メリット:
・多人数で食事を用意した方が食費を下げられる。
・必ずその場に1人はいるようにするが、何らかの事情で不在になる時に留守お願いする。
デメリット:
確率的にお隣さんになるのは男性冒険者であると思われる。
あまり、仲良くなりすぎると口説かれる可能性あり。
うちがいる時ならなんとかやり過ごせるけど、ミアさんとキンさんと2人の時が心配。
ミアさんはちょっとイケメンでレベルが高そうな男から声をかけられたら、その人のテントにフラフラと入っていきそう。アカンで、ミアさん。すすめられるがままお酒なんか飲んだら。いや、もしかしたらミアさんの方から誘うかもしれへん。ああ見えてミアさんは助平な方やし。そやからアカンねん、うちが目を光らせていないと。うちかて最近、ミアさんと二人きりでお出かけもできてへんのに。もちろんお泊りとかもできてへんのに。そうや!今回2人ずつでテントで寝泊まりするのやったら、うちとミアさんと一緒に寝られるやん。寒いとか何とか理由をつけてミアさんに抱きつこう。そうしよう。1つの寝袋の中に2人で入ろう。ミアさんずっと前から好きでした。ミアさん大好きです。毎日ミアさんの匂いをかぎながら寝たいです。すーはーすーはーくんかくんか……。はぁはぁ、もっとを匂いをかがせてくだだい。もっと濃い匂いを…………
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え~と、まず
「〇まりん」っていうのがよく分からないので後で聞いてみるとして……。
後半からミアへのラブレターに変わってしまっているんだけど……。
ラブレターというかヤバいファンレター?
つーか何でこれを私に見せるんだよ。
コイツ相当ヤベェぞ。
ブレアって、ミアへの想いがダダ漏れで溢れまくってるんだけど。
ミアはブレアのこと、どう思っているんだろう?
市場に向かう途中でミアに聞いてみた。
「ブーちゃんのことをどう思ってるかって?親友だよ」
恋愛対象みたいなそういった感じのことは?
「何言ってるの~? わたし達は女の子同士だよ」
あー……。
ミアはノーマルなんだな。
長い付き合いのようだし、ブレアもこのことは知っているんだな。
うん、そっとしておこう。
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そんなわけで買い物だ。
買うものがたくさんある。
友達と買い物に出かけるなんて経験があまりなかった私はテンションが上がった!
「キンさん、まず最初はキャリーを買いましょう」
「キャリー?」
「キャリーワゴン、荷車ですね。車輪がついててたくさんの荷物でもゴロゴロと運べるやつです。遠征には不向きですが、街からそう遠くない場所で整備された道を行く今回は必須だと思うんです」
「よし、買おう!」
「テントは必要だよね。キンちゃん、このテントかわいいよ!」
「よし、買おう!」
「キンちゃん、おやつにドライフルーツとかいいよね!」
「よし、買おう!」
「キンさん、これは……」
「よし、買おう!」
「キンちゃん、これは……」
「よし、買おう!」
「キンさん……」
「買おう!」
「キンちゃん……」
「買おう!」
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数時間後、私たちは買い過ぎた荷物にうずもれて途方に暮れていた。
※し○りん
民間伝承で伝わる伝説のキャンパー。
15歳の頃からソロでキャンプをしていたという女の子。
もちろん売っていません。