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閑話 ~ヒゲを生やしたおっさんがバニーガール装備で冒険に出る気高き理由~

「クリスが帰ってないだと!」



冒険者ギルドの建物の中。


濃い髭をたくわえた口から泡を飛ばしながら声を荒げている男がいた。


Cクラスの冒険者パーティー『髭ダルマの咆哮』のリーダー・ダンである。



『髭ダルマの咆哮』のメンバーは全員で6人。


今回1人だけ留守番で街に残り、他のメンバー5人でクエストに向かっていた。


ガイヤガルドから東に徒歩で2日ほどの行った所にある迷宮での依頼。


すでに最深部まで攻略済みの迷宮で難易度は高くない。


その迷宮関連の依頼はギルドから度々出されているが、失敗率は低い。


魔物も出るので、ついでに討伐してレベル上げもする。


1週間の日程のはずだった。


だが、予定を超えても帰ってこなかった。



出発してから11日目。


状況を知らせにメンバーの1人・ゲイルが帰って来た。


迷宮の中でヒーラーのクリスが行方不明になったと。


どうにも未発見の罠を踏んでしまったらしい。


転移系のトラップでどこかに消えてしまった。


残りのメンバーは必死に捜索したが見つからなかった。



「今すぐ助けに行くぞ!」


「おい、ダン……。こんな時に何をふざけているんだ」



クリスのことを一番気にかけていたダンは取り乱した。


十分な準備も出来ていないのに出発しようとした。



それはいいのだが、ダンはバニーガールの衣装を身にまとっていた。


ハゲているので、うさ耳カチューシャはさっき頭から滑り落ちた。


履いている網タイツにすね毛が絡まって、ちょっとアーガイル柄みたいになっている。



「お前も……これを着ろ!」


「馬鹿!頭がおかしくなったのか!?」



ダンの表情は真剣そのものだった。



「この装備は魔物除けの効果がある。これを着ていれば、迷宮まで魔物に遭遇せずに行ける。


 そして、このバニーガール装備は来ている人数が多い方が効果が高いんだ!」


「何……だと……?」



気迫に押されたゲイルはひるんだ。


男がバニーガールの格好をしていること自体がおかしい。


この装備が魔物除けの効果があることも、あまり信用できない。


はっきり言って自分がそんな格好で外に出るなんてしたくない。



「俺たちよりもレベルの低いパーティーがこの装備でクエストを達成している!」


「待て待て待て!おかしいから……。これを着るなんて恥ずかしすぎるだろ!」


「時間が経てば経つほど救出の可能性が低くなる。クリスがどうなってもいいのか!?」


「俺だってクリスを助けたいよ……。だからと言って!」


「じゃあ、ほかに何か手段があるのか!?」


「それは!……ないけど。だからと言って、おっさんがバニーガールの衣装を着るとかないだろう」


「早くしてくれ!お前の判断にかかっているんだ!!」



ゲイルはしぶった。


だが、仲間が行方不明というパーティー初めての非常事態で平常心は保てていなかった。


そこにダンの熱い説得。


最後には首を縦に振った。










――着るよ!








――ああ、着てやるよ!








――このバニーガールの衣装をな!!












そして、おっさん2人


ギルドからバニーガール装備で出発した。


もちろん、周りから奇異な目で見られながら……。












この後



バニーガール装備のおっさん達によって



パーティーは



仲間の救出に



成功した。

















そして、またバニーガール装備でクエストに出かける冒険者が増えたのだった。











※備考

パーティー名:髭ダルマの咆哮

名前:クリス(35歳)

冒険者クラス:C

職業:神官

レベル:21

性別:男

回復魔法を得意としている。

立派なカイゼル髭をたくわえたいる。

頭髪はなくツルツル。

ダンと仲がいい。

よく一緒にお風呂屋さんに行っている。

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