20. パーティー結成
ミア:戦士(剣士)
ブレア:戦士(槍使い)
キンバリー:戦士(武器なし)
3人とも戦士ってバランス悪いな……。
っていうか、私は武闘家でもないのに武器さえ持っていなかった。
そりゃ武器屋が私に何か買わそうとするよな。
ミア達が以前に4人でパーティーを組んでいた時は、残りの2人が「斧使い」と「弓使い」だったらしい。
3人パーティーだとあんまり前衛とか後衛とか考えても仕方がないかな……。
―――
「一緒にクエストに行こう」という私の誘いに、ミアもブレアも二つ返事で快諾した。
2人とも冒険者クラスは「E」。
もう少しでDクラスに上がりそうなのだが、メンバーが抜けてからは依頼を受けることができずにいた。
冒険者クラスが低いと受けられる依頼が少ない。
誰でも受けられる依頼だと早いもの勝ちの取り合いになる。
人数が多いパーティーは交代要員を用意して、ギルドの掲示板に依頼が貼られるまで、そこで待機している。
仲間が少ないと、そういったことができない。生きていくためにバイトもしないといけないので。
私は冒険者クラス「C」。
(まだ2回しかクエストを達成していないが、勝手に貢献ポイントを加えられたりした結果、2段階昇級している。)
Cクラスだと結構な報酬がもらえる依頼も受けることができる。
また、パーティーを組んでもCクラスのメンバーがいたらCクラス相当の依頼を受けることができる。
ラーメンタナカ攻略には時間がかかる。お金もかかる。
ラーメン屋を探すだけだったら、2人の好意に甘えて手伝ってもらえた。
ある意味の遠征のようなことを1カ月以上も手伝ってもらうのあれば、謝礼とか費用負担とかが必要になってくるだろう。
3人でパーティーを組んで、クエストを受けて報酬を得て、そのお金でラーメンタナカ攻略に行くなら何も問題がない。
みんなやりたいことが出来てバンバンザイ。
―――
翌日、私たち早速ギルドにやってきた。
受付に行くとイザベラがいた。
「おはようございます、キンバリーさん!先日、私がおすすめした依頼はいかがでしたか!?」
「……あぁ。まあ、普通だったかな」
「ふつーですかぁ。そうですか、今度はもっといい依頼をご用意しておきますね! ところで、今日はどんなご用件でしたか?」
3人でパーティーを組んで依頼を受けたいとイザベラに伝えると、こう言われた。
「なるほど!いいと思います。危険を伴う依頼は複数人で行った方がリスクを減らせますしね。それではパーティーの名前と、メンバーならびにリーダーの登録をお願いします」
パーティーの名前にリーダーか。
そんなの考えてなかった。
「……えーと、ちょっと待って」
私は2人に相談する。
「以前のパーティーではミアがリーダーだったんだろう?それでいいか?」
「キンちゃんが一番クラスが高いんだから、キンちゃんがリーダーになるべきだよ」
「う~ん……、私がリーダーか。まあいいか。でも、パーティー名ってどうしよう?」
「うちらの前のパーティーは『フォー アローズ』でした」
ふぉーあろーず?
4本の矢?
ミア達のパーティーって確か……
仲間の1人が味方に矢を誤射して、それが原因で2人が脱退したんだよな。
……わ、笑えないwww(←笑ってる)
「キンさんがパーティー名を決めてください。クエストに行くなら、うちらはキンさんのオマケみたいなものですし」
「オマケってことはないだろう。それぞれの得意分野で協力し合えばいいんだし」
「キンちゃんが決めたら、わたし達は文句は言わないよ!」
……困ったな。
私が決める他ないのか。
う~ん。
……う~ん。
…………う~ん。
よし、決めた。
「『ドラゴンブレス』 なんてどうだろう」
「……いいですね!中二病っぽいですが、いいと思います」
「……格好いいね!中二病っぽいけど、わたしもいいと思う」
あれ?
私のセンスって中二病ぽいの?
え?マジ?
ガチで考えたんだけど……。
「『ドラゴンブレス』のミアです!」
「『ドラゴンブレス』のブレアです!」
「……?」
「キンちゃん、ほらほら……」
「……え? ああ。『ドラゴンブレス』のキンバリーです!」
「キンさん……、『リーダーの』って入れてください」
「『ドラゴンブレス』のリーダーのキンバリーです!」
……何なのコレ?
何の練習をさせられてるの?
「響きは問題ないね!」
「そうですね!」
何かやり遂げた感を出している2人。
以前の仲間とも、こんなことをしていたのだろうか。
「キンさん、どうして『ドラゴンブレス』なんですか?」
「……とりあえずの目標がドラゴンラーメンを食べに行くことだろう」
「そうだね」
「それと……、『ゴッドブレス ユー』って言葉があるけど、それは『神の加護がありますように』って言う意味だけどさ。
ドラゴンも神として扱われているから、『ドラゴンブレス ユー』も『竜の加護がありますように』という意味なんだって。
でも『竜が吐く炎に焼かれて死ね』つまり『くたばれ』という正反対の意味もあるらしい」※
「そうなんだ!面白いね」
「冒険者は危険と隣り合わせだしな。うまくいくかどうかって、運命の神様なのか女神なのか竜なのかは知らないけど、そいつの気まぐれ次第なところもあるかなと。だから、私たちは気負わずにやっていこう。そんな意味かな。」
「素敵ですね!キンバリーさんは博学でいらっしゃる」
受け付けカウンターからは離れてしゃべっていたんだけど、イザベラが私たちの横にまでやってきていた。
「キンバリーさんの専任担当のイザベラでしたが、パーティーを組まれたのならイザベラは3人の担当です!
ミアさんも、ブレアさんも、何か困ったことがあったらこのイザベラに言ってくださいね」
「イザベラ姉さん、あざっす!」
「あざっす!よろしゃっす!」
ミアとブレアのノリに私はついていけるんだろうか。
少し不安な部分があるけど、
せっかくできた仲間なので、
がんばっていこうと思いました。(小並感)
※
「God bless you (ゴッドブレス ユー)」は本当にある英語ですけど、
「Dragon bless you (ドラゴンブレス ユー)」は作り話です。
逆に、本当にそんな話がある場合は教えてくださいw
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