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02. 依頼を受けよう!そして、用意周到な連続攻撃へ

……はぁ、うるさかった。



何とか押し売りと勧誘の荒波を潜り抜け、


クエスト依頼の掲示板がある場所まで来た。



さて、気を取り直してっと。


冒険者になったことだし、さっそく依頼を受けたいと思う。


新米冒険者が受けられるのは「おつかい」と呼ばれる程度ものしかない。



『一人暮らしをしているゼペットじいさんのところに、孫が作った木の人形を届ける』


『釣りをして魚3匹を魚屋に納品する』


『郊外の薬屋にて薬草を購入し、ギルドに納品する』


などなど、簡単だが達成したときにもらえるお金もわずかでしかない。


……他にも


『元聖騎士ジョン・スタイナーの剣術道場にて体験レッスンを受ける』


『鍛冶工房でショートソードの製作現場を見学する(武器屋のランディの案内付き)』


『魔法秘薬の店パラディスにてポーション3種類を飲み比べ体験をする』


などと言う、鼻で笑ってしまうような依頼も貼られている。



なぜ、こんな依頼があるかといえば


ギルドが観光客を相手に商売もしているからである。



『古の趣きが残る旧都ガイヤガルドで冒険者体験してみませんか!』



こんなキャッチコピーが書かれたパンフレットが他国には置かれているらしい。


そういえば、さっき「観光客用冒険者証発行コーナーはこちら!」って書かれた看板があったな。


あちらはあちらで観光客相手に土産物を売ろうとする商売人が溢れていた。



新米冒険者は、どんな依頼でも1つ達成できれば、冒険者クラスFからEにアップする。



おつかい以外にも弱いモンスター討伐などの依頼もあるのだが、すぐに達成されてしまうので奪い合いとなっている。



冒険者クラスEになれても、ここからが難しくなる。


難易度が上がった依頼となると、レベルの高いモンスター討伐や危険を伴う場所にある植物や鉱物の採取など、初心者単独では達成できないものばかり。


ここからが冒険者の頑張りどころ。地道に修業して冒険スキルを高めたり、ベテラン冒険者のパーティに入れてもらったりと、苦労していくこととなる。



しかし、その辺は私には関係のない話だ。


私はこの依頼を受けることにした。



―――――


難易度 :冒険者レベルC相当


依頼内容:黒竜苔こくりゅうごけの採取


納品場所:ギルド/依頼受け付けカウンター


採取可能地域:


旧都ガイルガルドの北にあるオオエ山の麓、火山性の有毒ガスを噴出している場所。


Bクラス相当の冒険者でないと討伐は難しいモンスターが周辺には住んでおり、大変危険。


採取だけなら、スキル保有者なら可能。


成功報酬:金貨6枚


―――――



場所も近そうだし、報酬もそこそこいい。


それなりに難しい方に入るの依頼なんだろう。



依頼用紙を受付カウンターまで持っていく。



「黒竜苔採集のクエスト依頼を受けたいんですけど」



そこにいたのは浅黒い肌の大柄な女性だった。


机の上には小さな立て札で『受付係:イザベラ』と書いてあった。



「冒険者証を拝見してもよろしいですか?」


「どうぞ」



イザベラは黒のタイトスカートに、上は白のシャツという格好。


胸も結構大きいので、エロい女教師みたいだ。


彼女は冒険者証を受け取ると、髪をかき上げながら記されている内容を確かめた。



「失礼ですが、あなたはまだレベル1ですね。この依頼を受けるのは難しいかと……」


「大丈夫です。私はスキルを持っているので」



難色を示されるであろうことは想定内だったので、私は手短に答える。



「どんなスキルですか?」


「毒耐性レベル3に、魔物遭遇回避レベル3です」


「……マジですか?」



ビックリして目を見開くイザベラ。


新米冒険者がスキルを持っていることも珍しい。冒険や戦闘を経験する中で手にしていくのが一般的だからだ。


それにレベルが上がっていないのに、スキル熟練度が高いなんで聞いたことがない、と言った表情をしている。



「マジです」


「……それでも初心者単独の冒険は非常に危険です。パーティを組んで行くとかした方が……」


「それはまた別で考えます。それより、このクエストを受け付けてもらえるんですか?」


「受付は……、可能です」


「じゃあお願いします」



イザベラが出してきたリストに名前を書いた。


他にチャレンジしている冒険者はいないようだった。



受け付け制限があるクエストは早い者勝ちで、一定の人数が申し込めば締め切られてしまう。


制限がないクエストは、名前だけを登録しておく形式だ。ギルドの方で挑戦中の者を把握するためである。言わば入山届けのような感じ。



まだ日も高いので、今日中に片づけられたらいいなと思う。


出口の方に向かおうとすると、再び試練が襲い掛かってきた。



「毒消し草いかがですか?毒耐性がつくポーションもありますよ」


いらん!毒耐性のスキル持ってるわ!!


「幸運のお守りはいかがですか?モンスターに出会う確率が下がりますよ」


いらん!魔物遭遇回避スキル持ってるわ!!


「お弁当いかがっすか?水筒に入ったお茶もございます」


いら……ん?


いや、それは欲しいかも。お昼ご飯のことは考えてなかったしな。


「すみません、弁当をくださ……」


「この剣、お嬢さんに買って欲しそうにしてるよ!どうだい?」


どうだい、じゃねえ!邪魔すんな!!


「鎧のサイズだけでも無料で測りますよ!いかがですか?」


いかがですか、じゃねえ!!弁当……


「魔物に遭遇しなくなる魔法も覚えられますよ!きっと役にたちますよ!ね?ね?」


ね?ね?じゃねえ!!!


「この黄色系魔法少女の杖は振ると光って作品内の音楽が流れるんですよ!光り方と音楽のパターンは3種類あってボタンで選ぶことができるんです!」


小太りのやつ!さっきよりよどみなくしゃべってるんじゃねえ!!




何なんだ!


この誘い玉を見せてからの連続攻撃コンボは!?




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