18. ラーメンタナカ訪問3
お店の窓や入口から飛び出す光線。
時間にして1秒程度。
この後、爆発でも起きるのかと思った。
しかし、爆発はしない。
起こったのは歓声だった。
「やったじゃん!」
「すげー!」
「よかったな!」
お店の中からそんな声が聞こえてくる。
行列をなす人々は一斉に拍手。
「タイミングよく見れてラッキーだ」
「本当に神々しい光だった」
「綺麗だったね」
「何度も来ているが初めて見れた」
私たちの周りも口々に喜びの声を上げている。
みんなは何が起こったのか知っているようだ。
「お店の中で何があったんだ?」
「何だろうねえ」
何も知らない私たちは3人は顔を見合わせる。
「今のは何だったんですか?」
ブレアが近くにいたおばさんにたずねる。
「あの中で誰かのレベルが上がったんだよ」
「誰かのレベルが上がった?」
「そうだよ。ラーメンを食べて運よくレベルが上がったやつがいると、あんな光が見えるんだ」
「灯台みたいな感じですか?おめでたいから何かを光らせて、みんなに知らせている?」
「いや、レベルが上がったやつが光るんだ」
「その人の体が?」
「そう。まあワタシも直接見たわけじゃないけど」
何それ恥ずかしい……。
私がラーメンを食べた時は光ったりしなかったけどな。
ラーメンの性質が変わって、そんな特徴が付与されたんだろうか。
それとも私が特殊だったとか?
「立ち止まらないでゆっくり前へ進んでください!」
列を整理する衛兵の叫ぶ声が響く。
レベルアップ発光現象が起こったせいで、
ラーメンタナカを見る人の列の動きが少し止まっていたが、また後ろの方から進もうとする人々の圧力が強まってきた。
私たち3人はまだ状況整理をする余裕もなく、帰る人々の列の終わりにたどり着くまで、おしくらまんじゅう地獄が続くのであった。
―――――
「ふぅーーーーーーー……」
ものすごく長い溜息がでる。
疲れた。
あれほどたくさんの人の中に長時間いるなんて今まで経験したことなかった。
3人ともグロッキー。
ちょっとした広場のベンチに腰かけているのだが、真っ白に燃え尽きたボクサーみたいな状態になっている。
「……疲れたね」
いつも元気なミアもへばっている。
「キンさん……どうします?」
「……どうって?」
「ラーメンタナカのお店の様子は確認できましたけど、ラーメンを食べる方の列に……」
ラーメンを食べる方の列に並びますか?
ブレアはそう言おうとしたのだろう。
疲れているせいで最後まで言葉を紡げない。
「……見るだけの列に並んで2時間くらいかかったわけだろう。食べるのに並ぶ列なら進むのも遅いし、単純に考えても倍以上の時間がかかるんじゃないか?」
「それは間違いないでしょうね」
「1週間も並ぶなんてことはないだろうけど、何も用意をしていないし、一度出直した方がいい気がする」
「確かに。でも、実際に並んでいる人から話だけでも聞いてみませんか?どれくらいの時間待ってるのか」
「なるほど、準備をするのにも、それは知りたいな」
私たちは重い足取りで、もう一つの列に向かう。
―――
これは国を追われた難民の方々ですか?
いいえ、ラーメンタナカに並ぶ人たちです。
全然前に進まないから
座ってたり
寝袋に入ったり
焚き火をしたり
ボードゲームをしていたり
それぞれの場所で過ごしている。
4~6人のグループでまとまっていることが多いようだ。
時間を潰すというよりかは生活をしている様子である。
何を用意したらいいかなんて考えてなかったが、長時間待つとなると椅子などは絶対必要だな。
時間は夕方。
だんだんと周りが暗くなり始めてきた。
ブレアが並んでいる人に話しかける。
「全然、列が進みませんね」
「仕方ないさ、今日は営業時間が終わったから、もう進まないだろう」
「どれくらい並んでるんですか?」
「もうすぐ1ヶ月くらいだな」
1ヶ月!?
……1週間どころではなかった。
ラーメンを食べるために並んでいる人の行列は延々続いていた。
城壁の中に納まりきらず、外に流れていた。
はるか遠くの方まで。
「長蛇の列」という言葉があるが、本当に巨大な蛇のように。
(↑伏線)
伏線を明示していくスタイル!
新しい(笑)
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