13. 食後の……
「もう食べられない……」
……やっぱりか。
ミアが音を上げた。
「あれだけ息巻いておいて、結局全部食べられないのかよ」
「うちが残りを食べましょうか」
ブレアはまだ余裕があるようだ。
私も並盛りを何とか食べ切ったのだが、お腹が苦しい。
「……ミアさんと間接キス。ハァハァ」
……ちょ、ブレアは何を言っているのだ。
結局
・ミアは大盛りを食べきれず、残す。
・私は並盛りを完食。
・ブレアは小盛りを完食+ミアの残りも食べた。
というようなことになった。
全員が並盛りを頼んでおいたらよかったんじゃないか?
いや、私も小盛りでよかったかもしれない……。
もう何も入らない……。
―――――
「今日はありがとう」
私は改めて二人に頭を下げた。
「何言ってるの、おごってもらってるのはわたし達だよ」
「いや、今日はこんなに進展があるとは思わなかった。私が探していた料理が分かったし、あの人につながりそうなヒントもみつかった。二人が協力してくれたおかげだと思う」
「このお店に入ろうと言ったのはキンさんですしね。キンさんの強い想いが引き寄せてるんじゃないでしょうか」
強い想い……。
そうなんだろうか。
冒険者になるまでは、あまり自由な環境ではなかった。
とは言いながら、人探しができる時間が全くなかったわけではない。
最近になって、急にあの人のことを良く思い出すようになったのだ。
数年前までは、この街に「ラーメン」を出すお店はなかったようだ。
私がその時に探し始めていたとしても、全くヒントを得られることはなかっただろう。
ミアとブレアと出会い、ラーメンを見つけ
そして次は、『ラーメンタナカ』に行く。
「もし……」
一瞬、言うのをためらった。
だが、二人になら話してもいいのかなと思った。
「もし、あの人のやっているお店だったら……私、そこで働きたい」
あー……、何言ってるんだろう。顔が熱くなる。
「それはすごくいいですね!」
ブレアはそう言ってくれた。
……でも
「雇ってくれないかもしれないけど……」
「言ってみないと分からないよ!とりあえず、次のクエストの目的地は『ラーメンタナカ』だね」
「……え?お店に行くのも付き合ってくれるの?」
「もちろんだよ!」
「乗り掛かった舟ですからね、最後まで協力します」
二人が協力的でとてもうれしい。
これって、いつの間にか3人パーティーになった感じだろうか。
―――――
「キンちゃん、ブーちゃん」
今度はミアが真面目な顔をして私たちを見る。
「何?」「どうしたんですか?」
ふぅと一息ついてから、こう言った。
「この後、デザート食べに行かない?」




