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11. 山盛り×2


高級レストラン『ハンプティ飯店』


女性店員はスリットの入った赤いロングドレスに黒のフリル付きエプロンを身に着ている。


案内されて中に入ると、外と同様に壁は赤と黒のツートンカラー。


テーブルと椅子は赤。床は黒。


客は私達の他にはもうひと組だけのようだった。


高貴な身なりをした2人の男。


1人は見覚えがある。


昨日、ギルドで何かと私に絡んできた小太りの男だ。


目を合わさないようにしよう……。


ブレアの方も見たらだめだし、めんどくさいな。




「ブーちゃん、あそこに座っている2人って……」


「ええ、ギルドマスターと騎士団長ですね」



……何だって?



「待って。どっちが誰って?」


「金髪でお髭のカッコイイ人が騎士団長のファビオ様だよ。『我が国最強』って言われるあの人くらいわたしも強くなりたいなー。」



うっとりした表情を浮かべるミア。


確かに強そうなオーラを感じる。


それでは、その隣にいるのが……。



「王太子にしてギルドマスターの……」


「はぁ!?」



ブレアの説明の途中で和田ア〇子(ビッグフット)みたいな声を出してしまった。


お店の中なのでブレアは悲鳴を上げるのを我慢したが、顔面蒼白になる。


本当、私にビビり過ぎだ。


それよりも……。



「あいつが誰だって?」


「キンちゃん、知らないの?第1王子でギルマスのユーリ様だよ」



知らんし。


……何か名前にも腹が立つな。


『ユーリ』って感じのキャラじゃねえ。



「見て見て!すごいよ、アレ!!」



店員が手押し車式の配膳台で料理を運んできた。


銀色の丸い蓋をかぶせた状態でテーブルの上に置かれる。



「ご注文のラーメンでございます。」



蓋が取り払われる。


2人の目の前にはフタコブラクダのように2つの山が現れる。


香辛料を振りかけられた山盛り肉と野菜。



『いただきます』



2人同時に箸を持ち、手を合わせてから食べ始めた。


勢いよく、ガツガツと。



肉と野菜の山が崩れ、シルバーのトレーに溜まっていく。


ファビオが器の底の方に箸を突っ込み、掘り出すように黄色い麺を引っ張り出した。



「ラーメンってあんな麺も入っているんだな」


「う……うちも知りまへんどした。あのビジュアルを見てしもたら、印象に残るのは肉の山どすな……」



私がビビらせてしまったので、ブレアがまた変なしゃべり方に戻っている。



「……おいしそう」



ミアがボソッとつぶやく。



「分かった、ファビオ様の強さの秘密はあの『ラーメン』だったんだ!わたしも食べてみたい」


「いいぞ、私もラーメンを頼む。麺が入っているようだから食べて確かめてみたい」


「えっ……うちは炒飯を頂きます。」



ブレアは遠慮しているのか、単純にあの量は食べられないと思っているのか、比較的安いメニューを頼もうとする。



「ここはキンちゃんのおごりだから、一緒にラーメンを食べようよ!」


「お前が言うな」



ミアは遠慮を知らないな。


でも、どうせなら3人で食べたい。


それに私が探している料理は私しか知らないので、味などの詳細を伝えるのが難しい。


一度の同じモノを食べてみて、目的にモノとどう違うかなどの情報を共有しておいた方が、これから役に立つかもしれない。


しぶっていたブレアだが、私とミアに言いくるめられ、最終的には3人でラーメンなるものを食べることにした。

和田ア〇子(ビッグフット)

この世界の民間伝承で広く知られている魔物です。

雪山で大きな鳴き声を上げ雪崩をおこすと言われています。


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