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09. クールビューティー・ブレア




「ひいっ…………!」




私と目が合った瞬間、綺麗な長い黒髪に砂で汚れることも気にせず、頭を地面にこすりつけていた。



「こ……殺さんといてください!」


「ちょっと!ブーちゃん、何してるの!?」


「ミ…………ミアさん、この方はどなたですのん?魔王ですか?邪神ですか?」


「わたしの友達のキンちゃんだよ!」



一体、私のことがどのように見えていると言うのだろうか。


これまでに、小さな子供に大泣きされたり、犬に異常に吠えられたりすることはあったけど。


大の大人にここまで怯えられたことはなかった。


……正直、ショックだ。



「ちょっと、失礼だよ。ごめんね、キンちゃん。多分、キンちゃんのことが、世界を滅ぼすくらいかわいいって緊張しているんだと思う」



……絶対、違うと思う。



「っていうかブーちゃん、普段そんなしゃべり方してないのに、何でキャラ変してるの?」


「し……したくてしてるんちゃいますわ。うちもよう分かりまへんわ」



ガクガクと震えが止まらない。


休憩中を狙って話をしに来たのだが、どうにもバイトを続けられるような状態ではなくなってしまった。


まだお昼前だったが、ブレアは仕事を早退させてもらうことにした。





―――――





「よーしよしよし、いい子だね~。いい子だね~。」


「ゴロゴロゴロ……」


「はーい、ブラッシングしてあげましょうね~」


「ふにゃ~」



30分くらい経ったろうか。ブレアはようやく落ち着いてきた。


ミアの膝に上に頭を乗せて、ずっと撫でてもらっている。


広場にあるベンチに座る二人。


少し離れたベンチに座る私。


ネコと飼い主コントを見ているのも飽きてきた。


早く話を進めたい。


私と目を合わせると震えが止まらなくなるので、5メートルほど離れて話すことにした。


直接話もできないので、ミアを通じた伝言ゲームのようになってしまった。




「なるほど、温かいスープに黄色い麺が入った料理を探しているんですね?」


「わたしのバイト先のお店で『スープパスタ』を食べてもらったんだけど、ちょっと違うんだって」


「その他で、似ている料理となると……『フォー』『サイミン』『クァイティオ』などでしょうか」


「全部聞いたことないなぁ」



私も聞いたことがない。



「どれもここ数年の間に新しくできたお店が始めたものばかりです」


「全部で何軒くらいあるの?」


「ひぃっ……!」



やっぱり、私が話しかけるとおびえてしまうブレア。


代わりにミアが聞いてくれる。



「全部で何軒くらいあるの?」


「……はっきりとした数は分かりませんが、うちが知る限りでは10軒程度でしょう」


「じゃあ、そのうちのどれかが、キンちゃんの探している人のお店かもしれないんだね!」



お店を見に行きたい。


全部を食べて回ると相当時間がかかるだろう。


店を見るだけでも何か分かることがあるかもしれない。



「全部のお店の場所が載ってる地図ってないの?」


「全部のお店の場所が載ってる地図ってないの?」


「それは出回ってないと思います。うちもすべてのお店の場所を把握しているわけではありませんが、この近くにも何軒かあります。よかったら案内しましょうか?」



かなり私のことを怖がっていたので協力してもらうのは無理ではないかと思っていた。


私はブレアの方に向かって言った。



「ぜひ、お願いしたい」


「ぜひ、お願いし……」


「いやあああああーーーっ!!!」



ベンチから転げ落ちて、後ろ向けに高速で後ずさりするブレア。


今、「案内しましょうか」って言ったじゃん……。



「ブーちゃーーーーん!カーームバーーーークッ!!!」



慌ててミアが追いかけていった。

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