家政婦ロボットと呼ばないで!(ヒューマノイドの真実)
その頃、東大阪工科大学では東大阪区の共同主催で「(仮)家政婦ロボット体験メモリアルデイ」のイベントが区民大ホールで開催されようとしていた。
ロボタス社は全面バックアップのテクニカルアドバイザーでもある。
開始前日の前夜祭「メモリアルデイ開催セレモニー」では工科大学の教授陣と東大阪区長の祝辞の言葉の後にロボタス社の東堂社長から開催コンセプトを含めた祝辞の言葉が添えられた。
「家政婦ロボットの需要は世界中にあると考えます。」
「多大なるメリットは、やがて人間のネガティヴと言うデメリットをすぐに克服してしまうでしょう。」
「言語の壁なんてすぐに越えてしまう。」
「お留守番が出来る。」
「ペットと同調、調教もできる」
「育児ができる。」
「不効率な仕事を短時間で処理してしまう。」
「雑用や面倒な事を任せる事ができる。」
「セキュリティの高度化で家族と家を守る。」
「内職を任せる事が出来るし、社会基盤が整えば外部で働く事も可能になるでしょう。」
「話し相手としての家族にもなれるし、友達にもなれる。」
「家庭教師の役割が出来る。」
「並べ出したらキリが無いぐらい重宝されるロボットの存在」
「いやヒューマノイド家政婦と呼ばなければならないだろう。」
「しかし、ヒューマノイド家政婦に性別は無いし、スキルもしくは能力を考えれば家政婦の概念や線引きをしても無意味になるでしょう。」
「だから Member of the Family 家族の一員なのです。」
「そして家政婦ロボットに変わるネーミングを全国から募集させて頂いた結果!」
「このメンバー・オブ・ザ・ファミリーを造語にした「MEOFA メオファ」が未来のヒューマノイド家政婦の名前として決定した事を皆様に報告させて頂きます!」
会場にはサポーターとなる研究生や講師に交えロボタス社の社員や役所の人達が集まり盛大に行われた。
大会費用は税の導入を緩和する為にロボタス社が70%の割合で出資する方向で合意に至った。
オープン性はロボタス社のアイデンティティの一つであり、先駆けた公開広告は絶大な威力を発揮する。
この日は報道関係者を呼んでの開催セレモニーとなった。
祝辞の後、記者から質問を受ける東堂社長。
「先ほどの祝辞で、メリットはネガティヴの克服とおっしゃっていましたがネガティヴの意味を教えて頂きたいのですが・・」
「それとロボットの便利さや社会への進出により考えられる影響をお伺いしたいのですが・・」
「わかりました。まず第一に」
「ロボットにポジティブやネガティヴと言う心理ワードはありません。」
「人間の役に立つ事がロボットの使命ですからネガティヴなんて言うヒマはないのです。」
「ロボットにとってポジティブは当然の思考で
あります。」
「ネガティヴの芽を摘み取る事もロボットの使命なのです。」
「人間と共にネガティヴ要素を克服していかなければならない。」
「人間にできる事はロボットにも出来ます。」
「人間が嫌がる事、人間の思想や理念そして感情による排他的な考え方や行為においてもチップ一つでロボットは時間や距離に関係なく可能にしてしまう。」
「人間がやらない、あるいは出来ない。」
「心の隙間や社会の隙間をロボット達に託してみるのも人類に残された選択種なのです。」
「そして、聖域に踏み入る行為が無いとは言えません」
「社会を良くする「人間の想い」をサポートできる存在でありたい。」
「ロボットは、家や学校や社会を繋ぎ投影化させる事ができます。」
「無知、無気力、無責任から生まれる社会の不燃焼物をサーチしながら、それぞれのインフラ整備に貢献できる存在価値となってゆくでしょう。」
「その意識が家族から始まって社会全体へ浸透拡散されてゆく。」
「その先は、人類の誰もが幸福のチケットを手に入れる時が訪れると確信しております。」
「デメリットをしいて言うならばロボットの故障による「タスクの放棄」と「暴走」だけでしょうね・・」
「フフッ」
「それが最も重要で、需要家の信頼を裏切る行為はライバル会社の格好の餌になってしまうでしょうね。」
「なるほど〜 」
記者達からは笑みがこぼれ始めていた。
「第二にロボットによる影響度ですが・・」
「技術の進化による人間の堕落や欠如と言う問題?」
「私もそうでしたが・・」
「それを問題とする人間の後退的な脳は、歴史の紐を解けばすぐに納得できるのはなぜでしょうか?」
「今ある概念や思想の定着化は悪い事ではありません。」
「人間が歳をとる理由に本質が隠されているような気がします。」
「文明の進化は人間をより良き方向へ導いてゆくインテリジェンステクノロジーです。」
「そこには夢と希望、つまり未来への期待が込められている。」
「曲がった方向を修正してゆく脳はテクノロジーによって進化してきた」
「人間の学習機能と推論が歴史を変え、その歴史が未来を変革してゆくのは当然の事です。」
「危惧や懸念と言うネガティブワードは来たるロボット社会では無くなり、本質的な豊かさをあらゆる人が経験できる事を願うばかりです。」
「パチパチパチパチ」
東堂社長の記者へのスピーチは、彼らの「脳にある幸福獲得ドーパミン」を噴出させていた。
拍手喝采は続き、皆んな取り囲んで送迎車まで見送られる存在になっていたのだ。