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第7話

不定期更新です。

あれからおばさん達にお願いして旅の準備をしてもらいました。他国と言えどおばさんの言う通りなら、逃げる事は無理だと思い、一緒に行く準備に追われています。宿の方は、知り合いに譲る事に決めたそうです。気の毒に思うのですが、王族に逆らっても碌な事にはなりませんから、諦めているみたいです。


「忘れ物はないですか?」


思い出のある物は忘れない方がいいと思います。


「ある程度は片付いたね。残りの荷物をまとめておくよ」


無理を言っているのは分かってますが、おばさんもおじさんも優しいですから黙ってくれています。


「おばさんには、迷惑かけますねごめんなさい」


頭を下げて謝っていると、おばさんが優しく言葉をかけてくれました。


「いいんだよ、あんたのせいじゃないさ。これも何かの縁だからね。人生はわからないものだよ」


私は、こんなにも優しい人達と暮らして居たのだと、今更ながら気が付きました。


「ダリア、これも纏めとく?」


ミリアムも気を使って、笑って準備をしてくれています。


「ええ、ありがとう。ミリアムにも迷惑かけてごめんなさい」


謝る事しかできませんが、私のできる範囲でおばさん達皆を守れればいいのですが。


「母さんも言ったけど、ダリアのせいじゃないわよ。ほら!泣いてないで準備しないと終わらないわよ」


ミリアムが励ましてくれます。これでは、逆ですね。私が励まされていてはダメですね。


「んっ、ありがとう」


「おかあさん、僕たち荷物まとめたよ!」


「終わったよ、すごいでしょ!」


「おばさん僕も終わったよ」


「良い子ね、助かるわありがとう」


本当に可愛い子供達です、この子達の幸せを守るための努力は諦めたくないです。私にできる事は何でもしよう。


「「「うん!」」」


それから、半月ほどたったある日の事です。窓から見えた豪華な馬車が、何台も宿屋の前に止まりました。

まだ、約束の日にはもう少し日数が残ってるはずです。誰が来たのでしょうか?


「ダ、ダリア!来てくれ!」


おばさんの焦った声が聞こえます。やっぱり、迎えの人達の馬車だったみたいですね。


「はい、おばさん。今行きます」


階段を降りて、入り口の方に顔を向けると、立派な装いをした偶にくるお客さんの一人とよく似ています。


「君を迎えに来た。私と共に来てくれないか?」


今更ですか?強制しておいて、そんな言葉を言われても困ります。思わず、睨みつけてしまいました。


「……」


なにも言いたくなくて黙っていると、突然謝りだしました。


「すまない、一目惚れだったんだ!妃を迎えろと、うるさい奴らに好きでもない女を押し付けられそうになったので、突っぱねていたら、父親に好きな人が居る事が知られてしまった」


私に、言い訳を説明されても迷惑としか思えませんが、国に申し入れをしている時点で、厄介な人だとしか認識していません。


「何か言ってくれ!」


そう言われても……こちらはいきなり知らない人から、本人に了承を取らないまま妻にと言われれば混乱もしました。おばさん達一家も連れて行くと、脅迫と変わらない事を言われどうすればいいと?


色々言っているみたいですが、聞く気がないので黙って話が終わるのを待っています。聞いても状況が変わる訳でもないのに、馬鹿らしいと思い無言を貫く事にしました。


改めて見ると、この人が戦血王子ですか?知りませんでした。偶に泊まるお客さんの一人で、そんなに話した覚えもないのですから当然ですね。私の、どこを気に入ったのか分かりませんが、面倒になってしまったのだけは分かります。溜息しか出ないのは仕方ないのでは?と話を半分くらいスルーしていました。




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