第6話
不定期更新です。
突然の話にびっくりしていたのですがもっと呆然とする話を聞いてしまいました。何度もお父様に聞いてしまったくらいです。
「お父様!嘘ではないのですか?」
そんな!私の所為で優しい人達を巻き込んでしまった。こんな事になるなんて思ってもみなかったわ。
「何度聞かれてもそれが事実だ!偽りではない!」
お父様の悲しそうなかすれた声で言われてしまった。泣いてもどうにもならない向こうは王族、逆らえばどんな事が待っているのか予想もできないわ。
「私は仕方ないわ、でも彼女達には関係ないのにどうして!」
おばさん達まで連れて行くとはどう言う意味なの?
「相手はひと月後に迎えにくると言ってらした、子供達も自分の子供として育てるから心配ないと言ってくれた。必要なものだけ纏めて待っているといい。」
どうして私のような年増な女を選ぶのか聞きたいですお父様!
「お父様!せめて詳細を教えてください。」
悲しそうな顔で自分を責めているように見えました。
「すまない、私には何も言えない。ダリア今度こそ幸せに慣れること祈っているよ。」
憔悴したままのお父様はそう言って領地の方に帰って行かれました。
「ダリア!大丈夫かい、顔色が悪いよ。子供達も心配しているからね。」
こんな優しい人達を、巻き込んだと思うと涙がとめどなく流れていきます。崩れ落ちる体を支えてもらいながら泣くことしかできない自分を嫌悪しながら、平穏な暮らしを奪ってしまう私は謝る事しかできません。
「おばさん、ごめんなさい!ごめんなさい私が悪いの。」
本当のことを話さなければいけないと思いました。おばさんたち言うのは心苦しいのですが、言わないわけにはいきません。ひと月後には嫌でも王子殿下が迎えにやって来ます私達皆を連れにです。
「あとひと月もしたら私達を迎えに来るそうです。」
私をどこで王子殿下が見初めたか知りませんが迎えにくると。
「誰が迎えにくると言うんだい!」
おばさんがとても怒ってくれています。嬉しいですがどうする事もできません。
「私を妻に欲しいと、この国の王に打診があったそうです。これでも貴族に生まれたのですから王の威光には逆らえません、一族の者に迷惑をかけてしまいますから。」
お父様や弟に迷惑をかける事はできません。記憶が戻る前は凄い我儘も叶えてもらってた身ですから。
「断わる事ができないんだね。」
無理なんだと思います。お父様が私に気の毒そうに告げていましたから。
「ごめんなさい、おばさん達を巻き込んでしまいました。一緒に連れて行くと言われたのです。」
不思議ですが、おばさん達一家を共に連れて行くと向こうが言ってきたとお父様に聞きました。
「相手は偉い人なのかい?」
他国の王族ですが正式な申し込みをされていますので逃げられないです。
「ええ、フラグル王国の第二王子様だそうです。」
そう言った途端おばさんの顔が真っ青になりました。そして驚愕に染まっています。
「はああーっ!あの!戦血将軍なのかい⁉︎」
思い出したように大声で叫びました。鮮血?戦血?生臭い感じがしますね。
「鮮血?戦血将軍?おばさんは知っているのですか?」
私は、聞いたことがないのですが世間知らずでしょうか?
「知らない人はいないだろう、戦いを挑んだ国が将軍にことごとく負けているからね。沢山人を殺して白い服が血に染まった事からそう呼ばれているらしいよ。」
いえ、本当に知りません。どうやら戦血将軍の方ですね。そんな恐ろしい人がどこで私を見たのでしょうか?見間違いで間違いだと嬉しいのですが、準備だけは一応しておかないとダメですね。どんな方が来るか分かりませんが、おばさんの言う事が本当なら穏やかな暮らしが無くなるのは決まっているようです。