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ダリアの父親side

不定期更新です。それでも良かったら読んでください。

私の可愛い娘ダリア、この家に生まれた魔力を持たない娘。我が公爵家は宮廷魔法師として使えてきた優秀な魔法一族である。不思議な事に魔力なしが生まれるとその後に生まれる子供はいつも一族最高の魔力を持つ優秀な者が生まれるのだ、先触の子供として魔力ない子供は一生可愛がられる。それを除いても私は娘が可愛かった、だからこそあの子の願いを叶えてきた。


「お父様、好きな人ができたの!莫大な借金があるそうなの、助けてあげたいけど無理かしら。」


娘の好きになった男は、父親の散財で作った借金がある男だった。それほど人物は悪くはないと思い嫁がせたがその男には好きな女性がいて娘をいいように利用しただけだった。我儘な所はあるが可愛い娘だ。


「ダリア、幸せなのか?あの男よりいい男は幾らでもいる。戻ってもいいのだシオンも喜ぶ」


早く諦めて帰っておいで今より幸せを捜してあげよう。


「大丈夫よお父様!それより旦那様が欲しがっていた物があるのプレゼントしたいから探してお父様、ダメ?」


無邪気な娘のお願いにはいつも負けてしまう。昔から気の強い子だった。こんな事もあった。魔力のない娘を馬鹿にした事情を知らない一族の子供だった。


「総領の娘の癖に魔力無しだなんて恥だな!」


「そうだ!一族の恥だ!」


「おーほっほっほっ、それがどうしたの!一族最高の力を持つシオンの姉なのよ敬いなさい!シオン!姉を馬鹿にする者には制裁を、できるでしょう?」


くすくすと笑い、娘はシオンを見ながら彼らに罰が与えられるのを待っている。笑顔でまるで簡単よね、とでも言うように。


「皆ごめんね、僕姉様の言葉に逆らいたくないんだ。」




シオンがそう言って外に魔法で吹き飛ばしてしまった。一族の各家の当主はダリアが先触の子供だと分かっているが他には知らされていない。先触の子供は少なくとも二十歳まで生き延びさせなきればならない事になっている。その前に亡くなると魔力をもらった子供も死ぬのだ。


「流石私の弟だわ!最高に素敵よシオン!」


そう言って弟を抱きしめ優しくキスをして誉める。母親を早く亡くした二人だが姉であるダリアが弟に愛情を注いでいる。できると誉め、できない時でも直ぐできる私には分かるわ、といい練習させる。家庭教師達が姉の言葉一つで難しい魔法ができる様になると感心していた。あの事件時だけだ弟を怒ったところを一度みたのは。


幼い頃から才能のあったシオンを、見習いとして魔法師としての勉強をさせている時不思議な箱の解明を依頼された。三人で解析していたら急に光だし、その光をシオンが浴びて意識を無くしてしまった。後から分かった事だが呪術の箱だと解明した。そして意識のなくなったシオンを助けるため命の危険も顧みず解くための魔法を実行させたのだ。


「やりなさい!一族の宝と言われるシオンを失いたいの!」


「しかし、…危ないですが。」


「なにを弱気になっているの!二番目の貴方がやるのが義務よ!早くしなさい!」


「は、はい!」


「シオン!私より先に死ぬなんて許さないわ!戻って来なさい。」


シオンを助ける為には、意識の中に潜るしか方法がなかったがそれを失敗すれば命がない。持って来られたのが呪術の箱と知らずに、魔法を使い難しい術式に囚われたのだ。助ける為にはリスクが大きくおいそれとはできなかった。魔力無しのダリアにはできないはずだったのに、無理やり一族の一人の実力者に実行させたのだ。何故かいつもダリアの言葉には逆らえないような気持ちになる、実行した彼も逆らえなかったのだろう。


「何をしている!ダリア!止めなさい!」


「止めないわ!私はシオンの姉なのよ、シオン!聞こえるはずよ!戻りなさい!私の言う事は絶対よ!」


魔力無しのダリアには物凄い痛みがあるはずだそれにも負けず意識を保ってる。


「…ね、ねえ…さま…?」


「シオン!私のシオンは負けないはずよ!起きなさい!」


ダリア言葉が心の中に響いている、まるで絡め取るように囚われるような声だ!心奥底まで聞こえて私でも逃げられない。その言葉と共に魔法が破られシオンの意識が戻った。血の成せる技なのだろうか助ける事ができた。


「ダリア姉様?姉様!起きて!」


シオンが目覚めるのを見た途端ダリアは意識を手放したようだ。


「シオン、ダリアを休ませてあげなさい。お前を助けるために術を無理やり使ったのだ。」


本当に弟思いの姉だ、一カ月ほど動けなかったがそんな事気にする必要はないときっぱり言っていた。当然この事件の後からもっと姉を大事にする弟。我儘な所もあるが優しい娘だから願いを叶えたが一度目の結婚がダメになった、あの厚顔無恥な男などもっと早く見限っても良かったと思うのだが。


シオンがきっと報復するのだろう。しかし帰って来た娘は大人しく我儘な所が無くなって変わってしまっていた。


「お父様、お久しぶりです。この度は私の我が儘を聞いてくださってありがとうございます。」


そんな言葉を言われてびっくりした。いつも自信たっぷりにお願いしていた娘の面影もない。


「余程の事があったのか?あの男に何かされたら言いなさい。」


「いいえ、何もありません。子供も生まれないし寂しくなったので、何処か別の子持ちの人でもいいから嫁いでみたくなりました。」


一人心当たりのあった私は娘の希望通りその男に娘を嫁がせた。結婚して幸せだと言っていた娘が、まさかあんな事になるとは思いもしなかった。義理の娘が病気で亡くなったはずだが殺されたと、殺したのは私の娘だと義理の姉に当たる男爵夫人が言い募ってきた。私の娘に罪がある悪いのだと言ってきた。


娘は違うと言ったが誰も信じてくれなかったようだ。私の所に戻って来たので魔法判定を受けさせ無実だと分かっているが向こうの一族は信じてないらしい。私の家が宮廷魔法師だから不正をしたと思われているようだ。絶望した娘は修道女なると言って旅立って行った。これ以上娘を追い詰める事は可哀想でどうする事もできない私は見送るしかできなかった。


まさかダリアが修道女にならず、普通の暮らしをして子供を産んでいるとは知らなかったうえ、今度はフラグル王国の第二王子それも戦血将軍に見初められるとは、不運と言ってもいいだろう。


陛下に申し込みがいったと聞いた時はどうする事も出来ない自分に哀しみが募ってくる。この話を聞いたシオンも泣いていた、後日将軍がやって来て婚姻の承諾書にサインをしなければならなかった。後の事は任せてぐださいお義父さんと言われた時の衝撃はすごかった。すまないダリア助ける事ができない父を恨んでくれ。この話をしに行く私を駄目な父親だと罵っても構わない。

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