第5話
更新は一か月後になりそうです。ごめんなさい。
旦那様も、幸せになれそうでしたので重荷が取れたように思います。悲しみから立ち直ってくれたのなら良かったです。前より考える時間が減り、いそがしい毎日を過ごしているとあっと言う間に時間が過ぎました。
私も宿の娘さんで友達になったミリアムと一緒に赤ん坊を生みました。お腹が普通より大きいと思っていたら双子でした。
「二人も生まれたよお母さんは大変だよ」
おばさんが嬉しそうに言ってくれました。隣でミリアムも男の子を生んで笑ってます、亡くなった旦那さんそっくりだそうです。
私の子供達は、一人は旦那様そっくりな男の子、もう一人はお父様そっくりな男の子です。大きくなったら女の子にモテモテになりそうですわ。
「お母さんと頑張ろうね」
こうして大変な毎日が始まりました。何でも初めてです、失敗も沢山しました。
でも、楽しい毎日を皆で送っています。おばさんやおじさん、ミリアムと、笑ったり泣いたりしながら、ゆっくりと時が流れ、あれから十年早いものです。子供達も九才になりました。
「お母さん、これできたよ。ほら見て!」
私が、できる事を全部教える事にしています。どこに出ても通用する様にマナー、貴族に対しての礼儀、一般教養。私が習った物や、前世で習って使える知識を子供達に教えました。
もちろん、ミリアムの子供も一緒にです。
「ん、良くできている。いい子ね」
「僕もできたよ!」
「僕だって!」
「皆よくできているわ。ふふ、いい子」
順番に頭を撫でてあげます。褒めて伸ばす方が、効率が良いのでこの子達にはそうして教えました。
どの子も優秀で、どこでも生きていける力を確実に付けてくれて、嬉しいばかりでした。
この穏やかな生活が、終わりを迎える事も知らずに楽しく暮らしていました。
「お父様!どうしてここに?」
私はあの後、嘘の手紙を出しました。もう居ないものと思ってくださいと。どうもお父様は、爵位をお兄様に譲り領地に戻るそうですが、私を見そめた方が妻に欲しいと、お父様達に許しをもらう為に屋敷に来たそうです。この場所を教えたのはその方だそうですが、信じられなくて神殿に訪ねて行って、私が居ないことが本当だったと分かったみたいですね。
「心配したのだ!神殿に行ってもそなたは来ていないと言われて探したのだ!」
優しいお父様は、私を探して会いに来てくださったのね。ごめんなさい。
「ごめんなさいお父様」
もう戻れない私を許してお父様。
「こらあ!お母さんをいじめるな!」
「そうだ!泣かしたら許さないぞ!」
「おばさんを、いじめたらだめだ!」
三人が私を庇ってくれます。優しい子供達です。
「違うの私が悪いのよ。お父様向こうで話をしましょう」
ごめんなさい、貴方達にお祖父様は悪くないのよ。ここではなく、あちらで話さないと。子供達に聞こえないくらい離れました。
「…ダリアあの子達はまさか!」
子供達の顔を見て気付いたようですね。ばれてしまいました。
「ええ、リンドール伯爵が父親ですわ。でも、名乗るつもりはありません。この子達が不幸になりますから」
お父様にも内緒にする様にお願いしますわ。変な事には、巻き込まれたくはないですから。そう、あの時の様に何を言われるか分かりません。子供達まで、酷い言葉を聞かせたくはないの。
「お父様、内緒でお願いいたします。今さらでしょう。再婚なさった人と関わり合いには、なりたくありませんわ」
私を信じなかった人と、会いたいとは思いませんわ。もうすぎた事です、蒸し返す必要などないのです。
「しかし、いいのか?子供の事を言わなくても」
お父様が心配してくれるのは分かりますが、喜ばないと分かっているのに言いませんわ。
「押し付けられた、l妻の子供など要らないと思いますわ。私を疑う親類と、旦那様が喜ぶわけがありませんもの」
幸せになれると思った二度目結婚。それでも、後の私の評価は何処に行っても変わらなかった。
誰からも言われたわ、押し付けられた女だと、旦那様が可哀想だと。何も、旦那様が否定しなかった時点で、認めているのだと気付かない私は、おめでたい頭だったのね。
だから、子供の事は教える必要などないわ。相手を不愉快にさせるだけだから……それに会いたくもないわ。今の方が幸せだから。
「だがダリアの無実は証明されたぞ」
真実が分かってもらえたなら、それ以上望みませんわ。
「もう、終わった事ですわ。今の私は幸せですから何も感じません」
前を向いて生きている私には、もう関係のない話ですわ。
「だが、そなたを見初めた方が、妻に欲しいと言われている。我が家としては嫁がせる事になっている!」
年を取りすぎている私より、もっと若い人と結婚してもらったらいいわ。
「嫌です!私は子供達とここで暮らしますわ!今更嫁ぎたくありません」
ここの方が居心地いいのです。嫁ぐなど思ってもいませんわ。平民の暮らしにも慣れました、今さら貴族の暮らしをしようとは思いません。真実が分かって良かったとは思いますが、それだけですね。
昔の暮らしを望む気持ちもありませんから。お父様の話によると、医師もぐるだったそうで、最近お金をせびりに来たところを捕まり、全てを白状したと聞きました。
ですが、犯人が義理のお姉様と、あの綺麗な方だとは驚きました。旦那様を手に入れるために、私に罪を被せようとしたとは。
虫も殺せない、淑やか令嬢だと思ってましたが、人は見かけではわからないものですね。
「ダリア!断れないのだ。王命だ!」
お父様が叫びました。陛下が決められたのですか?そんな馬鹿な!
「王命?どうしてですお父様!」
「そなたを見初めたのが、隣国の将軍で第二王子だ。」
「え!王子様目が悪いのでは!もう私は年増ですわ!」
「お付きの方も、そなたで間違いないと言われた」
やっと静かで楽しい日々を送ってましたのに、困難がやってきたようです。運命とは意地の悪いものですね。