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第22話

不定期更新です。

伯爵に決別の言葉を言って、もう関わる事はないです。話を打ち切り、もうひとりの元旦那様に殺そうとした訳を聞きたいと思います。


「口の枷は外します。ですが、どうして私を殺そうと?答えてもらえますか?」


外した後罵倒されると思ってました。なにも言ってはくれません。


「……」


「お願いです。教えてください、私は貴方に苦痛を与えたのですか?」


どんな訳があるか聞きたいです。そう思っていたら、急に苦痛に滲む顔で叫ぶ声が辺りに響きました。


「何故だ!どうして殺そうとした私を憎まない!憎めばいいだろう!」


私は首を横に振って憎んでないと。心が苦しく悲しい。


「いいえ、憎んでいません。ただ、悲しかっただけです。私は、裏切られて辛いのは経験済みですから」


前世を、思い出す前の私は貴方が好きだった。家が借金で潰れそうだったので助けられれば、と父に頼んだと記憶の中にあった事を思い出した。辛くて元の記憶が眠ってるのだから。


「……君を…君を憎んでいれば楽だったんだ!自分が悪くない騙されてないと思いたかった!」


湯水のようにお金を使う奥様に使う事を止めることができなかった。結局また借金がかさみどうしようもなくなったらしい。奥様は、元旦那様に見切りを付けお金持ちの後妻になったそうです。


「シオン「ダメだよ姉さん」お願い」


私の言いたい事が分かった弟がダメ出しです。


「お願いシオン」


心奥に泣いて隠れてしまった、伯爵を盲目的に愛していた今世の私の為に伯爵には幸せになって欲しいの。


「はーっ、姉さんには敵わないな。分かったよ、もう一度だけ伯爵を助けてあげるよ」


「……ダリア、君はどうし…て」


「伯爵様、新しい幸せを探してください。最後に私の願いを叶えてくださいますか?」


地面に座り込んで、無言で頷いてくれました。声を出さずに泣く元旦那様がいるわ。やっと、私の心の中にいた今世の私が、笑って消えていった気がします。


「どうしてだ!何故その男は許されて……私はダメなんだ!」


側にいた、もうひとりの元旦那様に聞かれました。


裏切られて助けてもらえなかった人と、今世の私が一方的に愛していた人では事情が違います。最初の旦那様は私の一方通行だった。ただ、喜んでもらいたい為に色々していただけ。相手にはしてもらえなかったけど、してあげるだけで満足していた。でも、池に突き落とされた時に水面に映る旦那様を見てしまい、今世の私は心の底に隠れてしまった。自分の力では幸せにできないと感じてしまったと思います。


でも、貴方は違う!私に希望を与えるだけ与えて、裏切られて信じられなくなっていた。少しでも私の話を聞いてくれていたら、まだ違ったかもしれない。もう信じられない人に、いつまた裏切るかもしれない人に子供達を任せる事はできない。二度は心が耐えられないから。


「裏切られて泣くのはもう嫌なんです。私達の事は忘れてください」


そうきっぱり言って顔を背けました。私の見る未来には、子供達の父親である彼はいません。前を向いて生きて行きたいと、遠くで待っている子供達を見て心に決めてます。




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