side勇者(神崎洸夜)後編
後編更新しました。不定期更新です。
俺は、彼女の願いを叶えた。彼女は帰れないと思っていた俺に、勇者なら命数を捧げる事が出来るので、召喚された時点に戻れると教えてくれた。それも、自分の記憶を読ませてだ。普通なら嫌だと思う事を、この世界で一人だと寂しいと感じていた俺の事を分かっていた。記憶を読ませてだ貰った時に分かったが、彼女は召喚される前にあった同級生だった。
「君はあの子だったんだね。あの時は守れなくてごめん」
「生まれる前の遠い昔の事ですよ。神崎君のせいじゃないです。今度は、もとの世界で幸せになってください」
そう話して別れた。帰ったら絶対助けようと思っていた。だが、禁呪といわれるだけあった。帰った途端倒れて熱を出して寝込んでしまった。起きた時には彼女の、葬儀の日だったのだ。急いで会場に入った。
「ごめん!助けられなくてごめん!俺は君に助けて貰ったのに!」
泣いて棺桶に縋った。周りの人達が集まって来たが構わなかった。彼女の知り合いが、声をかけて来た。
「君は、この子の友達か?」
彼女から聞いた大家さん?そうだ!特徴が似てる。
「彼女が殺される前、会ったんです!」
俺が言った言葉に周りが騒然となった。
「殺された!自殺じゃないのか!」
自殺なんかじゃない!記憶を読んだんだ!俺に、何時も纏わり付き嫌な事ばかりをする女だ!
「彼女に最後に会った時、大家さん達が自分の誕生日を祝ってくれると喜んでいた!そんな彼女が自殺するはずない!」
真実だ!橋から落とされた彼女の、寂しそうな顔が胸の中の残ってる。
「あの子は自殺よ!私が見たわ!」
まだ!嘘をつくのか!こんな女の所為で彼女は死んだのか?許せない!
「君が!彼女を橋から突き飛ばしたのか!最低だ!人殺し!」
俺も、人の事は言えないがこいつは違う!罪も無い彼女を妬んで殺した。
「違う!違うわ!勝手に落ちたのよ!私は悪くないわ!」
こいつは、俺が彼女にあげた物を取り上げた。偶々誕生日だと聞いたから、持っていたチョコレートを彼女にプレゼントしたんだ。
「俺が、彼女にやったチョコレートを取り上げた。橋から彼女を落として。違う!盗み取ったんだな!」
震える女を見た大勢の人が気が付いた。それが真実だと。だが、例え真実が分かろうと、彼女の命は帰って来ない。俺の寿命は元に戻った。勇者の力は残ってるが、普通に生きて行ける。君の、今度の人生が幸せになってくれる事を遠くから願っている。




