side勇者(神崎洸夜)前編
短いですが休みが取れたので書きました。不定期更新です。
俺は勇者としてこの国に召喚された。初めはファンタジーな世界でゲームと一緒だと喜んだ。だが現実は酷いものだった。比較的平和な日本で、争う事もなかった俺が剣と魔法を使って人を殺した。相手が悪いと教えられ、真実を知らないまま戦って多くの命を奪った事だ。
「勇者様!ようこそいらっしゃいました。この国をを救いください」
物語の主人公になった気で、軽く考えていた馬鹿な俺は真実を知らないまま沢山の人を殺した。真実を知った時は遅かった。自分は唯利用されていただけだった。何もかもが嘘で出来た関係だった!騙されたと知った時には遅かった。俺を封印して石碑を建てるつもりらしい。
「俺を騙してこの場所に連れて来たのは、全員で嘘を吐いていたのか!」
俺を呼び出したララベルが、嘘を吐いているとは信じたくなかった。優しく接してくれて居たのが幻だったなんて知りたくなかった。
「貴方に言われたくないわ、勝手に勘違いして頂けでしょう?」
「そうだ!僕は王子達を守っただけだ」
「そんなに守りたいなら永遠に守ればいい!」
俺は思わず呪ってしまった。親友だと嘘を吐いていた事も許せなかった。
「勇者の君はもう要らないのだ!おとなしく封印されたまえ!」
王子が呪文を唱えたが、解くのは簡単だった。だけど、このままで居ても悲しいだけだと思い、自分で眠りの中に入った。日記を読める人以外は、俺を起こせない様に。利用されるのはもうたくさんだ!だが、五百年立った時に、日本人の記憶を持つ知り合いに会えるとは思わなかった。
「俺を起こしたのは君?」
俺より年上の優しそうな人が目の前にいます。日本語を読めるのは召喚された人だろうか?本に願いを叶えると書いてあったから呪文を唱えたらしい。だが、俺を利用する為の嘘を言っているかもしれないと、思いわざと色々聞いてみたり試してみたりした。彼女は、生まれ変わり転生したらしく前世の記憶があると言った。
「わあ、あってるよ!見た目日本人ではないようだが、俺と同じ世界の人ですか?」
「いいえ、残念ながら前世の記憶があるだけです」
「そうか、違うのか。でも、向こうの話はできますね」
召喚されてから寂しかった。誰にも故郷の話をできず、ゲームやTV話題、日本での話で盛り上がることもできない寂しい日々。時間差はあるが、彼女は俺が生きていた時代の人だ。
「その前に、お願いを聞いてもらえますか?」
彼女には切羽詰まる事があるらしい。日本の話ができると喜んだ俺は、話を聞いて驚いた。俺が呪って王子と親友の振りをしていた二人の子孫に、酷い目にあっていて助けて欲しいと願いを言った。




