第9話
不定期更新です。
ごたごたが収束し、やっと出発の準備も終わりフラグル王国に向けて馬車が走り出しました。
私と子供達、王子と数人の護衛が一台目の馬車に乗り二台目におばさん達が乗って荷物が残りの馬車に乗せています。
「お母さん、僕達どこに行くの?」
子供達が不安そうに聞いてきました。いきなり豪華な馬車に乗せられ、目付きの悪い人達に囲まれればそうなるのは当たり前ですね。
「フラグル王国に向かっているわ。」
そう子供達に話していると、横から王子が話しかけてきます。
「君達のお母さんは、私のお嫁さんになるから今日から私が君達の父親だ。父上と呼んでくれないか?」
馬車の中でいきなり説明ですか、もっとゆっくりした時の方がよかったのですが。ああ、無理ですね。本人の意思より先に結婚を強いる人ですもの言っても無駄ですわね。
「お母さん!本当なの?」
泣きそうですね、無理もありません急に言われたら誰だって混乱します。でも、何を考えているか分からない人に、今逆らって子供達に危害を加えられたくありません。
「この人がお父さん?」
ごめんなさい。本当に私の意思ではないのであなた達が嫌がるのも分かりますが。
「ええ、ごめんなさい。お母さんの実家で決められてどうにもできないの。」
そう言った方が都合がいいわ、お父様ごめんなさい。
「お母さんが言った通りだ。私を父上、お母さんをこれから母上と呼びなさい。」
その高圧的な言い方、子供達には止めて欲しいわ。これで印象が悪くなったのに気付かないのかしら?子供達が首を横に振って、いやだと言っているようね。
「君たちは殿下の子供になったのだから、恥をかかせないようにしてくれ分かったな!」
お付きの騎士が、そう子供達に強い口調で話しました。それで父として慕うと思っているのかしら?本当に残念な考えの人が集まっているのね。
「お母さん僕いやだ!お父さんじゃない!」
それを聞いた王子の表情が強ばりました。仕方ないわ、あんな言い方をして好かれる訳ないわ。
「不本意だけど、王族の命令には逆らえないのごめんね。」
固まったままの王子に、それを見た御付きの騎士の顔が鬼のように怖いわ。
「子供と言えど許されないぞ!殿下に対して嫌だとは厚かましい!寧ろ感謝するのが筋だろう!」
この騎士、嫌だわ、子供に対して大人げない人ね。だからこんな信奉者は嫌いなのよ。私達が、望んでもいない事を感謝しろと言われても無理なのに。
「ごめんなさい。訳の分からない子供の言った事ですもの許して欲しいわ。」
そう言って一応謝ると王子様が私達に顔を向けてきました。
「いや、気にしていない。ロルフ、声を荒げるな!子供達に嫌われるではないか。」
少しは気にしていましたのね。今更ですが、言い訳しても最低の印象になったのは仕方ないですね。この人達との暮らしが上手く行くのか不安にしかなりません。でも、子供達に迷惑をかけたくないですね。




