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最終話:連鎖のアイドルソング-The idol song of a chain-

※小説家へなろうへ移植する際、エキサイト翻訳の英文追加を行っております。


>更新履歴

・2015年5月7日午前2時25分付:行間調整、前書きコンパクト化

 西暦2014年5月18日午後2時30分、アイドル・クラッシャー2の決勝が行われるはずだった会場ではエリア整備が行われていた。


『整備の結果、午後2時35分には試合再開いたします。もうしばらくお待ちください』


 周囲に男性のアナウンスが流れ、一応は全てに区切りがついたような状況になっている。


《変えられるという可能性があるなら、その世界を変えるだけの努力をしてみようよ! 永久不変だと思うのは個人の自由だけど、絶対に世界は変えられるはず!》


 グリーンイージスAIの、この発言から思いついたのがアイドル・クラッシャー2を中止せずに行うという事だった。


「アイドル・クラッシャー2を無事に行う事が出来れば、不当な力にも屈しない事をアピールできる。おそらく、それが最善の策だろう」


 この案に賛同したのは、西雲冬真にしぐも・とうまをはじめとして、ここにいる参加者達全員に近い人たちだった。


 そして、アイドル・クラッシャー2は午後2時35分に再開するという流れとなった。


 おそらく、ここで言う不当な力とは超有名アイドル勢の事だと思われるのだが、真相は定かではない。


###


 会場に残っていると思われたクラウド=ノエルは再び姿を消した。


 会場から退避した後、瞬時にして例のトレーラーへと戻っていた。その時間は5分弱である。トレーラーも移動していたという事もあるのかもしれないが…。


 その移動手段とは、アーマーの変色しなかったホバー部分+一部のアーマーの残りエネルギー等で何とか脱出をしたのである。


「アカシックレコード、あの記述がすべて真実ではなかったのか」


 ノエルはアカシックレコードに記載された予言の書や設計図などをベースにリアルチートアイドルを復活させた…はずだった。


 しかし、結果はアカシックレコード・フルアクセスの西雲によって無力化されてしまうという末路をたどった。


 力に溺れた結果が今回の惨劇だったのか、あるいは別の要素が絡んで敗北になったのか。その真相を現時点で探る事は不可能だろう。


 それに加えて、現状の超有名アイドルを締め出すような思想が飛び交っている状況では、自分が顔を出せば即座に消されるのは目に見えている。


「結局、俺も芸能事務所に利用されていたという事か」


 そして、ノエルはトレーラーを動かし、何処かへと向かっていた。トレーラーが埼玉方面へ向かった事までは確認されているが、それ以降の情報は途絶えている。


 その後、彼はクラウド西雲と名前を変えて超有名アイドル商法に対して警鐘を鳴らす活動を始めたという話も聞くが、真相は定かではない。


 余談だが、クラウド=ノエルのノエルに関しては芸名と言われている。しかし、クラウドも本名かと言うと疑わしい部分がある。


###


 もう一人、この会場から姿を消した人物がいた。それは、九音玲二くおん・れいじである。


 彼は、全ての決着を付ける為に秋葉原にある超有名アイドルの劇場まで来ていた。ここでは、既に別のアイドルグループがライブを行っている。


「関係者以外は…!? これは、これは九音玲二様ではないですか。今回は、どんな用件でしょうか」


 オーナールームに姿を見せた九音を見て、劇場のオーナーが驚いたような表情をしている。急に来た事に対してだろうか、それとも?


「用件か。用がなければ、この場には姿は見せていないだろうな」


 九音がトランクケースを開けると、そこからはDVDらしき物が1枚入っていた。


「それは、まさか!?」

「この内容に驚くという事は、これの中身を知っているようだな」

「それをどこで手に入れた?」

「お前が知るような事ではない。既に、複数の芸能事務所が脱税容疑や政治家へ裏金を提供した人物の割り出しを警察に依頼している所だ」

「警察だと? 貴様、超有名アイドルがどうなってもいいというのか?」

「結局、自分達に金を提供する人物だけを生き残らせているに過ぎないような音楽業界は…」


 オーナーと九音の会話は続く。そして、九音は背広のポケットからスティック状の何かを取りだした。どうやら、USBメモリーらしい。


「貴様、そのUBSデータをどこから手に入れた?」

「それを知る必要もありません。既に周囲は警察が取り囲んでいます。超有名アイドルも、音楽業界も一度リセットされるべきなのです」

「賢者の石…永久不変に利益を確保できるシステムが…」

「ノーリスクハイリターンと言う概念自体、人を誤った道へと落とす。超有名アイドル商法は終わったのです」

「九音玲二、今頃BL勢も大量に逮捕者が出ている頃だろう。某作品の脅迫事件に関係した人物の割り出しも終わり…」

「忘れていました。このデータの出所、知りたくありませんか?」


 BL勢という言葉を出しても、九音は顔色一つ変えるような気配がない。確か、BL勢の根絶を訴えていたのは彼のはず。


「実は、このデータの提供者は西雲冬真なのですよ。あなた方は、彼女が考えた罠にかかった獲物にすぎなかった…と言う事」


 九音は肩で笑った。自分も、この事実を知ったのは西雲にDVDとUSBを渡された時だからだ。


 それから30分ほど経過した午後3時、ニュース速報として芸能事務所の複数が家宅捜索を受けたというニュースが流れる。


『速報です。先ほど、大手芸能事務所の有名プロデューサーが複数の与党政治家に賄賂を渡す代わりに、超有名アイドルに税制優遇を―』


 そのニュース内容にはネット上でも衝撃を受けた。超有名アイドルの有名プロデューサーが政治家に賄賂を渡していた事である。


【週刊誌でも報道される度に偽物報道されていたのだが…】

【シングルでデイリー速報で1000万枚が出るなんておかしいと思ったが、政府が情報操作をしていたのか?】

【おそらくは、デイリーで1000万枚と言っても999万枚近くはオークション転売等に回り、実際に手元に残っているのは1万枚にも満たないという】

【それを2日目、3日目、4日目、5日目、6日目、集計最終日と繰り返す事で、ミリオンを量産している気配がする】

【まるで株式市場を思わせる展開だな】

【しかし、これに参加しているのは熱狂的なファンと言うよりは投資家的なファンだな。そう言った人物が世界長者番付のような所にランクインしているのを見ると…】

【今や音楽業界が株式市場になったという感覚を抱くのは、このような商法が超有名アイドルで展開された影響で、超有名アイドルが絶対的権力者と言うディストピアが成立していた事にある】

(中略)

【結局は超有名アイドルCD商法詐欺のような物も表面化した以上、何らかの対策が必要になったのは間違いないだろう】

【これで、超有名アイドルを絶対神としたディストピアは崩壊すると思って間違いない。ただ、次にBL勢が動く可能性も―】


 今回の逮捕で、超有名アイドル商法が大幅な規制を受けるのは明らかだろう。これによって、音楽業界が変わる事を祈りたいと誰もが願っているかもしれない。


 午後3時2分、先ほどの速報をアナウンサーが読み終わった後、何か別の原稿を手渡しされるシーンが映った。続報でもあったのだろうか?


【超有名アイドルのプロデューサー関係じゃないのか?】

【そう言えば、アイドル・クラッシャーの決勝はどうなったのだろうか? 試合再開はニュースでも流れたのは確認している】

【何か違う字幕が出たぞ!?】


 速報字幕を見たネット住民は、まさかの展開に驚く。


『更に速報です。一連の某漫画作品の脅迫事件に新たな動きが出ました。先ほどお伝えした超有名アイドルグループのメンバーが実行したとして―』


 何と、BL勢に人気のある某漫画作品の脅迫事件が、超有名アイドルメンバーによって起こされたという事が報道されていたのだ。


【どういう事だ?】

【えっ!?】

ニュースの内容を見て、まさかの展開に画面を2度見した人物もいた。

【超有名アイドルのディストピアが現実化していたのか】

【超有名アイドルのディストピアが現実化していたのか?】

【超有名アイドルのディストピアが現実化…】

(以下、同じコメントの為省略)

【まさか、超有名アイドルがライバルを削る為に、ここまでの事をしていたとは】

【超有名アイドルが正義、他は全て悪のような考え方だな】

【しかし、BL勢も違うと言えるかどうかは分からない】

【ファンの暴走や上層部の迷走などは、どの分野でも同じ事が言えるという事か】

【ふとした不具合1つだけで大炎上するような時代だ。これら全てを超有名アイドルに押し付け、強引な幕引きを考える日本政府の仕業かもしれない】

【結局は超有名アイドルが日本政府のお気に入りとなって、全てを超有名アイドルで制圧しようと考えた。しかし、それも失敗に終わったということか】

【政府にとっても用なしとして切り捨てられ、別の案を模索し始めているという状況をみると、超有名アイドルも悲劇のヒロインかもしれないだろう】

これには、思わず超有名アイドルファンからも残念という声が聞こえる。


 中には、BL勢の陰謀だという事でBL勢に対して報復を仕掛けようというファンも出てくるだろう。


 そんな中で、あるコメントが流れた事により、急速に報復を考える事が愚かであるという事を知らせたのだろうか…という事件が起こる。


【今後の調査は警察の動向次第だが、これで超有名アイドルによるディストピアは崩れ去るだろう。その後は、どうなるか不確定だ。しかし、報復と言う手段を取るのはファンがするべき行動ではない】


 誰かも分からない謎の文章がネット上に拡散し、これによって超有名アイドルに報復を仕掛けようとする勢力をあぶりだす事に成功し、首謀者の大量逮捕につながった。


 このコメントに関しては、過去に超有名アイドル絡みのメールが届いたという件と同様に謎が多い。果たして、このメッセージは誰が送った物なのか?


 この事件から数日後、九音はクラウドと同様に超有名アイドル商法に警鐘を鳴らす活動をしている他にも、ファンマナーの確立に向けての活動を始めたらしい。


 拡散したメッセージが九音による物かは不明だが、ファンに『悲しみの連鎖を起こしてほしくない』という思いはあったのかもしれない。


 これが、IKS47を設立した者としての償いだろうか?


 今回のニュースから1週間後、IKS47は解体され、所属していた元上層部の幹部は警察に逮捕されるという流れとなった。


###


 午後3時20分、会場とは別のショッピングモールにいたのはクリス=メガブレイドだった。


 結局、彼は決勝会場へ向かうことなく、ショッピングモールへ向かっていたのである。距離としては、決勝会場から歩いて10分未満で到着可能だ。


「超有名アイドルも、BL勢も同じような末路をたどったか―。目指す物は違っても、実行している事は同じだったかもしれないか」


 クリスは外で号外を配っているとの事なので入口まで来たのだが、1台の車が止まっているだけで新聞を配る人物の姿はなかった。


 実は、この号外は1台の車に特殊な電波を受信するシステムになっており、タブレット端末やスマートフォン等でダウンロードするという仕組みになっている。


 最近は紙の媒体よりも、携帯やパソコン等でダウンロードするような時代になっているのだろうか?


「これも、時代の移り変わりか」


 そんな事を考えつつ、クリスは再び試合が中継されている場所へと戻り、試合を観戦する事にした。


 クリスを偶然発見したのは、試合を終えた翼羽よはねアリスだった。


「あなたは確か…」


 アリスも彼の素顔は見た事がなく、初めて見た顔に驚きを隠せないようだった。


「ええ。私がチーム・メガブレイドのメガブレイドですよ」

クリスはアリスに対して自己紹介をする。


「でも、あの時には確か―」

「本戦の時は色々と様子見をさせていただきましたが、あなた方の実力は本物だと思いました」


 クリスの言う〈あの時〉とは本戦でのバトルである。この時には、イージスとの戦闘に苦戦して負けたとばかり思っていたのだが…。


「いつか、あなた方と戦う機会があれば、その時には…」

クリスは、それだけを言い残して何処かへと姿を消してしまった。


 後に、アイドル・クラッシャー3が開催される時には、チーム・メガブレイドとしてクリスは復帰する事になる。


 その際のメガブレイドは、近接オンリーから遠距離武装も使いこなすようになっていたという。これが意味する者とは一体…?


###


 会場外には、ブラック、グリーン、イエロー、パープルと言う4体のイージスが勢ぞろいしていた。


「まさか、3体目の組み立てがされているという話もあったが…」

ノーマルスーツ姿の彩月さいげつハルトが、ブラックイージスのコクピット内から3体のイージスを見て改めて驚く。


《元々のイージスは量産前提の物だ。それが、後のイージス・プロジェクトと合流する事も考えて―》


 ブラックイージスAIは、ハルトの疑問に対して答えるのだが、それに割り込みをかけたのは意外な人物だった。


「イージス計画は日本全体に大型の盾を展開する計画。だからこそ、1体だけで展開するのが困難な強固な盾を分割する事を考えたのが、あの時の力だ」


 話の割り込みをかけたのは、何と西雲だったのである。


「装置1つだけで、日本全土をカバー出来るような物を連想していたのならば、それは間違いだ。その証拠が、建造物保護用バリアになる」


《確かに。建造物保護用バリアは同じエリアであっても無数に存在しますね―》

西雲の説明にパープルイージスAIがフォローを入れる。


《建造物保護用バリアは、使用しない時は太陽発電パネルとしても利用されます。つまり、有効活用されているという事です》

グリーンイージスAIも話に参加し始めた。


「そういえば、太陽光と地熱、風力位しか発電所を見かけなかったのは?」

ハルトは、日本地図を見ていた時に気になった点をぶつけてみた。


《過去には火力発電等もあったが、ある発電方法が発見されてからは一気に衰退したと聞く》

ブラックイージスAIの回答を聞き、それが何かを聞こうとした。しかし、周囲は答えようという雰囲気ではない。


《何と〈魔法〉による発電なんだよ~。ファンタジー世界じゃないのに魔法って思うけど、イマドキなら現代でも魔法を使うっしょ? ラノベ作品みたいに》

ハルトが疑問に思っていた事を答えたのは、何とイエローイージスAIだったのである。その解答には西雲も驚く。


「魔法発電は確かにアカシックレコードにも書かれていた。しかし、現実的ではなさすぎるという事で当時の政府をはじめとして導入する予定はなかったという」


《その通りだ。それに、魔法石のような類も発掘はされていない。それによって、この計画は消滅した》

西雲の発言続くかのように、ブラックイージスAIも発言をする。


「魔法石が発掘されれば、状況も変わったのかもしれない。現実に存在するかも分からないが」


 技術があったとしても、魔法石がなければ魔法発電は実現しない。西雲は、この技術が別の世界で使われる可能性を否定しなかった。


「アカシックレコードの存在は、他の世界と一部の技術で共有されているという証拠かもしれない。世界線を含めて、さらなる研究も必要になるだろう」


 そして、西雲は何処かへと向かった。何処へ向かうのか、他のメンバーが聞くような事はなかったが、ゲーセンに向かったと思われる。


 西雲冬真、彼女は後にネットラジオを再開、そこでアカシックレコードに関して研究を再開したようだ。


###


 バトル終了後の午後3時30分、突如として4体のイージスが姿を見せた。


『これが、本来のイージス…ディーヴァシステム』


 ハルトがディーヴァシステムを起動する。そして、それに連動するかのようにイエロー、パープル、グリーンもシステムを起動した。


『噂には聞いていたけど、こういうシステムだったのか』

上条麗菜がパープルイージスに乗り込み、操作をしているのだが…改めてイージスの凄さを身をもって感じていた。


『これがイージスのコクピットなのね』

上条あきらが乗っているのは、グリーンイージスである。


《みんな~! もうすぐ、ライブが始まるよ!》

イエローイージスの方は無人なのか不明だが、喋るのはイージスAIのみに。


 よく見ると、イージスは各種火器や武装を装備していないように見える。


 装備と言っても、内蔵火器やフェザーファンネル、ビームシールドなどの外せない部類はそのままになっていた。


『行くぞ! フォーメーション・ホーリーフォース!』


 ハルトの叫びと共に、イージス5体が配置につき、上から見ると星になるような配置になる。そして、その星の頂点にはイージスオリジナルの姿が…。


 この時のライブ映像は、後に動画投稿サイトで50万再生を記録した。


###


 1週間後の5月25日午後1時、その日は同じ場所でライブが行われようとしていた。そのライブには、上条麗菜の姿が…。


「お待たせして、本当にごめんね。でも、ようやく私も再びステージへ立てる日が来るとは思いませんでした」


 ステージに立った上条麗菜がオープニングトークを行う。


 アイドル・クラッシャーを巡る事件は、最終的に超有名アイドル商法に欠陥があるという事で、アイドルコンテンツの再構築を生んだ。


 事実上、アイドル・クラッシャーはアイドル戦争と超有名アイドル商法で確立されたディストピアを破壊し、新たなる可能性を生み出したのである。


 今、ここに超有名アイドルによる悲劇の連鎖と言う名の鎖は断ち切れた。


 しかし、この鎖を再びつなげようと考える勢力が出てくる事は容易に想像できるだろう。


###


 そして、5月26日、アイドル・クラッシャー2の優勝者に次期総理大臣の称号を…と思われたが、予想外の事態が起こった。


 それは優勝者の称号辞退である。これによって、政治に空白が開くのではないかと新聞の夕刊等でも取り上げられる。


 実際は超有名アイドルプロデューサーからの裏金疑惑で大量の政治家が辞任する流れになり、次期総理を決めるよりも政治空白を懸念した野党等により選挙の方が先になったという話がある。


 その際に、このようなコメントを残している。


《自分よりも有能な人物は、他にも多数いるでしょう。それに加え、機械が次期総理大臣というと別の世界を連想するでしょう》


《新たなる人材を呼び込める可能性もゼロではありません。だからこそ、無尽蔵の資金力で買収するような政治よりも、全く新しい政治を生み出す事を私は望みます》


###


 西雲冬真のコミュニティで放送されているネットラジオ《アカシックレコード・プロファイル》では、あれから放送が再開し、ユーザー数も増えていた。


 今では10000人と言うコミュニティ会員、3万人以上のファンを持つラジオ番組にまで成長した。


 彼女の〈超有名アイドル商法〉に関するフリーダムな発言は海外で話題となり、海外の大物アーティストが超有名アイドル商法のような商法に手を出さないように自重を呼びかけるという事態にまで発展した。


 それだけ、西雲という名前に対してカリスマ性があったのか…それは謎に包まれている。


「私の名前は西雲冬真。日本のマニアックなエンターテイメントに潜んでいるアカシックレコードを読み解く、そのプログラムが《アカシックレコード・プロファイル》です」


 番組のオープニングも変化し、〈世界の中の~〉で始まるお決まりの台詞はなくなっていた。番組リニューアルだろうか?


「今回は、開催が決定したアイドル・クラッシャー3について速報したいと思います」


 アイドル・クラッシャー2では、激闘の末にイージス&水上のソロチームが見事に優勝をしました。あの戦いは色々とすごかったですからね。


 まさか、翼羽アリスと一騎打ちに持ち込むと思ったら…あの展開になったので、正直に言うと驚きました。


 試合動画に関しては、公式でも配信されているはずですので探してみてくださいね。


 アイドル・クラッシャー3では、超有名アイドル等の組織的破壊活動を規制する法律が施行されている関係で、色々と細かい修正が入るようです。


 アイドル・クラッシャー2であったIKS47チーム、チーム・バスケのようなチームが一斉に廃止、それ以外がそのまま残るような仕様になります。


 他のルールに関しては修正が入っていないので、大きく変わったのはこの辺りかな。


 チーム制に関しては新規に《クラン制度》が導入されたようです。


 これは、ソロメンバーが同じ趣味等を持った《クラン》に集まって、アイドル・クラッシャーに参加できるというシステムですね。


 要するに、チーム・バスケのようなチームは廃止されますが、別チームでも《クラン》でつながっている…という感じでしょうか。


 試験段階なので、今後のロケテスト等で変化するでしょう。


 ロケテストと言いましたが、アイドル・クラッシャー3からは政府主導的な流れから民間へ譲渡されたようです。


 これによって、色々とルール改訂が行われるようで、既に素案がホームページ上にアップされ、修正案を募集しております。


 これには、何と10万近い意見が投稿されたという話に。驚きですね。2の時とは比べ物になりません。


 使用できるユニットは2と変更なしで、イージスも引き続き参加可能なようです。


 イージスがチートではないというのも、2の時で実証されたので、この辺りは…色々と意見は残っているかもしれませんが。


(後略)



###


 こうして、アイドル・クラッシャー2を巡る事件は幕を閉じました。


 まだ全てが決着した訳ではありませんが、超有名アイドルを巡る対策も世界規模で考えられ、最終的には日本のコンテンツが輸出停止になる事態は回避されたようです。


 そして、この事件も新たな戦いの火種になる可能性はあると思います。


 しかし、これだけは言えるでしょう。


 超有名アイドルも、BL勢も一部の歪んだファンによる暴走行為が、純粋なファンやその他の勢力にも被害を与え、最終的には鎖国状態を生み出そうとしていた事です。


 これらの事態を生み出さない為にも、それぞれのファンやメーカー等がモラルを守っていくことが重要でしょう。しかし、それでも暴走するファンは現れる可能性は否定できません。


 その際、どう対処するのか? その対応に関しても判断ミスによって、今回の事件と同じような展開を生み出す可能性もあります。


 その為にも、ファンの『作品を愛するという事とは何か?』を改めて問わなくてはいけない時期が近付いているかも…。


 作品に対するリスペクト…。それを忘れたような作品が増え続ければ、再びアイドル戦争やアイドル・クラッシャー事件のようなディストピアが現実になるでしょう。



『あなたの作品を愛する心は、本物ですか?』

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