第八話(最終話) 墓前と、知れざるその後 草案
フランス100年戦争が実質的に終結してから、三年が経っていた。
俺はフィレンツェを離れ、長い旅路を経てフランスの小さな町に辿り着いた。
Chinonの近郊、苔むした石碑が並ぶ寂しい墓地。
その一角に、簡素な墓標があった。
フランチェスカ・プレーラティ
—— あるいは、フランソワーズ・プレラーティ。
俺はゆっくりとその前に立ち、老いた体を折って墓前に膝をついた。
風が冷たい。
25年という歳月が、俺の肩と膝にずっしりと乗っていた。
彼女が俺の銃を抱えてフランスへ旅立ってから、もう四半世紀が過ぎていた。
あの碧い瞳の少女は、俺が与えた「力」を胸に、錬金術と魔術の道を歩み、ついに火刑台の煙となった。
俺は彼女を救えなかった。
ただの一度も。
墓石の表面を指でなぞる。
冷たい石の感触だけが、そこに残っていた。
俺は小さく、声にならない声で呟いた。
「……ごめん」
それだけだった。
他に言うべき言葉など、何も浮かばなかった。
長い間、俺はそこに座り込んでいた。
夕陽が墓地を赤く染め、影が長く伸び、やがて夜の帳が降りてきても、俺は動かなかった。
その後、俺はドイツへと渡ったという。
火縄銃の製造に関わったらしいという話だけが、断片的に残っている。
しかしその後の消息は、誰にも知れない。
——彼はその後ドイツに渡って火縄銃を作ったらしいが、その後は知れず。
ただ、それだけが、俺という男の、物語の終わりだった。
※備考
全体的に納得行っていないが、草案。
大筋はこんなもん。
後で全体を修正し、またエピソードを色々盛る




