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第五話 別離の夜と、銀色の救い 草案

共同生活を始めてから、すでに5年以上が経っていた。

その間に、フランチェスカは俺の技術に何度も触れた。

電磁石で砂鉄を集める様子、酸化鉄を精製する工程、時折見せる現代的な計算方法……彼女は驚くほど熱心にそれを観察し、時には質問をしてきた。

「この石は、なぜ鉄を吸い寄せるのですか?」

「あなたが書く数字は、まるで未来を見通しているよう……」

彼女の瞳は、最初は純粋な好奇心だけだった。

しかし次第に、それは「この人だけが持つ特別な力」への憧れ、そして深い依存へと変わっていった。

俺も彼女の存在が、ただの保護対象ではなくなっていた。

雨の夜に袖を掴まれた感触、朝の柔らかい声、作業場で並んで働く静かな時間……すべてが、俺の中で重みを増していった。

だが、そんな均衡は脆く崩れた。

街の有力者である商人の息子たちが、フランチェスカの家系の古い負債を盾に、再び彼女を狙ってきた。

しかも今度は、より陰湿で執拗な方法で。

彼女は三度、連れ去られた。

一度目は半日、二度目は丸一日。そして三度目は……二晩にわたって。

解放されたとき、フランチェスカはもう、以前の彼女ではなかった。

頰は腫れ、腕には痣が残り、瞳からは光がほとんど失われていた。

俺の前に立った彼女は、掠れた声で言った。

「……あなたは、力があるのに。

あの銀色の光で、山賊など容易く屠ったのに……

どうして、私は救ってくれなかったのですか?」

俺は言葉を失った。

確かに、俺には銃があった。

もっと大胆に動けば、彼女を守れたかもしれない。

しかしその代償として、俺はこの街で「目立つ存在」になり、異端として追われる危険性も高まる。

時代に溶け込み、細々と生き延びるという俺の戦略は、彼女を犠牲にすることを許していた。

その事実に、俺自身が吐き気を催した。

フランチェスカは静かに、しかしはっきりと言った。

「私は……もう、あなたの傍にいられません。

あなたは強い力を持っているのに、私を守ってくれない。

それなら、私は自分で力を得なければ……」

彼女の視線が、俺が壁際に隠してあった銃に向けられた。

「……それを、ください」

俺は長い間、黙っていた。

やがて、ゆっくりと立ち上がり、銃を手に取った。

もう、この時代で実用的に使う機会はほとんどない。弾薬も限られている。

「これを……本当に欲しがるのか?」

「はい。

あなたが私にくれた、唯一の救いの象徴です」

俺は銃を彼女に差し出した。

重い金属の感触が、彼女の細い手に渡る瞬間、フランチェスカの瞳に、初めて強い光が戻った。

それは希望ではなく、狂おしいほどの「力への渇望」だった。

「ありがとう……私の救い主」

彼女はそう言って、静かに微笑んだ。

次の朝、フランチェスカは小さな荷物をまとめて、家を出ていった。

彼女はフランスへ向かうと言った。そして名を「フランソワーズ」と名乗ると告げた。

俺は門の前で、ただ見送ることしかできなかった。

銀色の銃を抱えた少女の後ろ姿が、朝霧の中に消えていく。

そのとき、俺は初めて理解した。

自分が彼女に与えてしまったものが、救いではなく、もっと危険で、もっと深い何かだったことを。

※備考

全体的にズレてきた。多分彼女の本質的な悲劇は物理的なものだけではない。

そうでなければ彼女のその後の未来と繋がらない。

大幅に再考が必要

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