表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/8

第三話 小さな家と、碧い視線 草案

街の外れに、俺は小さな家を借りた。

と言っても、壁は石と漆喰、床は固い土間、窓は木製の板を外すだけの簡素なものだ。

現代の基準ならボロ小屋レベルだが、この時代では「まともな職人暮らし」として十分通用した。

フランチェスカはよく働いた。

朝早くに市場へ行き、安い野菜や粗末なパン、オリーブ油を買ってきては、慣れた手つきで食事の準備をする。

俺が顔料用の酸化鉄を扱うための作業場を整えている間、彼女は黙々と家事をこなしていた。

「あなたは……本当に顔料を作るお仕事をするのですか?」

ある夕暮れ、彼女がそう聞いてきた。

焚き火の明かりが、彼女の横顔を柔らかく照らしている。

「ああ。鉄から赤や茶色の顔料を取れる。少し質の良いものを、画家や鍛冶屋に売るつもりだ」

「鉄から……顔料を?」

フランチェスカの瞳がわずかに輝いた。

好奇心と、どこか畏怖に似た感情が混じっているように見えた。

俺は苦笑した。

「まあ、ちょっとした工夫があるんだ。詳しくは……まだ教えられない」

彼女はそれ以上追及しなかった。

ただ、時折、俺が作業をしている横でじっと見つめてくる視線を感じるようになった。

夜になると、彼女は俺の少し離れた場所で毛布にくるまって寝た。

最初は明らかに怯えていたが、十日も経つと、寝息が少しだけ穏やかになっていた。

ある雨の夜のことだった。

雷が鳴り、彼女が小さく身を震わせた。

俺が気づいて声をかけるより早く、フランチェスカは毛布を抱えたまま、俺の近くまで寄ってきた。

「……怖いですか?」

「少しだけ……」

彼女はそう言って、俺の袖の端をそっと指で摘まんだ。

その仕草は、まるで「離れないで」と訴えているようだった。

俺は胸の奥がざわついた。

(これは……ただの保護者としての感情じゃないな)

彼女は山賊に攫われ、家族を失い、故郷に帰ることもできなくなった少女だ。

俺は彼女を助けた張本人であり、同時に、彼女が唯一頼れる存在でもある。

その事実に、俺は少しだけ重いものを感じ始めていた。

フランチェスカがぽつりと呟いた。

「あなたは……私の救い主です。

あの夜、銀色の光と共に現れて、私を悪魔から守ってくれた……」

銀色の光——つまり、あの銃声と閃光のことだ。

彼女の声には、ただの感謝を超えた、何か熱を帯びた響きがあった。

俺は答えずに、ただ雨音を聞いていた。

この共同生活が、いつまで穏やかでいられるのか。

そして彼女が、俺に対して抱き始めている感情が、どこへ向かっていくのか。

その頃にはまだ、俺も彼女も、答えを知らなかった。

※備考

どうやって主人公は家を借りられたか、

感情の変化がやたら早い

もっとエピソードを盛るべきか検討部分

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ