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2話 処刑人との戦いの回想

 キリムが目を覚ましたのは1週間後だった。


 周りを見渡すと、白を基調とした部屋でベッドと机が置いてあり、キリムはすぐここが病室だとわかった。

 キリムが少しぼーっとしながらも何が起こったのか思い出そうとした時、この部屋にもう1人いるのに気がついた。クレイだ。

 珍しくきちんと髪と服を整えたクレイが床に座りながらキリムが寝ていたベッドに伏せて寝ていた。


「クレイさーん。クレイさーん。」


 キリムが名前を呼びながら揺すると、クレイは目を覚ました。


「うーん…もうちょっとー…」

「クレイさんおはようございます」

「おはようキリムくん…ってキリムくん!起きたんだ!」


 キリムが目を覚ましたことに気づいたクレイは、顔を明るくした。


「よかった…キリムくんが意識不明の大怪我で入院したって聞いた時はびっくりしたよ…」


 クレイの言葉を聞いてキリムはやっと思い出した。ダンジョンで処刑人に狙われ、殺されかけたがクレイのポーションのおかげでなんとか処刑人を食い止め、助けを呼ぶことができて助かったのだ。


「ボクのポーションのせいでそんな状況になってたらどうしようと思って話を聞いた瞬間飛んできたんだよ…とりあえず目が覚めてよかったぁ…あ、先生を呼んでくるね!キリムくんが起きたって言ってくる!」


 クレアが足早に部屋から出ていった。


 キリムはクレアが自分のせいかもと少しでも気に病んでいたのだとしたらとても申し訳ないなと思いながらしばらく扉を見つめていた。


____


 しばらくして、クレイが白衣を着た人物を連れて部屋に入ってきた。


「あ、ミラーさん!」


 ミラーとは以前キリムがクレイのスキル威力上昇ポーションの試作を使ってボロボロになって帰ってきた時にお世話になった医師だ。

 銀色の短めの髪に白衣を着た男性で、その美貌に加えて人々を虜にする声の持ち主で、有志が集まってファンクラブを作ろうとしているという噂もある。


「やあキリムくん。今回はまた酷い怪我だったね。」


 ミラーはそう言いながらゆっくりとキリムがいるベッドまで歩いてきた。

 

「はい…あ、そういえばあの赤髪の人は…」


 赤髪の男性、キリムをダンジョンから街中まで送り届けた人だ。

 

「赤髪…ランスさんの事だね。彼は君を送り届けた後、調査チームに加わってくれたんだ。」

「そうなんですか…会うことができたらお礼を言いたいです…」

「まだこの街にいるらしいからそのうち会えるさ。今回は結構大事になってるしすぐに旅立つことは無いんじゃないかな?」

「それは良かったです…って…今なんて言いました?大事になってる?」


 キリムが少し不可解な顔をすると


「ああ、そうだ。なんせ話題が話題だからな。国中で噂になってるって話も聞くよ。」


 と言ってミラーが笑った。


「そんなすごい話題ありましたっけ?」


 不思議そうにミラーを見ながらクレイが言うと


「こんな話を聞いた覚えは無いかい?クレイさん。【処刑人がついに獲物を取り逃した。】って。」


「そういえばそんな話をしてた人がいたような…でもそれとキリムくんになんの関係が…ってまさか」


 何かに気づいた様子のクレイが目を見開く。


「さて、単刀直入に言おうキリムくん。あの日あの場所で何が起こったんだい?1週間も眠っていたのだから一通り調査は終わっているが、一応本人に確認したい。」


 そうミラーが言うと、キリムは覚えていることを語り出した。

――――――――――――――――


 キリムが覚えていることを話している間、クレイは信じられないという顔で、ミラーは少しメモを取りながらも頷きながら聞いていた。


「少し違うところもあったが概ね調査通りだ。あとは報告書にまとめるだけだな。ちなみに瓦礫の下には何もいなかった。処刑人は下敷きになるふりをして逃げたんじゃないかと言われている。」


「そうですか...」

 

 キリムは処刑人の姿を思い出しながら、まだ相手が生きているということに恐怖を覚えた。


「キリムくん。ひとつだけ覚悟して欲しいことがある。」


 ミラーが真剣な眼差しでキリムにそう切り出した。


「なんですか?」


キリムがきょとんとした様子で聞くと、

 

「君は処刑人を退けた者としてしばらくは話題の中心になるだろう。それは様々な人から関心を持たれることを意味する。君を英雄のように持ち上げる人もいれば、突っかかってくるような輩もいるだろう。どうか、周りの人々に押しつぶされることがないように気を強く持ってくれ。」


 ミラーじっとキリムのことを見つめながらそう言った。


「はい。正直これからどうなるか予想もついてないですけど頑張ります!」


 キリムがそう返すとミラーは安心したように微笑んだ。


「ね、ねえキリムくん?」


 キリムが話終わってからずっと黙っていたクレイがおそるおそると言った感じでキリムに話しかけた。

 

「さっき私のポーションを飲んで助かったって言った気がするんだけど…」


 クレイが少し期待の眼差しでキリムを見ながら言うと、


「あ、はいそうです!ちゃんと加護がグレードアップしましたよクレイさん!!」

「やったああああ!!!!!!!」


 キリムの答えを聞いたクレイが満面の笑みで喜びを叫ぶ。


「クレイさん、嬉しさは察しますがここは病室なので叫ぶのはやめてください。」


 と、ミラーが苦笑しながら言った。


「あ、すいません...取り乱しちゃって。とりあえず私は大急ぎで家に帰ってもう少し研究してみます!じゃあねキリムくん!」


 クレイは大急ぎで荷物を持って病室から出ていった。


「じゃあ、私もやることがあるので一旦失礼するよ。」


 とミラーはクレイが出ていった扉に向かって歩き出した。


「はい!あ、これからしばらくお世話になります!」


 とキリムが若干頭を下げながら言うと


「ああ、早く怪我を治すんだよ。」


 ミラーはそう言いながらキリムに手を振って出ていった。



 ――――――――――――――――


 後日、クレイが「加護をグレードアップさせるポーション」を発表するも、臨床実験の結果そのような効果は見られないと結論づけられたとさ。

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