第二章「避難生活」
豊島第一小学校
遼真が通う小学校にやってきた遥は避難所の受付をした。
遥「あの私、 3年1組の平井 遼真の姉の遥です!避難できる場所とかありますか?」
受付係「はい、体育館の方になりますが……」
避難所になっている小学校の体育館の中に入った遥だが、そこには、避難者が大勢おり、満員状態だった。
避難所係「名簿はこちらになります!」
避難者「ひろみ‼いますかー⁉」
避難者「かのんちゃーん‼」
遥「すごい避難者の数だ……。」
そしてあまりの避難者数にぶつかりそうな程だった。
避難者「おら!さっさと歩け!」
遥「キャッ!」
避難者「スマホを充電させろ!」
避難者「飯をよこせ!」
遼真が通っている小学校は避難者が多すぎて大混乱だった。
そして遥は、なんとか小学校から無事脱出した。
遥「何なんだろうこれは……?」
そして、遥は校門のそばで俯いていると、その通りから1台のスポーツカーが現れてそのスポーツカーは遥の手前のそばに停止した。
そこには遥の父親が働いている会社の部下、中村力彦(36)が降りてきた。
中村「君が遥ちゃんだね!もっと広い場所に避難した方がいいぞ!」
遥「あっ!あなたはお父さんが勤めてる会社の部下の中村さん‼」
そして遥は、中村の車に乗り、広い避難場所に案内された。
中村の車の中。
東京の街は巨大地震によって荒れ果てていた。
中村「それにしても酷いなぁ。まさかあの大地震であんな風になるとはな。」
遥「はい、私も知りませんでした!」
中村「くそっ!車が渋滞してやがる!ここで曲がらなきゃ!」
中村の車は渋滞している道を通り抜け、空いている道を走った。
中村「そう言えば遥ちゃんは大阪万博へ行く予定だったよな?」
遥「はい!明日から行く予定でした!地蔵通り商店街で買い物から帰る途中に物凄く大きな地震が発生しました!それで、チケットの払い戻しとかは?」
中村「いや、それは後回しだ!状況が落ち着いたら払い戻しできるみたいだ!とにかく行き着くところまで行こう!」
その後、遥はあるとこにたどり着くと
中村「よし、ここだ!」
遥が案内された場所は4年前の東京オリンピックで使われていた国立競技場だった。
遥「ここは、国立競技場?」
中村「ああ、そうだ!4年前に東京オリンピックの
メイン会場として使われていたんだ!
俺の友人がアスリートのマネジメントをしていたんだ!
耐震化工事もしてるから今は避難所としても使われているんだ!
幸いにも大した被害は出なかったから、今なら出入りできるみたいだ!」
遥は国立競技場が避難所として使われていることを知った。
遥「確かにここなら広くて密になりにくいから大丈夫!」
そして遥は、その競技場の中に入った。
国立競技場内部
競技場のグラウンドの中に入った遥は偶然友達とゲームをしている遼真を偶然見かけた。
遼真「あれ?お姉ちゃん?」
そして遥は嬉しそうに……
遥「遼真ー‼」
遼真と再会して嬉し泣きして遼真を抱いた。
遥「良かった……無事だったんだね!」
遼真「あぁお姉ちゃん。僕、その時広い公園で友達とホームサーキットをしてたんだよ。そして、大きな地震が起きた後にゆうとくんのパパに、車でこの競技場に連れてってもらったんだよ。」
それは、友達のホームサーキットをしていた時のことだった。
近所の公園
遼真「いけいけー!僕の車速いんだぞー‼」
ゆうと「こっちも負けないぞー‼」
まさる「俺の方も‼」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
遼真「ん?なんだ?」
公園で地震が発生した。
ゴオオオオオオオオオオ!!
遼真達「うわぁあああ――――――――‼」
そして、地震が収まり…
遼真「うわぁ~ビックリしたぁ…。」
ゆうと「あっ!大変だ!僕達の街が!!」
まさる「ウソだろ⁉こんなことって⁉」
遼真達も幸いケガはなかったが、一台のミニバンが走ってきた。
ブ――――――――――――――――――――――ン!!キキーッ!!
ゆうとの父「君達、大丈夫か⁉」
ゆうとの父が遼真達を迎えに来た。
遼真「うん!全然平気だよ!」
ゆうと「大丈夫だよパパ!」
まさる「俺も!」
ゆうとの父「さぁ、早く車に乗って、もっと広い場所に避難するぞ!」
実は遼真は遥よりも先に、国立競技場に友達と一緒に入って避難していたのだった。
ゆうと「ハルお姉ちゃん、遼真くんの事を探してたんだね!」
まさる「良かったな!遼真‼」
遼真の友達は遼真の姉の再会に励んだ。
遥は嬉しそうに涙ながらにこう言った。
遥「あと……二人とも無事だったんだね。お姉ちゃん嬉しくて涙出ちゃったかも……。」
遼真「じゃあ、僕はお姉ちゃんと一緒に、テントに入ってるからね!」
そして遥と遼真は避難所のテントに入っていった。
競技場グラウンドのテントの中
配給でもらったのはおにぎりとカップ麺とペットボトル緑茶だけだった。
遼真「お茶とおにぎりとカップ麺だけか……これだけで足りるかな?」
遥「うーんここに来た時、それだけしかもらってないし……」
そして、食糧の事で困っていた2人の前にスカジャンとジーンズ姿の女子高生が突然、テントの中に押し掛けてきた。
シャッ!
女子高生「よっ!こんばんは!」
遥と遼真はそれに驚いて腰を抜かした。
遥・遼真「うわっ‼」
女子高生「親がいなくて寂しいだろ?ハハハ!心配いらないよ!なんならアタシも仲間に入れてやるよ!じゃ!お邪魔するぞ!」
彼女は鞄を開き、食料を差し出した。
女子高生「ほ~ら、この食糧、大量に持ってきたんだ!一緒に食べようぜ!」
彼女の食糧は物凄く大量に備蓄していた。
遥・遼真「はい、いただきます……。」
そして3人は食事をしながら会話を始めた。
未夢「じゃあ、さっそく自己紹介するぞ。アタシの名は武沢未夢。目黒南高校に通う高校2年生だ!ところであんたらは名前なんて言うんだ?」
遥「あっ私、巣鴨から来た巣鴨中学校に通う平井 遥っていいます!中学2年生です!そっちは弟の遼真です。小学3年生です。」
未夢「へぇ~、あんたらは巣鴨から来たのか結構大変だっただろうな。」
遥「そうだ未夢さん!ちょっと私から見てもらいたいものがあります!」
遥は持参していた大阪万博のガイドブックを未夢に見せてもらう。
未夢「あっ、これって今年やってる大阪万博か?」
遥「はいそうなんです!明日家族みんなで行く予定でした。でも、今日発生した巨大地震で行けなくなってしまって……」
未夢「あ~それは残念だったな。ウチじゃそんな無駄遣いできないからな。」
未夢は大阪万博のガイドブックの表紙の中央の女の子に指をさした。
未夢「じゃあこいつは誰だ?」
遥「あっ、この人は関西府の“縞野雷花さん”と言う大阪府のおかん娘アイドルです!」
未夢「なるほど!遥は大阪のアイドルにも詳しいんだな!」
未夢「あっ、そうだ!アタシ、ポータブルテレビ持ってきてたんだ!」
未夢はポータブルテレビを鞄から出した。
未夢「ほら!このポータブルテレビ、充電したてで長持ちするんだ!」
そしてポータブルテレビの電源を付けると、巨大地震に関する臨時ニュースが流れていた。
キャスター「今日午後4時46分頃、関東地方で最大震度7を観測する非常に強い地震が発生しました。気象庁によりますと、この地震で震源の深さは10㎞。震源地は飯田橋断層。地震の規模を示すマグニチュードは8.8と推定されています。」
遥「マグニチュード8.8⁉」
ポイント④ 首都直下地震の基本想定はM7クラスであるが、震源や深さ、震源地、地震の規模、周期によってはM8クラスを上回る場合もある。マグニチュードが大きければ、広域になるケースも出ている。
キャスター「東京23区、東京多摩東部で震度7。東京多摩西部、千葉県北西部、山梨県全域、埼玉県南部、埼玉県秩父地方、静岡県北東部、神奈川県東部、千葉県南西部で震度6強。埼玉県北部、千葉県南東部、千葉県北東部、千葉県南部、神奈川県西部、長野県南部、静岡県南西部、栃木県南部、 茨城県南部、群馬県東部、愛知県東部、岐阜県東部、伊豆地方、三宅島、神津島、伊豆大島で震度6弱。群馬県西部、栃木県北部、茨城県北部、福島県南部、長野県北部、新潟県西部、静岡県西部、岐阜県南部、三重県東部で震度5強。」
遼真「凄い事になってる……。」
未夢「ああ、それは当たり前だ。これからはもっと酷くなるかもしれないな。」
遥「そ、そんな……。」
遼真「こんな事って……?」
するとテントの中で揺れを感じた。
ゴゴゴゴゴゴゴ……
遥「えっ?今の地震は?」
未夢「あれは余震だ。今の地震は小さいけど、大きいのも来るみたいだな。」
遼真「えぇ……。大阪万博はどうなってるかな?」
未夢「さあな。」
そして3人が話してるうちに、国立競技場は夜更けを迎える。