第一章「状況」
令和7年(2025年)5月3日(土)
関東地方で最大震度7の巨大地震が発生した。
地震の規模はマグニチュード8.8
震源の深さは10km。震源地は飯田橋断層。
鉄道や地下鉄、航空便等の交通機関は全ての運航を停止し、
お台場などの臨海副都心では液状化や津波などの水害が発生し、
杉並区や世田谷区では大規模な火災旋風が発生していた。
今、東京では更なる大混乱が巻き起こっている。
被災された巣鴨、遥は急いで自宅に戻ろうとすると
倒壊された住宅から男の子の呻き声が聞こえた
男の子「助けて…」
遥はそれを見て気づいた。
その男の子は留守番中に地震で倒壊した建物に潰されて
顔は血だらけだった。
遥「私、今助けるよ!頑張って!」
遥はその男の子を引きずり出して助けようとしたが
しかし、遥自身の力では引き抜くことは出来なかった。
遥「ダメだ…私の力だけじゃ、男の子を救えないかもそうだこんな時は……」
遥は大声で助けを求めた。
ポイント① 救助するときは助けを求めよう!
遥「誰かー!男の子の救助を‼」
すると、通りの向こうからものすごい速さで軽トラックが走ってきた。
ブ――――――――――――――――ンキィ――――――ッ!
軽トラックは急停止して、その中からは大男が降りてきた。
遥「うわっ!」
大男「おう!嬢ちゃん。ガキの救助なら俺も手伝うぞ!」
遥「はい!お願いします……!」
大男は倒壊した住宅の瓦礫をどかして、遥はその男の子を引きずり出して救出し、涙目で抱き撫でた。
遥「よく頑張ったね。大丈夫だった?」
そして大男に病院まで搬送するように促した。
遥「あの、この男の子を病院まで運んでもらえませんか?」
大男「おう!任しときな!俺の軽トラで病院まで一直線だ!」
大男はその男の子を自分に軽トラックの荷台に積んで、再びトラックに乗って走り去っていった。
ブ――――――――――――――――ン!
大男「ありがとよ嬢ちゃーん‼」
遥は一安心したと思ったが、大事な事を思い出した。
遥「あっ!こんなことしてる場合じゃなかったんだ!」
そして遥は、自宅を求めて全力疾走した。
しかし電線は折れて、建物もほとんど倒壊していた。
そして遥は無事に自宅にたどり着いたが、騒然としていた。
遥「えっ……?」
遥の自宅は巨大地震ですっかり変わり果ててしまった。
遥「あ……そうだ!もしかしたらまだ家にいるかもしれない‼」
遥は自分の家族を呼び掛けた。
遥「お父さーん‼お母さーん‼遼真ー‼いる⁉」
遥「ねぇ返事して‼」
遥「お父さーん‼お母さーん‼遼真ー‼」
しかし、家族に返事を呼び掛けても誰も返事はせず、誰もいなかった。
遥「ウソ……でしょ……?」
絶望した遥は座り込んで、落ち込んでしまった。
すると突然遥の後ろから何者かが声を掛けてきた。
隊員「おい!そこで何してるんだ!」
遥「えっ……?」
遥に声を掛けていたのは1人のレスキュー隊員だった。
隊員「ここにいたら危ないぞ!君も早く避難所に行くんだ!」
遥「いやぁ……その……。」
レスキュー隊員は避難を促したが遥は困惑していた。
隊員「東京はとても酷い状況だ!君も自分の命を守ることが第一だ。」
遥は突然立ち上がり、家族で大阪万博に行くこと決心しようと隊員に対して、こう伝えた。
遥「あの、私……明日、家族みんなで大阪万博に行くんです!」
隊員「えっ⁉」
遥「数ヶ月前に新幹線の切符や入場予約券も買っておいたからずっとその日を楽しみにしていたので……」
隊員「ダメだ!新幹線は大地震で当分の間運休していて無理だ!残念だが、その事は諦めてくれ!」
遥「そんな……⁉」
遥はその言葉に落ちこみ、大阪万博へ行くのを諦められてしまった。
ポイント② 震災が発生すると旅行に行けなくなる。
遥は壊滅状態の住宅街を歩いていきながら呟いた。
遥「私の街が、こんなことになるなんて……」
遥は近所の公園で友人にLINEをしようとするが
地震で電波は届くことなく圏外になっていた。
遥「そうか、電波も地震で届かなくなっていてLINEもできなかったんだ。」
遥「そうだ!友達に電話しなきゃ!」
ツーツー……
遥「ダメだ……。」
しかし巨大地震の影響で電話すらも繋がることはなかった。
ポイント③ 震災が発生すると携帯電話等の電波が届かなくなる場合がある。
関東での巨大地震により、多くの人が地震や火災による人的被害をもたらしてしまった。
更には倒壊した住宅の古い車庫に車が押し潰されたり大規模な停電や火災が発生したり、年季の入った建物は倒壊して、ほとんどのインフラは停止した。
だが、地震による被害はそれだけではなかった。都内の交差点等では道路に亀裂が入ったり、車が渋滞したり、バスやトラックなどが横転する被害に巻き込まれていた。
鉄道はほとんどの車両が脱線してしまい、多くの死傷者を出し、山手線や京浜東北線に新幹線、そして東京メトロ等の運行は全て停止。
更には空港に停泊中の旅客機は横転して破損や火災も発生して
欠航どころか、空港内にも往来困難な客も外国人を含めて大勢埋め尽くされた。
交通にも多くの被害が出た事で震災による帰宅困難者も増加した。
そんな中、遥が遼真が通う小学校に向かうと、そこには避難する人の行列ができていた。
遥「遼真が通ってる小学校だ!そういえば大地震で避難所になってるんだ!」
そして遥は、その小学校の中へと入った。